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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

僕は知らない寺山修司NO.71⇒「毛皮のマリー 人形劇版」 平常

2007-10-29 | 寺山修司
「毛皮のマリー 人形劇版」平常

■日時:2007年10月27日(土)
■劇場:プーク人形劇場
■作:寺山修司
■演出・美術・人形操演:平常

寺山修司の演劇作品の中で初期代表作「毛皮のマリー」を人形劇で、それも一人で上演する、一体どんな感じなんだろうか?と思っていました。正直、人形劇という響きであまり期待はしておりませんでした。しかし幕が開くと、その思いは吹き飛んでしまうのでありました。平常(たいらじょう)は見事に「毛皮のマリー」の世界を構築していたのです。

平常は若い、にもかかわらずその演技(彼は時に人形遣いの黒子として、時に役者として人形の相手をする)は細部にまで行き届いており、操る人形=マリーも手と頭部というシンプルな形でありながらも生き生きとしていたのです。マリーといえば、バスタブがつきものだが平常はそれを持ってくるのではなく、メタフォリカルにコーピーカップに置き換えてしまう。少年が蒐集する蝶は手の動きによってマイム的に表現する。マリーが入れ込む刺青の男は頭も足もないマネキンのような男の体を模ったオブジェのようなものと、それ以外にも複数の登場人物が出てくることに対して一人で演じることによるマイナス部分をメタフォリカルな想像力で喚起させることによってプラスに転化させて、より「毛皮のマリー」の世界を充実させていたように見えたのでありました。

予想以上の面白さで充分満足したのだが、難を言えばやや長かったかなと思う。平常の思いがきっと上演時間を長くしてしまうのであろうが、ここは削ぎ落とすことによって「毛皮のマリー」の世界がもっと効果的に伝わるのではないかと。しかしそれは些細なことで堪能した、そういえる作品であった。劇場のロビーへと至る階段の壁面部分に、平常が紹介された新聞記事が張り出されていて、そこのインタビュー記事に初演時には全く客がこなかったが口コミによって客が増えてきたと書いてあったのですが、まさしくそれはこのパフォーマンスを観る限りではうなずける。「毛皮のマリー」を知っている人も知らない人も、おそらく平常の演じたマリーの世界にグイグイと惹き込まれたに違いない。

平常は泉鏡花の「天守物語」をレパートリーに持っているようで、機会があればそれも観てみたいし、構想で江戸川乱歩の「陰獣」もあるようなのでぜひ実現させて欲しい、そう思ったのでありました。



※過去の「毛皮のマリー」に関する記事
僕は知らない寺山修司NO.33⇒「毛皮のマリー」(角川文庫)
僕は知らない寺山修司NO.32⇒「毛皮のマリー」(パルコ劇場1983年公演ビデオ)
僕は知らない寺山修司NO.31⇒劇団翠公演「毛皮のマリー」



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