フェリーが発着する長洲港から東へ商店街を横切って、ものの10分の歩かない内に反対側の東灣に出ます。
島の西側と打って変わって、北角咀(パッコックチュイ)から観音灣にかけて、弓なりの砂浜が広がっています。
何もない但々綺麗な海と砂浜が広がっっていた東灣にも、観音灣との境に島で一番高い建物、7階建てのホテルとヘリポートが出来ました。
観光化が進んだとは言え、正面の西博寮海峡(West Lammma Channel)越しに見える南Y島や香港島の薄扶林(ポックフゥラム)地区の眺めは素晴らしいですね。
休みの日は海岸でのバーベキューで大賑わい。
そういう日を避けて行くんですが、砂の中に針金製の大きなバーベキュー用のフォークが潜んでいるんです。
夏のシーズンは、地元の人々が砂浜の清掃をマメにしているからそうでもないんですが、シーズンオフにゴムゾーリ等でウロウロすると酷い目に遭いかねません。
どういう訳か香港人てのはバーベキューが好きですなぁ。
中秋節なんか、そこいら中の屋上で煙モクモクやってますね。
どっちが先か知らんけれど、日本でもお花見でバーベキューやってる連中が増えましたなぁ。
桜の花とバーベキューは合わんと思うがなぁ・・。
それは兎も角、島の南端からの眺めもエエけれど、此処の眺めはよろしいでっせ。
北角咀へは浜沿いに左なんですが、東堤新村から先はマトモな道が無くて岩場。磯釣りの適地ですが歩くのはどうもねぇ。
右へ行くとホテルの向こうが観音灣で此処はこじんまりした砂浜です。
ジャンクの家船が泊まっていて、丁度学校帰りの子供が帰ってくるのに出会いました。
浜で大声で叫ぶとお母さんがサンパンを漕いで迎えにくるんです。
ズーッと先の岬は此処も岩場になっていて釣り糸のこんがらがったのや、針などが落ちているのであんまりお薦めできません。
岩場の取っ掛かりから右手の山に登る道が有って、少し登ると可愛いらしい観音廟があります。
此処から海岸のがけの上を海づたいに小道が西灣へ続いています。
初めて歩いた時は道標も何もなしで、西灣まで一人も出会わなかったんですが、最近は観音灣を見下ろす丘の上に3ヶ所もキャンプ場が出来て、様変わりです。
シーズン中はかなりのハイキング客があるようで、海岸の岩には以前は無かった名前が付けられて、叮+「口へんに当」(ディントン=ドラエモン)等と看板が立っていたりします。
これがどれ一つとして、なるほどというのが無いのもご愛嬌。
少し先へ進むと、そういうこじつけたような看板が無くなって気持のいい散歩道になります。
道端に大きな中国南部式のお墓(沖縄の亀甲墓とそっくり)がポツンと有ったりします。
少し海岸から道がそれると、亜熱帯の濃密な緑に包まれて静かな小道が続きます。
海濤半島までの景色は眼下の岩場に打ち寄せる波と、地球の丸さを感じるような明るい南シナ海の息を呑むほどの美しさ。
海濤半島は、幅200m足らずの海面から40m近い高さを持ったチッポケな半島ですが、先端からの眺めは此処に来る為だけに香港に来てもいいと思うほどです。半島の先端からでも20分も歩けばナムタム灣に出ます。
此処にも立派な天后廟が有ります。
昔、香港仔あたりに有った魚醤(ユゥチャン)の工場船が、最近はこちらへ引っ越してきているようです。
魚醤はタイのナンプラー、ベトナムのニョックマム、日本のショッツルやイシルと同じ、魚から作る調味料です。
美味しいんですが製造している現場は中々強烈な匂いがするんですねぇ。
西へ向かって丘を登ってゆくと長洲で2番目に標高の高い丘(海抜73m)の上に航空気象站があります。
ちなみに、一番標高が高い丘は島の北側にあって、海抜100mで雷達站(レーダーステーション)があります。
航空気象站を通り過ぎて九宮塘(カウクントン)のあたりに来ると、南向きの斜面にお墓が集まっています。
日当たりはいいし、目の前は南シナ海、墓に入ってしもたら、日当たりも景色も関係無いやろうけど、清明節等に家族がご馳走持参で墓参りに来るには最高ですなぁ。
日本では沖縄以外は、大金持ちかよほどの名家でないと墓所が狭いから、お墓の周りで宴会は出来へんねぇ。
香港でこういう墓が持てるのは離島かド田舎の何代も住んでる人か大金持ちだけ。
公営墓地では先祖代々の墓なんてのは無し。
一定の期間(何十年やったか?20年くらいやったかなぁ)で無縁墓であろうがなかろうが強制改葬やと聞いたなぁ。
もう1Km一寸歩けば西灣。
朝から歩き出せば、寄り道しながらゆっくり歩いても昼には西灣に着けます。
西灣からは村営(?)のサンパンが長洲港のフェリー発着所へ出ているので、それに乗るも良し、歩いた所で2~3Kmです。
ナムタム灣と西灣とが長洲の漁業の中心。
もっとも小さな島ですから中心も何も無いようなもんですが、その中でも特に濃厚な漁村の雰囲気がします。
西灣から長洲港までは海岸から離れて、療養所や学校、別荘の中を抜ける道になります。
私は当然歩きますよ。
2003/12/09