maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

喜愛香港-019 道教の神さん色々

2003-12-08 07:17:52 | 虚々実々-喜愛香港

道教の神でも高位とされる三清四御等の神は想像によって作られた観念的なもの、若しくは星などの自然界に存在するものに神格を仮託したものがほとんどです。
位階序列に色々なバリエーションが有るとは言え、この神々は道教世界を形作るために官僚機構のような組織をもって構成されてるんです。
どうも官の匂いが気に食わん、面白ろない。

それに反して、神さんも下っ端になって、人間世界という現場に近づくに連れて、親しみの持てる神さんや、中にはこれはどうか?と思うようなのも混じって、真にもって面白い。
対する人間の方も、あたかも我の祖先のような気持で敬い、場合によっては供物で釣ってこき使ったり、虚偽の報告をさすように脅したりする事すら無きにしも非ず。
こういう付き合い方というのは好感が持てますね。
何よりかにより、日本の八百万の神さんに負けず劣らず数が多くて多士済々。
チョット門口から覗いただけでも媽祖を初め魅力的なお方が目白押し。
はまり込んだらエライ事になりそう。

高位の神さんの中でも、中国北部での碧霞元君(天仙娘々)のように至る所に廟(娘娘廟=ニャンニャンミャウ)があって、南部の媽祖のように親しまれている場合もあります。(ん?北部のカミさんは北京語の読みで行かんと変か?まぁええか・・。)
第二次大戦中に北支で従軍した方たちは、偉いさんは別として、大抵「にゃんにゃんびょう」には何かの想い出を持っている人が多いようです。
私の亡父は、第二次大戦の前、まだ日支事変と呼ばれていた頃に応召されて出征しました。
上陸後八日目に幸運(?)にも負傷、以後兵役免除となったお陰で私が生まれたんです。
北支では無く杭州湾から蘇州を目指したので中支なんですが、やはり娘娘廟が有ったそうです。
子供心に「にゃんにゃんびょう」というどこか陽気な感じさえする語感に惹かれましたね。
初めて現物の娘娘廟を見た時、近所のお宮さんのような親近感を覚えたのはそのせいでしょうなぁ。
又話がそれそう・・。

いわゆる俗紳と呼ばれる道教の神さんには、修練を積んで仙人になった人、歴史上の有名人、忠臣、賢人、小説などの登場人物(孫悟空は猿物?)が神さんになってるんですね。
仙人になったと言うても、どうやら大半はいわゆる仙丹を飲んで平たく言えば中毒死。
「石や金属は不老不死やから、それを材料に作れば良かろう」と鉛化合物から何から混ぜて、よせばいいのに水銀化合物もてな恐ろしいものを飲んだら死んで当たり前。
そんな薬物中毒で死んだような連中を神さんとして祭るのはどうかと思いますなぁ。
仙丹のイメージがあるから、私、中国の薬は未だに訳もなく恐ろしい。

嬉しい事に、孝行な人、善良な人等という、そないに遠い昔の人でもない、早い話が近所の生身の人間やった人も道教の神さんになれるんです。
俗神の中にかなり居てます。
マヤカシ臭い仙人より、こっちの方がず~っとよろしい。
しかしこの類も、そんなくらいのことで神さんになれますのんか!というのがかなり有りますね。
この辺りは日本の神社よりも遥かに門戸が広いですなぁ。
いや、赤穂浪士の大石神社があるから日本も負けては無いか?

