maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

喜愛香港-050 香港の結婚式-7

2004-04-03 16:14:38 | 虚々実々-喜愛香港

大根餅のオジさんが呼びに来たんで自分のテーブルに戻ると、乳猪(小豚)の丸焼きがデ~ンと出てました。

昔は新娘(花嫁)が純潔やった印に、新郎側が結婚の翌日に猪(豚)の丸焼きを花嫁の実家に送る風習が有ったんやそうです。
お金持ちは、1頭と言わず何頭も赤い布で飾った豚を台に載せて、お神輿みたいに掛け声をかけて担いで行ったもんやそうで、それをご近所親戚にお裾分けしたんですて。
見栄えの良いでっかい豚で「どや!」とエエ格好するか、高級志向で乳猪で行くか、婚家の品定めのネタにされるから送る方も悩んでしまうわねぇ。
近所からお嫁さんが出ると「明日あたりは豚がくるぞ♪」と皆んな心待ちにしてたんやそうですなぁ。
そらもう、この時の豚は一世一代選り抜きの豚を腕によりをかけて焼き上げたもんやそうです。
これをお裾分けするのには気を使うたんやそうで、貰ろた方も、尻尾の先っちょとかケツのヘタとかやと、いかにも軽んじられてるようで気ィ悪いがな。
そうかいうて、三枚肉のエエ所は限られてるし、足もムカデや無いから4本しか無い。
お付き合い、親しさの程度を測られるとあって、ああでも無いこうでも無いと苦労したんやそうな。

お裾分けの配分に頭を悩ませているのは幸せな方で、万々が一、待てど暮らせど猪(豚)の丸焼きが届かんとなると一大事。
今更己の保護監督教育の至らなさを悔やんでも手遅れ。
ひょっとしたら返品を喰らうて娘が出戻ってくるやも知れん。
仮に当人同士が承知の上でそのまま無事に済んだとしても、面子を大事にするお国柄やから、真にもってご近所親戚に対して具合が悪い。
そんな時はこっそり自前で猪(豚)の丸焼きを頼んでお配りしたそうです。
再婚の場合は勿論豚は無し。
口の悪い連中に「あいつは豚代を節約しよった」といわれたもんんやて、辛いねぇ・・。

「今時そんな事を厳密にやったら、豚の丸焼を食べる機会は激減するよ!私メシの食い上げになるよ」
オジさん、そういう事を此席ではあんまり大声で言わん方が・・・。
「ゥエンは子供の時から知ってるがあんなエエ娘は珍しい。検査はしてないが純潔間違いなし。旦那は大威張りで豚を配れたねぇ。今時滅多に無い幸せ者や!ワシと一緒や。君等も大きな顔で豚を配れるお嫁さん貰えよ。その時は安うサービスしたげるでェ。」
ユム君間に入って通訳に難儀してますなぁ。

今は事実はどうで有れ、豚代の節約は許されんそうです。
特にレストランの中国料理披露宴には否応なしに出てくるんやて。
そら、打ち合わせの時に「実は豚は要りません」とは少々言い難いでっせ。
なんにも、メニュー決めるのに診断書が要るで無し、そういう至って微妙なプライバシーを公表する事は無いがな。
出るにはでるけど、予算によって、大きさ、オスメス、顔付き、肉付き、焼き方が全く違うんやそうで、今日のは飛び切り、非の打ち所が無い「天上第一號」やそうな。

そやからこれは言わば縁起物、何が何でも食べんと承知せんと言うんですわ。
「あんたは一番遠い所からわざわざ来てくれたんやから、最初に食べて」と言われても豚の尾頭付きでっせ。
言わば豚さんのいといけない幼児の焼死体・・・。
いくら生まれたてで小柄やとはいえ、4つ足の姿まんまで腹這いというのは、正月の睨み鯛より格段に迫力ありますがな。
どう細工してあるのか、顔がニンマリ笑ってるみたいなのが反って不気味やなぁ。
頭に齧り付くの論外として、何処から手を付けたらエエもんか?
何かお作法が有って、最初は鼻とか目玉からなんてのも困るねぇ。

