ルーマニア・ランニングライフ★Romania Running Life★

ダーリンはルーマニア人、マラソンシューズ゛と共に過ごす首都ブカレストでの日々。東欧の神秘ルーマニアを探索中+ラン遠征。

ヤシ探訪 am vizitat Iasi

2008-06-07 | お出かけ先のナイススポット

 
ルーマニアの魅力は地方都市にある、と常々思っていましたが、今回北東部のヤシを訪ねてみて又それを実感。ブカレスト人でも「ヤシハ、ブカレストトハ比ベヨウモナイヨ、ルーマニアラシイ街ダヨ。」と絶賛しています。

今までわたしが訪ね歩いたことのあるルーマニアの地方都市は、西のティミショアラ、トランシルバニア地方のブラショフ・クルージナポカシギショアラ・ビストリッツア・スフィントゥゲオルゲ(この日記ではサン・ジョルジュと書いて来ました)・ミエクラチュック、それに黒海沿岸のコンスタンツァ。すべてマラソン遠征で出かけています。



そんな中でもヤシは人口43万人(全域、市は30万人)、ルーマニア第2の都市で、活気もあり趣きもあります。特に今年建都600年を迎え、イベントも用意されています。

モルドヴァ公国の首都としてスチャバから遷都されたのが1565年のこと。次にモルドヴァ公国が南側のワラキア公国と統合し、ルーマニア公国が成立し首都がブカレストに制定されるまで、近代ルーマニアを代表する都市だったのです。
 


私が気に入ったのは、坂道を走るトラム。緑多いコポウ公園。歴史を感じさせてくれる建物群。街中のいたるところに偉人達の記念碑。それは文化・芸術の著名人であったり、歴史上の英雄達であったり。ヤシ大学はルーマニアで一番と言われる大学。あたりに若い学生達が多く見られ、彼らが活気を感じさせてくれるのかも。
 


とはいえ、ヤシ滞在中は毎日ホテルとスタジアムの往復。あらかたの時間を陸上競技場で費やしていました。チーム・ブカレストのナンバーワンベテラン、ステファンと。



ゆっくりヤシを歩いたのは半日、でも雰囲気を感じることが出来ました~ガイドブックのごとく街の北西から南東へ通りを下りながら写真付でご紹介。
 


毎日2往復した陸上競技場は緑深いコポウ公園(Parcul Copou)の中にあります。



コポウ、はモルドヴァ語。現在のモルドヴァ共和国はもともとモルドヴァ公国の東半分だったところ。言語もほぼルーマニア語ですが、方言のようなモルドヴァ語があります。
 


コポウ公園の中には詩人ミハイ・エミネスク博物館もあります。1889年6月15日にわずか39歳で亡くなったエミネスクは、ルーマニアの古今を代表する詩人。北部のボトシャニ生れで幼少期をその地で過ごしましたが、ヤシのこのコポウ公園で詩作に耽ったと言います。この緑深い公園の奥に彼の博物館があります。
 


博物館の敷地内にあるエミネスクの銅像は晩年のもの。口ひげを蓄えています。
 


こちらは聖三天使階級修道院の敷地内にあるエミネスクの銅像。二十歳まえのもの。晩年躁うつ病に苦しみ、彼が何の病気で早くに亡くなったのかは、諸説あるもののいまだにはっきりしません。



この若く端正な肖像は、ルーマニアの最高額の紙幣500レイで出会うことが出来ます。
 


生涯を独身で過ごした彼のガールフレンド・ヴェロニカの銅像も近くにあります。奇しくも生れ年享年ともにエミネスクと同じ。



「エミネスクの木」と記念にされるリンデン(シナノキ)も植わっています。
 


同じく公園内に、風格ある建物は優秀な人材の集まるヤシ大学(Universitatea Al. I. Cuzaアレクサンドル・ヨアン・クザ大学)。外壁も綺麗に手入れされ、夜にはライトアップされます。すぐ前がバス停になっているので、いつも学生であふれています。ちょうど卒業の季節、黒の䛛角帽をかぶりマントを羽織った学生達が、前面の階段で記念撮影をしていました。
 


華やかな建物は迎賓館(Onoare Patrie)。
 


通りから少し東へ入るとヤシ警察。
 


南東へトラムに乗るとこちらの広場に出ます。学生センター(Casa de Cultura a Studentilor)の前にはドレス姿のとても若いお嬢さまたち。



「トテモ素敵、写真ヲ撮ラセテネ。」「モチロン!私達ノパーティヲ見ニ来テ。」と半地下のバーで高校卒業パーティなのです。夜12時ごろまで盛り上がるそうで。



男の子達はまだ幼い感じも残っていますが、女の子達はとてもキュートでセクシー。ドレスとハイヒールを着こなしています。パヒュームの香りもさわやか。
 


坂道の落差をこんな風に階段状にしつらえてあるところもあります。
 


もう少し行くと統一広場(Piaţa Unirii)。面して建つのはホテル・ウニリ。今回のポリス・チャンピオンシップのオフィシャルホテルでした。外観は何の変哲もない箱型、共産時代からのものを塗り替えてあるだけ、でも室内はウエスタンスタイルに新しく改装され、3ツ星ホテルになっています。
 


