2012年03月28日(水) 記
10日間も空いてしまいました。申し訳ない。
3月に入ってから雪が降るたびに、「これがなごり雪かな」と冬と別れるさびしさ半分、春を迎える期待と嬉しさ半分、という気持ちになるのですが、いやはや今日は大雪でした。それに気温の低かったこと。
それでいても季節は着実に前に進んできています。
23日にはキジの鳴き声が、24日にはシカと何かわからない動物のだみ声の鳴き声が、27日の昨夜はキツネが軽トラの前を横切っていきました。
キツネは不思議な動物です。
ウインドウを開けて声をかけると立ち止まり、こちらを向いて首をかしげて話を聞くのです。天気の話、餌の話などをし、最後に「気を付けて」と言うと暗闇の林の中に消えていきました。
童話の「ごん狐」だの「手袋を買いに」だの、あるいは民話にもキツネが多くでてくるのはこうした「交流」ができるからかも知れません。人の行く前行く前をダダダダッと一目散に走っていくタヌキとはちょっと違う。
そして我が家のオスネコのクーちゃん。
春が近くなるとなかなか家には帰ってきません。去年の手帳を見ると1ヶ月近く戻ってこず、随分心配したものでした。すごい傷をつけてご帰宅遊ばしたときにはびっくりしました。
1年経って「寄る年波に」ですかね、今年の留守期間は平均3,4日というところでしょうか。
帰ってきたときはたらふく餌を食って日なか眠り込み、夜またご出勤です。
今朝のお帰りには右前脚にそこそこの傷を負っていました。
オスは動物も人間もつらいものです。
このクーちゃん、あまりにもかわいそうなので昨年、病気治療と去勢のために病院に連れて行ったのですが、傷があると手術できないということでした。治るのを待っていたのですが癒えたのがほんの10日~2週間前。で、また傷を負ってしまっています。
さて、このご無沙汰している期間中に読んだ本のなかに面白い内容があったので、これを紹介して今日の便りを終えることにしましょう。
幕末期、TPPと変わらない不平等条約だった日米修好通商条約を結ばせたアメリカの駐日総領事ハリスは、その著作に日本人および日本の社会についてこう書いています。
「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。一見したところ、富者も貧者もいない。これが恐らく、人民の本当の幸福の姿というものだろう。私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、果たしてこの人々の普遍的な幸福を増進する所以であるかどうか、疑わしくなる。私は、質素と黄金の時代を、いずれの他の国におけるよりも、より多く日本において見出す。生命と財産の安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる」(『日本滞在記』坂田誠一訳 岩波文庫)
アメリカが日本に開国を迫ったのは、太平洋上で捕鯨するアメリカ漁船への薪炭・食糧・水の補給のためと、私たちは学校で教わりました。
たしかにそれもそうだろうけれど、実はもう一つ大きな理由がありました。
それは、『極東の野蛮国 日本』をキリスト教によって「開明」し、文明国にするためでもあった(これは大航海時代からずっとつい最近まで、欧米列国による『侵略』の大義名分であった)。
現にハリスは敬虔なキリスト教信者であり、その目的を持って彼自身が希望して日本にやってきた、という。しかし、ハリスは日本人および日本社会を見て、少しは躊躇したのかもしれない。
『日本滞在記』のこの部分を読んで、つい最近見たNHKの『地球イチバン 地球でイチバン幸せな国ブータン』を思い出しました。ハリスの著作のこの部分と、TV画面に映し出されているブータンの人々、村落の景色が重なります。
そしてブータンといえば地震・津波の被災者を見舞い、「龍」の話をして子どもたちに希望を与えて下さったワンチュク国王夫妻を思い出す。
そして我が国のあの宰相の顔が浮かぶ。
訪米の際、名誉ある米議会での演説要請を断り、40数兆円の米国債を売却しないことを約束(つまり債権放棄)してあの史上最低の大統領と言われているブッシュに「我が外交の勝利」と言わしめ、はてはギターを持ってプレスリーの真似をしてブッシュにすら馬鹿にされているにもかかわらず、国内では顰蹙を買うどころか「国民的大人気」のあの宰相の顔を。
日本人は変わったのだろうか。