maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

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Today's maido (日記)を主に、新しい記事と併せて、OCNの旧maidoの”やたけた” 内の関連のある日付のToday's maidoや記事も此方へ再掲載しております。


☆☆☆ お薦め与太話 ☆☆☆
支離滅裂-迷想迷夢-地震対策の妄言 目次 をアップしました。(2015-01-18 )、OCNのHPにアップしたのは 2005/02/19 でした。

虚々実々-喜愛香港 目次 をアップしました。(2016-11-12)
虚々実々-心筋梗塞顛末記 目次 をアップしました。(2016-11-12)
支離滅裂-迷想迷夢-白姫伝説 目次 をアップしました。(2018-09-17)
支離滅裂-迷想迷夢-雨上がりの妄言2004-05-21 をアップしました。(2021-04-18)
虚々実々-U.S.A.-1964-目次 を更新しました。(2022-01-08) NEW

OCNのPage ONサービス終了(2015/2/28)に伴い、2015/1/1より当gooブログに本店を移転しました。

観梅の妄言-6 結の巻(後編)

2006-02-07 20:18:11 | 支離滅裂-迷想迷夢-観梅の妄言

切り替わるのが少々速過ぎました?
このオッサンはイラチやからねぇ・・・。

「あ~良かった!気がついた?」
「あれ、何時の間に元に戻ってん?若いままで良かったのに・・・。」
「若いままて何いうてるのん?こけたかと思たら押しても突いてもウンともスンともいえへんから、心配したやないの!」

「いやいや、若うのうてエエ、ヤッパリ自分の年に見合うた今のカミさんの方が安心や。」
「今のが安心て何よ?ほんなら前のが居てたん!」
「いや、若い頃のあんたの事やがな。コッチは相当経年劣化してるねんから、片一方だけが若返えられたら健康に悪いがな。先刻(サッキ)はほんまに血管切れるかいなと思たで。」

「変な事いうてるねぇ、ひょっとして若い子と隠れて浮気でもしてるのとちゃう?」
「アホな事いいな、見ての通りの半ハゲのおっさんを、金にもならんのに構うてみよかてな娘がいてるもんか。女房の言うほど亭主持てはせず、と言うのを知らんか?」
「持てるなんてこれっポッチもけっして思てないけど、邪魔臭がりのクセして時と場合によってはマメやからねぇ。それに人の好みは色々やし、サソリやブタをペットにしてる人もいてるらしいやないの。恐いもの見たさとか・・・」

「あのなぁ、そないにキッパリと言い切らんでもエエやないか。おまけに自分の亭主を妖怪やサソリ、ブタと一緒にしたらあかんで!」
「ホンマやねぇ、サソリやブタさんに悪い事言うてしもたわぁ。」
「とどめを刺してどないするねん。自分の結婚した相手やで。」
「そう、私も若い頃は世間知らずやったからねぇ・・・。」

「沈痛な顔でそういう事をいわれると、ズシ~ンと効くがな。」
「そやけど、心の底では大事な旦(ダン)さんやと思てるねんよ。」
「思うてるんやったら、底でや無しにもう一寸水面近くまでその気持を浮かべられんか?」
「無理!」

「そやけど、若いの何のて、気になるわぁ。どういう事?」
「まぁ、待ちぃな。さっきこけた時にどのくらいの間気を失しのうてた?」
「そやねぇ、ものの5分もたってないと思うけど。何で?」
「いや、今思うたらその間に夢を見たらしいなぁ。お前が急に15、6の頃に戻ってな。ほんで斯々然々(カクカクシカジカ)」
「その斯々然々(カクカクシカジカ)のところが判り難いねんけど、もう一寸判り易うに言うてよ。」

