ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

MERRY WIDOW WALTZ

2007-02-14 02:03:36 | いわゆる日記

 私の町の桜が咲いてるよ、気の早い話だなあ。まあ、街の真ん中を流れる川のほとりには早咲きの特殊な種が植えられていて、そいつらはこの季節、とっくに満開状態になるんだけど、今年は普通種までがっ。

 連休も終わりで、我が斜陽の観光地もやっと道路がすいたので、気分転換に山間部の別荘地帯を軽く流してみたのだけれど、その辺りではあちこちで桜がもう咲き誇っていやがんの。いくら暖冬だからってなあ。

 ”春爛漫”という状態になってから別荘地帯の桜のトンネルを走り、その狭間から相模湾の波が陽光を反射して輝いているのを見たりしながら、その季節の銘柄指定盤、マントバーニの”イタリア・ミーア”を聴くのが春の日の楽しみだったんだけど、この分で行くと本物の春が来る頃には桜は皆、とうに盛りを過ぎて花も何もないって事になるんじゃないか。

 と、唖然としつつ早春の山を行く。

 あれはどこの会社だったかな、保険のコマーシャルで、中年からでも入れる保険、なんてのをやってるでしょう。いや、そんなの、あちこちの会社ではじめてますが、昨今。
 で、その一つでCMのBGMに”メリー・ウイドー・ワルツ”を使ってるところがありますな、私の聴き違いでなければ。

 「俺って糖尿病だからなかなか入れる保険がないんだよなあ」なんてCMのバックに”陽気な未亡人のワルツ”はないだろう、そりゃ悪趣味な冗談ってものだろう。と思うんだがね、どうなんだろうね。「どうせあなたもいずれコロっと行っちゃうんだから、奥さんのためにも入っておきましょうよ」かい?

 いや、いまどき”メリー・ウイドウ・ワルツ”なんて曲、誰も知らないからどうでもいい?いや、それにしても使った奴の真意って何なんだろうなあ。
 この文章を読んでいるあなたも、”メリー・ウイドー・ワルツ”なんて知らないでしょう?いや、クラシック好きの人は普通に知ってるのか。

 エレガントなワルツでねえ、旦那に先立たれた上品な中年のご婦人が、日傘をさしながらお散歩している様子が見えてくるような粋な曲で。昔は、こんな曲が昼下がりの雑貨屋の店先に置かれたラジオから、ひょっこり流れて来たりしたものだったけど。

 それにしても無茶だわ、この世の中。いや、私の聴き間違いだったら全面的に無意味なんだけどね、この文章。

 というわけで、当地では桜は部分的に満開であります。