2011年09月29日(木)記
昨日だったか一昨日だったか、TVで番組表を見ていたらBS朝日で『にほん風景遺産 「津軽 農民画家が愛した風景」』という番組があったので見ました。
リンゴとコメを作りながら絵を描いていた、「常田健」という農民画家を紹介している番組でした。
彼は、リンゴ畑に囲まれた土蔵をアトリエにして、売らない(売れない、じゃなく売らない)絵を幾十年も描き続けました。
晩年、東京の画商による個展の誘いがあって以後、世に知られるようになり、それから『津軽のゴーギャン』と呼ばれて知られ始めた、ということだそうです。
番組で幾枚かの絵が紹介されていましたが、確かに「野良から生まれた絵」と言ってもいいくらい、野暮ったいけれど力強い、いい絵でした。私には『津軽のゴーギャン』というより、絵の傾向としては違うかもしれませんが『津軽のミレー』と呼んであげたほうが、常田さん(親しく呼んでごめんなさい)は喜ばれたんじゃないか、と思ったりもします。
というのはミレーと常田さんとの間には、「大地に働くことの賛歌」「農民への敬愛」が共通して流れているような気が私にはするのです。
番組の中で紹介されていましたが、詩も作っておられたようです。紹介します。
『満足』
冬、春、夏、秋
何回くりかえしてもいい季節だ
ただくりかえしていてくれれば
それで満足だ
ただこのくりかえしだけしか
ないように願う。
(『土から生まれた』より)
まさに「土から生まれた」農民の詩です。
毎年、毎年、コメを育てリンゴを育てる。
そこに喜びを感じ、誇りを持ち、生き…そして消えていく。
また尊敬する人を一人、知ることができました。
リンゴの花咲く頃、満開の花に囲まれた土蔵のアトリエと美術館、一度行ってみたいなあ。
そしてここにも、何百年もあるいは何千年も、秋になると繰り返されてきた風景。
今日の夕方の出来事です。