「そない言いなや、あんなややこしいのん話してる本人が判れへんのに、判り易うになんか言われへんわ。所詮夢やねんからエエがな。」
「まぁ時(トキ)がどうこうという話は置いといて、ヤッパリ若い娘が好きやねんねぇ、いやらしい。」
「かなわんなぁ!夢のことでいやらしい言われてもなぁ。第一他人や無いお前の若い頃やんか。」
「それは想像力が貧困で他にイメージが浮かべへんから手近な私で間に合わせただけちゃうん?」
「ウグッ、間に合わせたてなことがあるもんか。比翼連理でカミさんだけを想うてる証拠やがな。」
「おっちゃん、大変やねぇ、しっかりガンバリや♪」

ワッ、まだいてるんかいな、すると是は夢の続きか?
すまんけど今度はリセットや無しにフォーマットからしてんか、やり直したい事があるねん。

「聞き捨てならん事いううやんか?エッ、何をやり直したいことがあるのん、私と結婚したんが失敗とでも?」
キャ!カミさん、いやいや滅相も無い、決してそんな事は。
すると是は現実・・・、いや、そんな訳は無い、あ~頭が・・・。

「エ~ット、こいう時の応急処置はと・・・。[Ctrl]+[Alt]+[Delete] やったかしら」
オイオイ、又かいな・・・・

☆  ☆  ☆  ☆  ☆  

「う~ん・・・」
「ねぇ、大丈夫?」
「ん?あ、今度こそ大丈夫みたいや」
「もう若うないねんから気ぃつけてよ、老後の備えが出来てからやったらかまへんけど、まだ充分やないねんからね。」

えっ?「かまへん」とはあんまりなお言葉、いやはや、男なんてなもんは情け無いねぇ。
如何な英雄豪傑も母親にとっては何時まで経っても子供。
女房に外での肩書きを振り回してみても効き目は無し。

何のかんの言うたところで、女衆(オナゴシュ)の手の平の中を走り回ってるだけ。
キッチリ尻に敷かれてるんですなぁ。
敷かれてると簡単には悟らさんところが、女性の天性の賢さ、オイドの魔力。
まだ敷かれてない人は1回敷かれて見なはれ、実は結構快感やったりして・・・。

現実は厳しいねぇ、と言うものの、これが果たして現実かどうか?
夢か現(ウツツ)か幻か、嘘と真は裏表、所詮この世は泡沫(ウタカタ)の夢。
兎にも角にも、今見えてるのんが現実やと思わんと仕方ないんですなぁ。
梅見の事は、夢のまた夢か・・・。

やれやれ、少々荒っぽい緊急着陸やったねぇ。
今度は着陸場所をちゃんと用意してから飛び立とうっと。
毎回そう思てはいるんですが、いざとなると忘れて飛んでしまうんですなぁ。

さてと、次回はどっち向いて飛ぼうかなぁ。
全く懲りてませんねぇ・・・。

2006/02/07


観梅の妄言-6 結の巻(前編)

2006-02-07 20:14:28 | 支離滅裂-迷想迷夢-観梅の妄言

え~・・・、どないしょう、これは収拾がつきそうにないぞ。

May Day、May Day・・・、着陸予定地いまだ見えず、
エエイ、こうなれば奥の手の強行着陸あるのみ!
テキト~に胴体着陸を敢行します!カエルもメメズもちょとご免。

プルプルパッスン、プルプルパッスン・・・
補助翼降ろせぇ、針路良ぉし、足を踏ん張れ、歯を食いしばれぇ~、宜候ぉ~。
ドガガガ~ン ペテッ。




「気分はどう?」
どうもこうも、頭が痛いし、フラフラするわ。
「ほんなら、リセットしたげるわ、一旦真っ暗になるけど辛抱してね。ここのツボを5秒以上押してと・・・」


パッツン!