同じ広場に面して建つホテル・トライアン。こちらはとても重厚な歴史物。
 


この統一広場には革命の英雄達の銅像。広場からさらに南東へ、ステファン・チェル・マーレ通り(Bd.Stefan cel Mare)沿いには、いくつもの歴史的建物が。



まず通りから北側、プロムナードを経て奥まったところに国立劇場(Teatrul Naţional)。ウィーンやプラハで同じような建物を設計したオーストリー建築家(Fellner and Helmer)によるバロック様式の建物だけでも見ものですが、クラシックやオペラ、バレエなどの演目、中にも入ってみたいものです。
 


同じ側に、ヤシの市庁舎もあります。ルーマニアの旗とユーロの旗。何処でもきれいにはためいています。
 


通りの南側には、ルーマニア正教会の大聖堂((Mitropolia Moldovei şi Bucovineiミトロポリア・モルドヴェイ・シ・ブコヴィネイ)。



自由に中に入ることが出来ます。たくさんのイコンで飾られたドーム内部はオルトドックスのもの。先生に引率された子供たちも来ていました。
 


モダンな建物はローマンカトリックの教会。



さらに南側、現在補修工事中の聖三天使階級修道院(Mănăstirea de Sf. Trei Ierarhiモナステリア・デ・トレイ・イェラリエ)。1638年にモルドヴァ公ヴァシレ・ルプ(Vasile Lupu)が、ヴァシレ・イオン・グレゴリの三司教を祀るために造らせたもので、モルドヴァ建築美術の美しさを見ることが出来ます。外壁は隅々まで細かい彫刻が施されています。



入場料5レイ(08年6月現在)を支払い中に入ることが出来ます。中はヴァシレ・ルプ公の柩も安置されていて、17世紀からのものなのです。ほかに2つの柩があり、これらはそれぞれ18世紀・19世紀のものです。上の写真は入り口のところ。中は撮影禁止。
 


さらに通りを進むと正面にネオ・ゴシック様式の大宮殿があらわれます。17世紀に建てられたモルドヴァ公国の皇太子邸を20世紀に入って博物館に改装されました。なかは美術館・歴史博物館・民族博物館・工芸博物館と4つの博物館になっていて、文化宮殿(Palatul Culturiiパラトゥル・クリトゥール)と呼ばれています。近づけば近づくほど、その大きさに圧倒される荘厳な宮殿です。
 


宮殿の前には、モルドヴァ公国を代表する武勇シュテファン・チェル・マーレ公(Stefan the Brave and Saint・在位1457~1504年)の銅像が。オスマン・トルコ軍を撃退し活躍したルーマニアの歴史上に残る英雄なのです。足元に供えられているのは生花の花飾り。
 


銅像の台座には、ターバンを巻いたオスマン・トルコ軍(向かって左側)との戦いの様子が描かれています。
 


宮殿の前にはドソフティの家(Casa Dosoftei)。ルーマニアに最初に印刷技術を導入したドソフティの生家です。現在は博物館として、聖書の版下などが展示されています。
 


その東側には、ヤシ最古の建造物と言われる聖ニコラエ・ドムネスク教会(Biserica "Sf. Nicolae Domnesc")があります。シュテファン・チェル・マーレ公が1492年に建てさせたもの。外壁には彩色された聖人画が描かれています。写真は向かって右側の側面です。

シュテファン大公はこのほかに戦勝のたびに北モルドヴァ・ブコヴィナ地方の修道院群を建てていて、このうちの5つの修道院はユネスコの世界遺産に指定されています(‘93)。

オスマン・トルコとの相次ぐ戦いに臨みながらも、宗教や芸術にも力を注いでいたのです。これら15~16世紀に建てられた修道院には外壁にフレスコ画が描かれていて、正教美術として高く評価されています。
 
さかのぼって、コポウ公園のさらに北側、丘の上には植物園(Grădina Botanică)があります。ヤシの人たちからは是非訪れるように勧めてもらっていたのですが、60ヘクタールの大きな敷地で、こちらまでは足を伸ばすことできませんでした。
 


でも広大な丘のようすは、ちゃんと脚で確認。スタジアムから約6キロ離れた別の丘がクロスカントリーの会場。行くときはバスでみなと一緒に移動しましたが、帰りはジョギング。穏やかに連なる丘を眺めながら、ヤシの空気を満喫してきました。
 


上の写真はクロスカントリーのコース上。4キロのコースでトップを引っ張るマイダーリン265番。この後258番のステファン(黒のユニフォーム)がスパートし、トップゴール、ダーリンは2位でした。「Feritari!(=おめでとう)」


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