鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2012/4/21

2012年04月22日 14時50分17秒 | ゲーム・コミック・SF
スッキリしない週末ですなぁ(-_-)
読了したけどうまいことレビューできないSFを2作立て続けに読んだので、まとめてレビューしてしまうヽ( ´ー`)ノ

終着の浜辺/J・G・バラード、伊藤哲訳(創元SF文庫)

SFというジャンルを超えたワン・アンド・オンリーの鬼才バラードの面目躍如、「一番濃い」作品を集めたような短編集。正に濃縮小説。最初に読むバラードがこれじゃなくて良かった(^_^;最初にこれ読んでたら、絶対その後バラード読む気になれなかった(^_^;
まず、SFとは言えない話が多いです。また、オチのない話も多いです。美しくて硬質な世界の断片がとぎれとぎれに提示され、登場人物たちはその中を目的意識もなくただ彷徨う、そんな掴みどころのない世界観。なんというかこぅ、他のSFとは、というか他の小説とは、物語の土俵が違うなぁという感じ。他を寄せ付けない圧倒的な存在感があります。が、ダメな人は多分とことんまでダメだろうなぁ。鴨の場合、「時の声」も「ハイ-ライズ」もすごく面白く読み進められたんだけど、この「終着の浜辺」は何度か置いてかれそうになりましたね。むぅ。

高い城の男/P・K・ディック、浅倉久志訳(ハヤカワ文庫SF)

第二次世界大戦で枢軸国側が勝利し、ドイツと日本が二分支配している世界。日本が支配しているアメリカ西側では、枢軸国側が破れた逆転の歴史世界を描いた小説が密かに流行していた。ドイツと日本の間にも覇権争いの不穏な空気が流れる中、小説の作者に会うため旅を始める女、歴史的民芸品の偽物を作って生計を立てているその元夫、盟主たる日本人相手にその偽物を売る古美術商などが、それぞれの思惑を抱えながら歴史の渦中に飲み込まれて行く・・・

いわゆる「歴史改変」をネタとしている、という点では明らかにSFなわけですが、この作品において、SFとしてのバックグラウンドはあまり重要ではありません。むしろ、この風変わりな世界の中で右往左往する登場人物たちが繰り広げる様々な人間ドラマをじっくり堪能するタイプの作品。話の途中にいくつかの事件が発生しますが、世界を揺るがすような「実にSFらしい」大仕掛けは全く登場しません。ラストを締めるオチもありません。登場人物たちにも、スーパーマンはひとりも居ません。誰もが脛に傷もつ卑屈な小市民に過ぎません。かーなり地味ですヽ( ´ー`)ノ
割と歴史改変ものSFには派手な演出の作品が多いような気がするんですが、敢えてソチラ方向に持って行かずに、歴史の中の個々人を丁寧に描き出すことに腐心した、ディックの狙い目は何だったんだろうなぁ。鴨的には感情移入できるような登場人物がひとりも居なくて、結局最後まで入り込めずに読了してしまったのですが、いつかあの世でディックに聞いてみたいです。

さて、次はわかりやすいの読むぞー(笑)
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