恐れ入りますが画面が変わるまで少々お待ちください。
ページを開いてから、約45秒で切り替わる段取になっております。
ローカルでは上手い事いったんですが、IE以外のブラウザーではどないやろ?・・・。

そんなもん、この忙しいのに待っておれるかいな!というお方は、
ココをクリックしてちょうだい。


観梅の妄言-6 結の巻(後編)

観梅の妄言-5 転の巻

2006-02-06 20:11:27 | 支離滅裂-迷想迷夢-観梅の妄言

<お断り>
例によりまして、記事の内容は特定の団体や個人とは全く関係ございません。
たまたま同名団体や個人が実在しておりましても、全くの偶然です。
アレレ?と思い当たられる方があってもそれは思い過ごし、決して貴方がモデルでは有りません。
まさかとは思うけれど、どんな勘違いをされるやも知れんのでお断りして置きます。
話の都合上一人称を使っておりますが、これは現実の私のことを書いてるんやおまへん。
あくまでも虚構、フィクションでございます。
ハックション!誰か噂してるんかいな?
</お断り>


竹林の陰に来た所で突然カミさんが立ち止まったんです。
それも普通の立ち止まり方や無い、急に電池が切れたみたいな不自然さでね。
不自然といえば、この話そのものがそうやねんけど、まぁよろしいやんか。
あんまり細かい事を言うてると出世出来まへんで。(ん、この台詞は前にも言うたような気が・・・。)

一体どうしたんかいな?と見ると目が虚ろになってますねん。
ありゃお腹が空いたのか、それとも貧血かいな?
ふらっと倒れ掛かるのを抱きとめたら、長恨歌やないけれど、侍兒扶起嬌無力(侍兒扶け起こすに嬌として力無し)。

これはこれは♪久し振りやがな!と念入りに抱かせて貰いましてん。

エエやんか、抱きしめるくらい。
ちゃんと婚姻届を三十数年前に出してるねんから。
しかしこの状態でカミさんに「痴漢!」とでも叫ばれたら、説明しても通るやろか?
そんな懸念がチラッとよぎったものの、直ぐに何処かに吹っ飛んでしもたねぇ。

若い弾力のある身体を抱きしめてたら、我に無く胸がドキドキ、頭がカァ~ッとして来ましたわ。
それ以上の事はネコや無いねんから、こんな所で出来んのが残念やなぁ。
こうなれば、梅みたいなもんどうでもエエわ。
早い事モノレールに打ち跨って、トットと家に帰ってウィヒッヒ・・・。
しかし、それまでこの夢が持つやろか、いや夢と決まったわけでもないのか?

おんぶするにもクニャクニャして背負い難いなぁ。
そうや背負子持って来てたら担ぎやすかったんや、まさかこんな事になるとは思わへんがな。
オ、イカン目がチカチカして来た、血管プッツン、ピ~ポピ~ポは堪忍してや・・・。

ちと興奮しすぎたか、目玉の奥でピカッと光が炸裂したような感じがしたと思った途端に、鈴を振るようなきれいな声がしますねん。

「これ賎(シズ)の男(オノコ)、賎の男よ」

おいおい、民主主義の全国民平等の現代日本でシズノオノコてな事をいうたら差別やと問題になるで。
一体全体私の何処が賎しいというねんな。

「そう怒(イカ)りやるな、ウメの木に宿り、花と香りを愛(メデ)で居りたれど、いとガサツなる山賤(ヤマガツ)奴等に取り囲まれ、すまひへと罷り帰るらむとおもひしが、あまりに永らく座りおったゆえか、お足(ミヤ)が痺れてしもうた。じゃによって、汝の妻女をお借りもうした。いまははや竹林にいたりぬれば、お返しもうすであろう。」

「何です?えらい中途半端にクラシックな物言いですなぁ。一体あんた誰ですねん」

「知らずとも良い、といひたきところなれど、一時(ヒトトキ)とはもうせ、夫婦の真似事などもせしゆえ明かしてつかわす。妾(ワラワ)こそかぐや姫とまうしはべるなり」

改めてカミさんの顔を見たけど、口はつむったまんまで物をいうてる風は全く無い。

そういえば耳からや無しに、頭の中で声がしてるがな・・・。
イカン、幻覚に幻聴が追い討ちを掛けて来たんやろか。
これは夢にせぇ、死んでるにせぇ念が入り過ぎてまっせ。

それにしてもかぐや姫なんてぇ代物は昔話の中でも天に帰ってしもた筈やがな。

「お伽話になりたるは、四百七拾九代前の駐在員なり。」

何、駐在員?ほんならかぐや姫は一人と違うんかいな?
入れ替わり立ち代わりでず~っと来てますのんか?

