ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

アフリカの忘れ物、またまた発火!

2012-11-19 02:27:01 | アフリカ

 ”Ndigal”by Karantamba

 今回のこの盤は、またしても80年代アフリカはセネガル=ガンビア方面で活躍していた無名バンドの発掘音源CD化とのことで、それだけ聞けばもう、すっげえカッコいいサウンドが飛び出てくると決まったようなものだ。なんて言ってみたくなる気分。
 時の流れの果てに置き忘れられてしまうところだった過去のアフリカンポップスの知られざる傑作音源を掘り起こし、陽の元に明らかにしようという動き、そりゃ社会の片隅のワールドミュージック者の世界のできごととはいえ、小さなブームになっているようで、しかもそうして出てくる音源がそれぞれに埋もれていたのが不思議なくらいの聴き応えのある物件なのであって、スキモノにはなんとも嬉しい限りの昨今なのである。

 この盤は、大きなくくりでは土地柄、ムバラの一種と言っていいのだろうが、ユッスーなどの音楽と比べると、よりファンク色、サイケ色が際立っていて、ミステリアス度は倍増、ともかく音の奥行が深い。むしょうに血の騒ぐ出来となっている。
 全編、パーカッション群による壮大なリズムの波が押し寄せてくるのだが、そのありようはあくまでクール。サウンドの全体を覆う、この温度の低い感じで鋭く突き上げてくる刃物のようなファンキーな手触りが、このバンドの大きな魅力と言えるのではないか。
 そしてともかくカッコイイのがギターのプレイで、奔放に暴れまわるサイケ道全開のイマジネーションあふれるプレイにはすっかり魅了された。こいつのプレイを堪能できる録音はこれ以外、残っていないのだろうか。

 毎度、この種の発掘物件に接するたびに浮かぶ思いは、これらの音、同時期にユッスーやサリフ・ケイタが出していた音より、圧倒的にかっこいいんじゃないか?という疑問。
 リアルタイムでこれらのバンドをユッスーたちのその時期の新譜と並行して聴くことができていたら、私は文句なくこちらの連中に賞賛の拍手を送っていただろう。実際、こいつらの方がカッコいいもの、出してる音は。
 なのになんだって彼らは無名のまま終わり、ユッスーたちは”世界”に向けて飛躍できたのだろう?

 なんてのは、まあ、後出しジャンケンのような論理の遊びで、今更言ってみても仕方がない、ともかく今からでもいい、彼らの偉業をたたえよう、そして次に発掘される音源がどのようなものか、刮目して待つ!
 それにしてもサハラ以南のアフリカ音楽、私としては最新のサウンドとかにはまるで興味がなくなってしまい、こんな具合に過去の音源発掘ばかりに聞き惚れているのだが・・てえことは、アフリカ音楽、もう盛りを過ぎてしまったということなのかい?
 などと書いてしまったが、「おっと待ちねえ、そんな風に決め付けるたあ、ちとばかり気が早すぎるぜ!」と威勢よく、かの地から凄いバンドが飛び出してくることを願う気持ちは、もちろん溢れるほどだ





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