怪異の世界＃１８・・法蔵寺・累の墓所

三遊亭円朝の「真景累ケ淵」の中に

◎作「お賤さんこれが累の墓だ」
◎賤「おやまア累の墓というと、名高いからもっと大きいと思ったら大層小さいね」
◎作「小さいって、これがどうも何と二十六年祟ったからねえ、執念深え阿魔も有るもので、この前に助と書いてあるが、これはどういう訳か累の子だというが、子でねえてねえ、助というのは先代の与右衛門の子で、これがの継母に虐められ川の中へ打流されたんだという、それが祟って累が出来たというが、何だか判然しねえが、村の者の墓参りに来ればこれが累の墓だといって皆線香の一本も上げるだ、それに願掛けが利くだねえ、亭主が道楽ぶって他の女に耽って家へ帰らぬ時は、女房が心配して、どうか手の切れるように願えますと願掛すると利くてえ、妙なもので」（※三遊亭円朝作「真景累ケ淵」岩波文庫から引用）

とあるように、茨城県常総市にある法蔵寺に怪談「累ケ淵」のもとになった話、累の墓があるという。言伝えのある累の話と円朝の怪談はその後日譚という形式をとっているため内容は違うもの、ここまで「累ケ淵」をいろいろと観てきたこともあるので、ちょっとでかけるには遠いかなと思いつつも、その累の墓にお参りしようと法蔵寺へと向かうことにしました。

まずは、秋葉原発のつくばエキスプレスに乗って守谷で下車、関東鉄道常総線に乗る。２両編成の車両、ＩＣカードも使えないローカルな線だ。水海道で下車すると駅前は寂れたかんじであった。そこで昼食をと思ったが、食堂らしき店舗は客が来ないのか閉まっている。残念と断念し、タクシーに乗り累の墓がある法蔵寺へ向かいます。



その法蔵寺は、特に田舎の法事以外は参拝する人がいないようで、自然体というか、あまり手入れしていないというか、雑草も手頃に伸びており、祠らしきものは傷んだままのものある。見たところ本堂と母屋は繋がっているようで一体感化している。



丁度、お寺の方が洗濯物を干しており、中に入っていいですかと聞くと、どうぞとの声。そこで本堂へと上がり祐天上人と助、累、菊の３体の像に対面した。小さな像ではありましたが、固有名詞がついた計４対の像を見ると何か曰く付きという感のしなくもない。



続いては、累の墓である。写真の通り、こちらも３つの像が並んで助、累、菊を供養している。最近では改修したのか像の台座の部分と後ろの壁面部分の石は新しい。こうした地元の人しか訪れる人もないであろう、ひっそりと土地に溶け込んでいる寺に、このような墓や像があるのは、やはりそれが架空のことではなく実際にあったことであり、人々に語り継がれるほどの奇怪な出来事であったのだろうと思わざるえませんでした。

利用したタクシーの方に累に関する場所があれば聞こうと思ったのですが、あまりそういったことには関心がないようにみえたことと、お年寄りで何をしゃべっているのかよくわからなかったので、あきらめて少し遅めにの昼食を守谷でとって帰ることにしたのでありました。

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