「そぉよ、おっちゃん。任期2年やねんなり。」

何やいな?突然雰囲気が変わったやんかい。

「かぐや姫らしいに喋るのんてむずかしいねんよ。ホンマは猛訓練で鍛えて、成績優秀な子を選抜して派遣するねんけどね。鍛えるとか努力てダッサイやんか、ウチそういうのってパスしたい人やねん。ほんでも私どうしても一回来て見たかったから、試験官にお色気攻勢かけて点数に下駄はかせてもろてん。」

えらい奴ちゃなぁ!
しかしカミさんが若がえったというんは、どういう理由(ワケ)やねんな。

「おっちゃんが悪いねん。あんたの頭の中のイメージを参考に変身したらあんな事になってしもたんよ。現実から逃避せんともっとちゃんと事実を直視せんとあかんやんか」

こらまた、えらい言われようやなぁ。
しかし、頭の中のイメージなんか参考にせんでも、現物があるんやから居抜きは出来んのかいな。

「そのまんま乗移ったらもとのんが壊れるねんけど、理由を説明するのは難しいなぁ・・・。私が作った仮想イメージを、おっちゃんの低級な脳味噌でも処理出来るようにコンバートせんとアカンのよ。もしコンバートに失敗したらオドロオドロしいのが出来てしまうねん。」

そんなんは堪忍やで、こう見えて恐がりやねん。

「以前はコンバーターにバグがあったのかよう出来損ないがあってねぇ。妖怪やお化けの正体はそれやねん。いまでもコンバートは結構手間がかかるねんよ。万一失敗したら消すのが又一苦労。そんな邪魔臭うて危険な事するよりも、低級な脳味噌はアクセスし放題やから、浮かんでるイメージをコピペして一寸モディファイしたら簡単で安全やねん。ホントはいかんのやけどね。」

おや?低級な脳味噌とは私の物をさしていうてるみたいに聞こえるがなぁ。

「そうよ当り♪演算速度も記憶容量もショボ~イ、これぞ低級の見本やね、旧型やし。とりえはセキュリティが甘いからアクセスしやすい事ぐらいかな?この時代の人間はそんなお粗末な脳味噌で身体を制御して、その上情報までよう遣り取りできたわねぇ。」

人を時代遅れのコンピュータみたいにいうて、失礼なネェちゃんやなぁ。親の躾が悪かったんやねぇ、それでは嫁に貰い手が無いで。

「おっちゃん、嫁とか結婚いうのはこちら世界の風習で、私等にはそういう概念が無いねん。嫁に遣るも貰うもあれへん、そやからそんな事言われても全~然こたえへんのよ。わかった?」

判ったも何も「こちらの世界」というからには「あちらの世界」から来たんかいな?それは一体何処にあるねんやろ?

「何処て、此処に決まってるやんか」

しかし、喋る前に答えられたらせからしいて余計にこんがらがるなぁ。

「基本部品は揃うてるけど、それぞれの性能がお粗末でトータルなバランスが取れてないから、こんがらがるのは無理ないわねぇ。おっちゃんの場合は脳味噌の演算性能もやけど、記憶域の断片化が極端に進んでしもてるのもあって応答が遅いのよ」

まるでバッタ物のハードディスクみたいな言われかたやなぁ・・・。
さっき「この時代」言うてたなぁ、すると過去の時代の筈は無いやろし、ほんなら未来から来たんかいな。
それとも宇宙人?千日前で見世物興行したらゴッソリ儲かるやろうなぁ!

