飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

今村昌平を観るために新文芸座にかよったのだ③

2007-01-17 | 今村昌平
今村昌平の映画を観るために、半年も前の去年の夏お盆の時期池袋の新文芸座に通った5日間。(※半年も前のことを書くなんておバカですが、この頃江戸川乱歩関連の記事を投稿すると決めて意地になって続けていましたので半年遅れの記載となってしまいました。しかし、ボクにとって貴重な体験でもあったのであえて投稿することにしました)


結局、9本の今村映画をこの映画館で観た。そして館の通路には、その日に上映する映画のプレスシートのコピーとともに、「今村死亡」を伝える新聞記事が貼ってあり、6/1付の日刊スポーツにはチンポという文字の小見出しがあった。気になったので記事を読んでいくと、今村監督は「すべてはチンポがかたいいうちだぞ」と好んでサイン色紙書いたそうだ。“いつまでも助平に欲張りに人間の滑稽さ、偉大さ、純粋さ、醜さを追い続けたい”と思い“助平じじい”と呼ばれることを勲章にしていた今村監督。(「映画は狂気の旅である 私の履歴書・今村昌平著/日本経済新聞社刊より)

この言葉を自身も含む人間の滑稽さ、偉大さ、純粋さ、醜さの象徴ととらえているのだろう。今村監督らしいコメントだ。まさに今村映画は助平な(=それは生のとも読み替えられる)エネルギーに満ち満ちていた。



その今平の連続映画上映会には、イベントも用意されていて、8/14に『うなぎ』や『カンゾー先生』に出演していた柄本明氏のトークショーがあった。舞台上の柄本氏の頭には白いものが目立ち、そうか、柄本さんも歳をとったんだななんて勝手に思った。たしか氏を始めて観たのは、私が大学生の頃、日活ロマンポルノに出ていた時だったと記憶している。もう20数年前なのだから歳をとったなと思うことはあたり前なんだけども。今では柄本氏も映画を引き締める重鎮の役者、軽々しく歳を・・・なんていったら失礼だよな。


それと同じ日、観客席では今村昌平監督作品には欠かせない役者、北村和夫氏の姿も見かけた。しかし、この日の上映は『にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活』と『人間蒸発』のドキュメンタリーの2本立てで、そこに北村氏が見に来ていたのは、何か不思議な気がした。とにかく、北村氏と今村監督は小学生時代からのポン友で、盟友の追悼上映会には弱冠不自由な足を引きずってでも、という想いからそこに足を運ばせたのだろうか?

北村氏は、相変わらずのでかい声で映画館のスタッフに「明日は何を上映するの?」と聞いていた。「黒い雨です」と答えると「観たいナー」と言っていた。
そして翌日、客席で氏の姿を見かけたのであった。『黒い雨』は原爆をテーマにした救いがない映画で、ラストはその時点で生き残っている北村氏の有名な台詞がある。それを共に創った監督はすでにもういない。なぜか映画とそのシュチエーションが微妙に重なり、ひとり感慨深くなったのだった。館を出たボクは苦い珈琲を飲みながら煙草をプカプカふかしその余韻に浸ったのであった。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
発行日を知りたいです。 (あん)
2016-09-18 21:19:39
上記の今村昌平の追悼特集上映という見出しの新聞の中に「チンポ」という見出しもある新聞は、日刊スポーツなのは解るのですが、発行日は何年何月何日なのでしょうか?
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