maidoの”やたけた”(ブログ版)

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Kun Bin maidoの秘密兵器(再録)

2022-03-10 11:29:38 | 支離滅裂-物曼荼羅

ストレス解消にはこれ1本!
十数年前に民族学博物館のミュージアム・ショップで手に入れて以来愛用して居ります。
確か200円のが、会員割引で160円やったと思います。
フィリピン、ミンダナオ島に住んでいるタガビリ族(Tagabili、T'Boliともいうらしい)の竹口琴なんです。
何に使うかと言いますと、イライラ、ザラザラした気分を切替えるのにもってこいなんですねぇ。
構造は簡単そのもの、竹のへらの半分ぐらいに、舌状に切り込みを入れただけなんです。

お見苦しい下半面(ツラ)をお見せしてすんまへん。
演奏(?)方法は唇に咥えて、端っこを指で弾くという、これ又簡単至極、誰でも出来る。
適当に口の中の容積を変えると微妙に音程が変わります。
音程が変わると言ってもたかが知れていますので、音符などの難しい知識は不要。
提琴のように「下手が弾くと凶暴な不快騒音を発し、妙なる音色を出せるまでには修練を要する」てな難しい事は一切なし。
音色はのどかで、マンガティックなビィヨォ~ン、ボョオ~~ン、ポョヨォ~ン
しばらくこの間抜けな音を聞いていると、頭蓋骨に音が反響して、脳味噌がポョヨォ~ンとなってまいります。
大層に言えば忘我の境地。
そうなりますてぇと、イラッ!ポョヨォ~ン♪、カチン!ビィヨォ~ン♪、プチッ!ポョヨォ~ン♪、脳味噌が懸命にテンションを高めようと頑張っても、悉くはぐらかされ、イナされ、細かい事が考えられんようになります。
その内に、カリカリしてもエエ知恵は湧かん(して無うても湧かん事には変わりは無いねんけどね)、此処は一先ず置いといて、という気分になるんですなぁ。

美味いモンは宵に食え、言いたい事は明日言え。
ちょっと時間を置いたら、大抵の事は「そないカンカンになる事も無いか、なんで又私しゃそないに気が立ってたんやろ?」と思えてくるんですよ。
濫用すると副作用で、頭の回転が落ちぱなしになるかも知れまへん。
一時(イットキ)でもストレス解消、脳味噌が休まる事は請け合いです。

ただ、イライラの原因の相手を前にしてはちょとやり難いから、頓服の役には立ちません。
キャンキャン言うてる面前で、やおらを咥えて「ちょっと待って、気持を落着けるよって」ポョヨォ~ン等とやると、十中八九、「おちょくってるのんか!」と張り倒されるでしょうなぁ。
おちょくってるんやから、正解とはいえ張り倒されるのはかないまへんで。

一時、金融機関が無理難題をいうて来た頃は、反撃するにも、相手は強い賢い、こちらは弱い頭脳今一。
格段に力が違う相手に力ずくでキュウキュウ言わされるのは、非常にオモロ無い。
つい、一寸の虫にも五分の魂、窮鼠かえって猫を食む、オノレ吉良上野、となりそうに何回なったか・・・。
そうかいうて、正面衝突して「ホナご縁がなかったと・・・」と言われたら、自己資本が貧弱故に会社が頓死してしまう。
金が有ったらなぁ、有ったら最初から金融機関の世話になってませんが、無いもんは無い。
真にもって金が仇の世の中。
ストレス溜まり放題、解消法無し。

止む無く、しょっちゅうポヨン、ポョ~ンとやってました。
チャンチャンバラバラが済んで、ビィヨォ~ン、ポョ~ンとやってると、言い残した事が、と支店長が逆戻りして来て、秘密兵器を見られてしもた。
「何です?それ・・・」と呆れてましたなぁ。
かというてその後、別に取引条件が悪くもならんかったねぇ。
ひょっとして、彼も家で密かに鳴らしてたんかも知れませんで。

タガビリ族というのはMindanao(ミンダナオ)島のDavao(ダバオ)の南西一帯に住んでいる、5万人程度の先住民やそうです。
(Mindanaoといえば、アジアの吟遊詩人、あのFreddie Aguilar(フレディ・アギラ)が「Mindanao」という名曲を歌ってましたねぇ。)
もとはもっとエエ場所に住んでたんやけれど、マギンダナオ族(Magindanao、イスラム教徒)等に追い立てられてしもたんですて。
タガビリ族の中には、山岳地帯に移住したシブ族と、山岳地帯にある湖周辺に住むウブ族、海岸部に住むモヒン族があって、どうやらこれはシブ族の物らしい。
そうなると、間抜けな音に何かしら哀愁を感じるのは考え過ぎかいな?

この種族は紀元前1万年~8千年(一説では紀元前5千年~紀元前500年)に多分中国南西部から渡って来た、原始マレー族(Proto-Malay)とされてるんですね。
そうするとタガビリ語は知らんけれども、マレー語がベースかな?
「Kun Bin」てどういう意味かいな?とマレー語辞典で調べたら、「小さな虫」「小さな鳥」。
なるほど、羽音か!

ヒレの長いマンボウかいな?と思ってた模様はどうやら鳥らしい。
そうや無いかなぁ、と勝手に思うてるだけでっせ。
タガビリ語と現代マレー語との近縁関係がどの程度の物か私は知らんのです。
偶然それらしい意味に行き当たっただけかも知れません。
原始マレー族の末裔とされる台湾原住民、ボルネオのダヤック、イバン族などの中に、近所のオッチャン、兄ちゃんと似た顔を良く見掛けますねぇ。
原始マレー族は「原日本人(?)の主要な要素であった可能性が大」やと、私勝手に思うてますねん。
これに少々関連したお話を、何時かは物にしてアップしたいともがいているんですが、余りにも相手がでか過ぎて、何時の事やら・・・。

舌の部分の拡大です。


「エエなぁ、欲しいなぁ」と言う物好きな人が結構ありまして、民族学博物館にいったときにお土産にと思って探したら、もう売ってなかった・・・。
例によって、これくらい自分で作れんか?とやっては見たんですわ。
簡単単純な構造やんか、と舐めてかかったら、実は工作がはなはだ難しかった。
竹の繊維に直角に細い切り込みを入れるのが、思った以上に難かしい。
おまけに繊維に平行に切り込みを入れようとすると、ピッと要らん所までヒビが走ってしまうんです。
見本を見ると、上手い事、節(フシ)を利用してますなぁ!
細工のし易さは竹の種類にもよるんでしょうかねぇ?

やっと舌の輪郭が切れたと思ったら、厚さの調整がコレ又微妙。
厚過ぎても、薄すぎても鳴らんのです。
どうやら、舌の部分の厚みと、竹そのものの弾力を上手いこと調和させるのがミソですなぁ。
ミソは判ったんやが、ビンビンいうばっかりで、ポョヨォ~ンというあのまろやかな音が出んのです。
こんな音では余計に神経がササクレ立ちまんがな。
山程の竹の削りカスを作って、イラチのオッサンは結局諦めてしもた。
200円そこそこで日本で売ってた、という事は原価は何ぼやねん?
タガビリ族は、これを1本作ったら果たして幾ら貰えてたんやろか?

ところが今回アップするにあたって、駄目元で検索してみたら、何と結構アッチコッチで売ってますねぇ!
それも250円から500円くらいまで値の幅は有るけれど同じ物みたい。

Webて凄いですなぁ、日本て凄い国ですなぁ・・・。

初出:2004/06/10
再録:2022/03/10
物曼陀羅



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