musikhalle

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レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル-グルノーブル@オペラシティ

2013-02-23 19:42:30 | CD・コンサートレヴュー
世評の高いコンビによる演奏をようやく実演で聴くことができた。


シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 「未完成」
モーツァルト:ミサ曲 ハ短調

指揮:マルク・ミンコフスキ


上記の2曲が事前に発表されていたプログラム。両曲とも、作曲者の死ではない何らかの事情で未完成のまま残された、という共通項を持つ。この2曲だけだと演奏時間的にちょっと短いのではないか、という印象を持っていたのだが、当日、オークストラと共に舞台に上がったミンコフスキがプログラムの追加を発表した。
1曲目にグルック「歌劇『アウリスのイフィゲニア』序曲」。
この団体では、こういう演出(?)がよくあるのかどうなのか。少なくとも、聴衆との心理的な距離は平均的なクラシックの演奏会よりはかなり近そうだ。

グルックは、学生時代に演奏経験があることも手伝って、楽しめた。演奏は、この曲の荘重・重厚さよりも、愉悦感ともいうべき軽快さが特徴的。しかしいたずらに弾き飛ばすのではなく、各部分の音楽的なキャラクターはしっかりと描かれていた。

シューベルトでも基本的な印象は同様。加えて、ロマンティックな情感も過不足なく表現された好演。ここで前半終了となるはずなのだが、客席の喝采に応えてアンコール。これにも驚いた。
曲はシューベルトの交響曲第3番の終楽章。速めのテンポによる疾走感と、もはやお馴染みとなった愉悦感が一体となった演奏で、強烈な印象を残した。

ハ短調ミサを実演で聴くのは初めて。演奏は十全であったが、モーツァルトの宗教曲というとどうしても比較してしまうのがレクイエム。そうすると曲自体の深みだとかそういった面で物足りなさを覚えるのも事実。
とはいえ、そういった不満を補って余りある好印象をもたらしてくれたのは声楽陣。プログラムに彼らのプロフィールが全くなかったのは残念。


(文中、敬称略させていただきました。)

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