西遊記の孫悟空も斉天大聖等という立派な神号で神さんの一員なんです。
歴史上の人物としては包拯、範仲淹、秦叔宝、劉猛将軍、屈源等々、鍾馗に至っては科挙の万年落第生。

中々ユニークな方が多いですねぇ。
モンゴルに抵抗した南宋の僧で清水祖師なんてのは、死んだら「国防や国難打破の神になる」と遺言したんやそうです。
ホンデ死後廟を建てて、像を祭っていたら、危難や災難が起こりそうになると、鼻を落として前兆を示したんやそうです。
皆んなは仰天して落鼻祖と呼んで大切に祀ったと言うんですが、お告げを示すのに鼻を落とすか!
ウィンクするとか、何か他のましな方法は思い付かったんかいな?
こういう、浦島太郎が玉手箱を開けたらタコ焼きが入ってたような発想に出会うと、マイッタ!と這いつくばってしまいますね。

日本でも祭られている薬の神さん神農(炎帝神農)さん。
姓は姜さんというんやそうです。
私なんぞは、大阪船場道修町に神農さん(少彦名神社)があって、とりわけ身近に感じるんです。
此処のお祭りは11月22~23日、大阪のお祭りの最終で「留めの祭り」。
笹にぶら下がった張子の虎が無病息災のお守りですねん。
ここの神農さんは虎に跨って手に薬草を持った品のエエご老人。
これが何と!本家本元の中国の神農さんは、人身牛頭いうから人間の身体に牛の頭が載ってるんでっせ。
中国神話の女神、女過(女[女+咼])の死後、皇帝になった古代中国の神話上、もっとも有名な皇帝やと言われても、これは西遊記の牛魔王そのまんまやがな、化け物でっせ。
確かスカンジナビアの神話でもそんなんが居てましたなぁ。
生後三日目で喋って、五日目で歩いて、七日目にはもう歯が生えた。
成人したらは身長が3メートル以上あったというから、こんなお方を背中に乗せて薬草探して野山を駆け巡った虎は大変やったやろうね。

民間の俗神でも皇帝が正式な神と認定すると、国が廟を建てて維持管理し祭祀には皇帝の使者を遣わすと、一躍大出世。
我、媽祖もそうですが、関聖帝君(三国志の関羽)、真武大帝、文昌帝君その他大勢がこの口です。
そのほかの言わばヒラの神さんには、仏教系の神もあるし、雷公、雨師、薬王、瘟神、城隍、土地、門神、竈君、財神、福神等が居ります。中でも変っているのは紫姑神(三姑神)。 この神さんはトイレの守り神。
トイレの汲み取り口に、紫姑の御神体として銀の簪を入れたゴミ取りを置いて祀ったり、トイレの壁に肖像を貼って無病息災を願うんです。
最近は水洗化されたトイレが増えて祀られていないケースが多いような気がします。
紫姑というのは別段偉くも何とも無いんです。
唐の時代、山東省生まれで、姓は何、名が媚、字を麗喞という女性。
大変な美人で、山西省寿陽県の県知事が見染めて、彼女にしたそうです。
ところが県知事の正妻である曹夫人に嫉妬され、正月の15日、トイレで殺されたといいます。
それを天帝が哀れんで神にしたと言うんですが、こんなん好色な木っ端役人(中国の県は小さいから県知事というても村長程度の役人)、ヤキモチ焼きの正妻、ふしだらな紫姑ねえちゃんの三角関係、単なる痴情による殺人事件やんか!
天帝が哀れんで神にした言うけど「紫姑ねえちゃん、神さんにしたのは私のはからい。魚心有れば何とやら、エエやないか、ムヒヒヒヒ」てな下心が有ったんやなかろうか?絶対そうや!とおっさんはツイ邪推するんですねぇ。

媽祖に戻れば、同じようにイスラム圏で海の聖人として崇められているヒズル・イルヤースKhidr Ilyas(トルコ語でフズル・イルヤスHizir Ilyas=フドレレズHidrellez)はインドネシアからマレー半島のイスラム地帯に廟が有るようですし、ヒンドゥ系かと思われる、王女カディタが海に身を投げて、海の女神となった龍を従えたジヤワの海の女神ニャイ・ロロ・キドゥル(Nyai Raro Kidul、カンジェン・ラトゥ・キドゥル)と媽祖の関係等は調べると面白ろそうな気がしますねぇ。

イカン、イカン、こんな事ばっかり駄弁ってたんでは香港が怒ってしまう。
ボチボチ、東湾に向かって歩き出しまっさ。

2003/12/08

喜愛香港-020 長洲-4

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