さて、どうしたら捕まえられるやろ?
乗り移るくらいやから霊みたいなもんやろか?
抜け出さんようにラップで包んだら窒息するやろし、今からインターネットで調べても間に合わん、是は困ったぞ。
しかし待てよ、上手い事捕まえても外見はカミさんやもんなぁ。
三つ編みの昔風の女子高生ではインパクトが無いねぇ、特殊メークで誤魔化すか・・・。

「何をしょうも無いこと考えてるんよ!そうか、時間をまだ原始的な概念でとらえている世界では、どうしても未来とか宇宙と考えるんやねぇ。ねぇおっちゃん、ゴキブリに積分を教えられる?」

何やねん、やぶから棒に?そんなことが出来るもんか。

「ゴキブリは微分積分が理解できんでも幸せに何万年も暮らしてるやんか。それと一緒やから、私らの時(トキ)の概念を無理して判ろうとせん方が身の為ちゃう?そやし、何処から来たか、なんて事は聞いても余計判れへんやろうから気にせん方がええよ。」

一緒てゴキブリとかいな、あんまり人をコケにしたらドエライい目に遭わすで!

「ドエライい目に遭わすには、先ず捕まえんとあかんのんとちゃうのん?非論理的な上に3次元的にしか考えられへんのに無理やって。アインシュタインの幼稚な理論から全然進歩して無いねんから。」

そういわれたらそうやなぁ、しかしアインシュタインを幼稚呼ばわりするか!
ほんなら相対性理論や時(トキ)の観念はそっちではどうなってるねん。

「アインちゃんの考えたんも基本的には間違っては無いんやけどねぇ。光速に拘りすぎたんが理論の展開を邪魔したんと違うかな?1次元、2次元の延長上で4次元を考えてしまうのも無理ないけどね。」

アインちゃんとは気安過ぎるやないか、何?すると時(トキ)の軸は第4の次元と違うというんかいな?

「言うても理解できへんやろうけど、私等の世界は直線は1次元、平面は2次元、通常の空間を3次元でとらえてる未発達な世界を幾つも包み込んでてね。その中の一つが3次元で構成されて時が一方向にだけ流れてるおっちゃんの世界。理論上のn次元や無限次元の空間も考えてるようやけど、気の毒に思考のベースが見当違いなんよ。私等の時(トキ)は常に形を変える制御可能な、どないしたん!おっちゃん、アラッ、フリーズしてしもてるやんか。やっぱり無理やったんやねぇ。しっかりしてよ!」

ピーピーピー、ピッ、ピッ、ピッ・・・ピ~
「いややわぁ、メモリーがあかんようになったんやろか?」


何ちゅう事を言うねんな、ジャンク物のコンピューターやあるまいし。

「アッ、良かった!アクセス出来るようになったわ。ゴメ~ン、ついおっちゃんの程度を忘れて、能力を超えるお話をしてしもたわ。思いっきりレベルを落とした積りやってんけど、それでもアカンかってんね。ホンマにゴメンネ!」

ゴメンネと言われても、いっこも謝って貰ってるような気になれへんやんか。

2006/02/06

観梅の妄言-6


観梅の妄言-4 承の巻

2006-02-05 21:07:11 | 支離滅裂-迷想迷夢-観梅の妄言

<お断り>
例によりまして、記事の内容は特定の団体や個人とは全く関係ございません。
たまたま同名団体や個人が実在しておりましても、全くの偶然です。
アレレ?と思い当たられる方があってもそれは思い過ごし、決して貴方がモデルでは有りません。
まさかとは思うけれど、どんな勘違いをされるやも知れんのでお断りして置きます。
話の都合上一人称を使っておりますが、これは現実の私のことを書いてるんやおまへん。
あくまでも虚構、フィクションでございます。
ハックション!誰か噂してるんかいな?
</お断り>