すると大根餅のオジさんが腕まくりをしたかと思うと、テーブルに有った取り皿を手に持って、皿の縁をナイフ替わりにサクサクと切ってくれました。
それほど柔らかいんやろうけれど、素人が闇雲にやったんではこう鮮やかには捌けんやろうね。
切ったあとも、手足を広げてベテッと俯伏せになった姿はほとんど崩れてませんねん。
プラモデルを組む前に部品を並べたみたいな感じやなぁ。
さすがにお肉屋さんですなぁ。
皆んなが拍手で賞賛したら、大サービス、各々に取り分けてくれました。

丸ごとはカナワンけれど、切り身になって皿に載ると、コンガリと栗色に焦げた皮のテカリ具合といい、実に美味しそう。
見た目だけや無しに、まぁ、皮がパリパリで香ばしいし肉はフォワフォワ、脂っこくも無く、ホンマに美味しかったですなぁ。
既にエエ加減満腹でもすんなり食べてしもた。
「どう?」言うから「很好食!(ゴッツイ美味しい!)」言うたら、オジさん何処かへ行って、もう一ッ匹調達して来た!
そうは食えんよ・・・、て結局は食べたんですけどね。

大根餅のオジさんはお酒が廻って、ますますテンションが上がってるけれど、酔い崩れん所は立派ですねぇ。
見回しても日本でよく見るグダグダに酔うたんは居りませんなぁ。
何でやろ?皆さん途轍も無い酒豪ばっかりやろか?と訊いたら「酔いつぶれて醜態を晒すと面子が無くなる。面子を無くすと付き合いも商売も出来んようになる。」そうです。
日本の酒飲み諸君、見習わなあかんで。
韓国も日本みたいに酔うてクダ巻くのがタマに居てるね、あんたらも一緒に見習いなさい。

それにしても、猛烈に食べて呑んで喋って、このバイタリティは到底我々大和民族の敵う所やないね。

地べたや家屋、家財は一旦事が起こっても持って逃げられん。
お金なんぞは紙切れになるのは何度も経験済み。
美術骨董、宝石貴金属は取り上げられる恐れが有る。
金が出来たら、先ず美味い物を食べて、腹に入れてしまえばもう誰にも盗られん。
コッチのもんや、ざまぁ見ぃ♪

というのを聞いたことがあるけれど、じっさい動乱の歴史に鍛え上げられた食欲は筋金入りですなぁ。
亜熱帯から熱帯にかけては、つまみ食い文化というか、朝から夕方までしょっちゅう軽食、スナック的な物をチョコチョコ食べるんですねぇ。
ホンで夜に宴会でもあろうものならドカンと食べる。
それも香辛料タップリ、油ゴッテリのが多んでっせ。
「暑いと食欲が無くなる」などというのは上品ぶった温帯育ちの軟弱な輩の戯言で、そんな生チョロイ事を言うてたんでは生き抜けん。
我々のロクに鍛えられてない胃袋とは段違いに柔軟性と消化性能が優れているように思いますなぁ。
私の台灣、香港へのお土産のリクエストの上位にキャ〇ジン・ゴールド等の日本製胃腸薬が入ってるんです。
しかし、リクエストしてるお方は決して胃腸が弱いんや無い。
安心して心置きなく暴飲暴食をする為なんですなぁ。
食べる事に掛けての情熱と直向な心構えは見習うべきものが有りまっせ。

食べ疲れの喋り疲れ、で時計を見たら10時をとっくに廻ってますねん。
やっと締めの「功夫茶と甜点心」がが出てお開きになったのは11時過ぎ。
9時間でっせ、9時間!お腹は一杯やし、眠たいし、頭は完全にオーバーヒート。
自分でも何を言うてるのか判らんご挨拶をして、さぁホテルに帰って寝よ、あ~エラ・・・・。

地下鉄有るかいな?

2004/04/03

喜愛香港-051 香港のお葬式(殯儀)

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