さてピントを合わせて写そうとするんやけど、老眼のせいか中々ピントが決まらん。
よし合ったと思えば日差しが弱まって、改めて露出に頭をひねってるうちに又日が差して。
今度こそとファインダーを覗いたら、風で花が揺れてますねん。

風が治まったのに何時までしつこうに揺れてるねん?と思ったら花やのうて自分の身体が揺れてるんですわ。
ファインダーの中の揺れている花を、シャッター半押しで息を殺して見ていたら眩暈がして来た。
この「芳流閣」と名付けられた梅、緩い坂の途中に生えてまして、周りには春を待ってるギシギシやタンポポが生えてるんです。

他の花を傷めんように、枝の間に頭を突っ込んで不自然な格好で頑張ってたんで、つるっと足が滑ったんですわ。
アッと思った瞬間、写真機を放り投げずに庇ったのは天晴れケチの鏡。
それはええけど己の身を庇う事をコロッと忘れてた。
ズッデ~ンと物の見事に仰向けに引っくり返ってしもたんです。

一瞬目をつぶったらしく、目を開くと梅の枝越しの青い空が見えて「大丈夫?」という声。
柔らかい草の斜面やったんで別に痛いところも無し、どっこもどうも無い。
「うん、大丈夫、大丈夫。」
しかし、あの声はカミさんにしてはエライ若いで?
此処一番の緊急時用に若い頃の声を保存してたんかいな?

やがて視界に入ってきた顔を見て胆を潰した。
以前肝臓をいためて入院した前科があるから、人一倍胆が潰れやすいんですよ。
何で胆を潰したて、初めて会うた少女の頃のカミさんが心配そうに覗き込んでますねんで。

こらイカン、打ち所が惡うて胆や無しに脳味噌が潰れたか?
気を失うて幻覚を見てるんかも知れんぞ。
さもなければ、あっちゃ岸に渡ってしもたんかもなぁ。
何れにせよ、こういう時はともかく落ち着かんとイカン。

気を失うて夢を見てるんならばよし、もしも死んでしもてるんやったら、今更落ち着いてもしょうが無いねんけどね。
うろたえて三途の川にはまって、もう一回死んだりしたら、念が入り過ぎててアホらしいですやんか。
先ず落ち着くにはタバコでも一服して、とポケットから取り出して口に咥えたんですわ。
即「こんな所で煙草を吸うな!いうて相手に聞こえんように文句言うてたんは誰やったん?」とやられたね。

素直やから煙草をポケットに戻して、空を眺めてたんです。
「ほらほら、あそこ見てみ飛行機雲や!」
「ちょっと、そんなとこで呑気に納まり返ってんと、ええかげんに起きたらどうやのん?」
相も変わらず三つ編みのお下げを揺らしたカミさんが容赦なく言うんですわ。

ひょっとしたら、カミさんだけや無しに自分も若返ってへんかいな?ほんなら例え夢でも儲けもんや。
淡い期待で手を見たけれど何の事はない、還暦過ぎたオジンの手のまんまですわ。
「おい、オレを誰か判ってるんか?」
「しょうも無いこというてんと、早よう起きんと人が変に思うやんか」

寝っ転がってるんと、突然四十数才若還ったんとでは変の桁がちゃうわいな。
兎も角起きて手近な床机に腰を下ろし、家から持参のお茶を飲んだらちゃんと味がする。
もっとも、しょっちゅう総天然色テクニカラー、味付き匂い付きの夢を見るから、これだけでは夢や無いとも決められへん。

恥ずかしながら死んだ経験も無いねんから、死んだんかどうかの確かめようも無いんですなぁ。
しげしげと眺めても、やっぱり15歳のカミさんが目の前に居てますねん。
奇妙な事に着ている物は変わってない、体型が変わってないとこういう時は便利ですなぁ。
私はそうは行かんよ・・・。

改めて自分を見直したら、五体の感覚はあるし冷とうもなってない、どう考えても全く普通。
ま、感覚が有って、しかも苦しい事も無いんやから、仮に死んでたとしても一向に不自由は無いんですがね。
そうや、子供の頃によう見てた夢の中で、空中を平泳ぎみたいにして飛ぶというか泳ぐのんが出来たら、これは夢に決まりや。
高くも無く低くも無く、床上1.5mくらいの所をス~ッと夢で飛ぶのは快感でしたねぇ。
長らくあの快感を味わってないが、成長期にしか見られへん夢なんやろか?

まだ成長し切ってない部分があるんやけど、とんとあの夢を見せて貰われへんねぇ。
もしも夢ならもっけの幸い、一つ久し振りに飛んでみたろか?
立ち上がって幾ら手で掻いても、身体は温もったもんの残念な事に浮かびもせにゃぁ進みもせん。

横でその様子を見てたカミさんが、いかにも心配そうに「どうしたん、ホンマに大丈夫?」と聞いてくれるんです。
しかし、声に気色の悪い物を見ているような響きが混じってるで。
自分でも事態がどうなってるのかよう判らんのに、ホンマに大丈夫?と訊ねられても答えようが無いやんか。

しかし、周りの人はおばさんが突然少女に変身したのに気付いてないんやろか?
これがモスラにでも変身してたら、否応無しに気がついて大騒ぎになるんやろなぁ。
カミさんモスラに乗せて貰って、インファント島無料観光てぇのはよろしいなぁ。

いやいや、そんな気楽な事を考えてる場合や無かった。
「チョッと手ぇ見せてみ」
「何やのん急に?」と出した手は指の付け根にえくぼの出来る、忘れもせん初めて握ったあの頃の手やんか。
えっ、待てよ!結婚指輪してるがな。

「どうしたん?妙な顔して。顔色悪いよ、気分が悪いんやったらもう家に帰ろか?」
「おい、この指輪・・・」
「指輪が何?何時もの結婚指輪やんか」
え~!こら又何と、意識はそのまんまで身体だけが若返ってるのんか?
本人が気付いてないみたいなんが気に掛かるけれど、こんな嬉しいことがあってもエエもんかいな?

片一方だけが若返ってるというのんは不公平てな贅沢いうたら罰が当たる。
もぉ、こうなったら何でもええわ。
夢なら夢、死んだんやったら死んだで上等やんか。
45年間の思い出を共有してる幼な妻てなもんは、絶対手に入らんよ。
そう思えば儲けもん、一挙に気分がようなってしもたやんか。

どんな拍子で元に戻るやも知れん、そうなってから悔やんでも手遅れ。
自分の姿が自分で見えんのを幸い、せめて今の内は気持だけでも16歳の積りになって楽しもう。
死んだんやったらよもや生き返らんから安心(?)やけど、夢なら醒めんといてや、ムヒヒ、、、。

「そろそろ川の方に行こか?」
「もうエエのん?大丈夫?」
「大丈夫や、気分ようなった。」
大丈夫か、大丈夫でないか、どっちか判らん時には「大丈夫!」ということにしとこ。

しかし、カミさんやと判っててもドキドキするねぇ。
是だけ見た目の歳が離れていると、マゴを連れてるように見えるやろうねぇ。
そやけど、話してる内容や、仕草は夫婦やねんから、ドエライ狒々ジジイに見られてしまうかも知れんぞ。

そりゃぁまぁ、私にも狒々とまでは行かんにしても、ブタオザルかクモザルくらいの助平心は無いとはよう言わん。
いや、この際ハッキリしとくけど、ありまっせ、あらいでかいな。
そない力んで宣言する事も無いねんけど、いうても根が正直やからねぇ。

正直爺さんポチ連れて、敵は幾万ありとても、桃から、カラスが鳩ぽっぽ♪
と鼻歌混じりに竹林に差し掛かったんですわ。

2006/02/05

観梅の妄言-5