土地

2019-09-16 21:55:55 | つれづれなるままに
実家は古い家なので、そこそこの広さの土地があった。

幼い頃は、余計に広く感じるのだろう。
家から一番離れた土地の端っこに、柿の木が3本。
その下に、西瓜が植えられていた。
遠くに感じた。

鳥小屋もあった。
肥溜めもあった。
途中、垣根で区切られていたりもした。

私が小学校の低学年のころだったろうか?
奥の畑に母の長兄が家を建てた。

祖父が亡くなった時に、土地の多くをその伯父が相続した。
母も伯父ほどではないが、結構な広さの土地を相続した。
母の土地と、伯父の土地の間は、垣根で区切られた。

母は、姉と私に土地を残すことに一生懸命だったと思う。
若い頃、母に言ったことがある。
「土地なんていらない」。
母は、「大人になったら欲しくなる」と言った。

大人になっても、土地が欲しいとは特に思ったことはない。
住んでいた社宅の取り壊しが決まって、家を探していた時に、
地元で親の土地に家を建てられる人はいいなあとちょっと思った。
でもそれは、私だって実家に帰れば叶うこと。
でもそんな気は全く無かった。

母が亡くなった時、母が残した土地の一部を相続した。
欲しかったわけじゃない。
姉にそう言われ、姉だけに固定資産税を払わせるのも申し訳ない気がしたからだ。
税金を払うくらいのお金は母が残してくれた。

名義は私になっても、実際に土地を管理していたのは姉である。
年に何回か、夫と草取りに行ったりもしていた。
でも、私にとっても、多分姉にとっても、母が遺した土地はお荷物だった。
姉はすぐに草まるけになる土地が苦になって仕方ないようだった。
退職したら、少しは畑をするかもしれない、そう思っていたようだが、
退職してみたら、それどころじゃないと分かったようだ。
元々畑仕事が好きなわけじゃない。

当初から、人に貸そうか、駐車場にしようか、アパートでも建てようか、
いろいろ言っていたが、私はいい加減に聞いていた。
何にするにしても、ブロック塀を壊して手を加えなければならない。
面倒だった。

信託銀行に相談したら、住宅メーカーを紹介されたそうだ。
実際見にきた担当者が、アパートを建てるのに良いと言ったと連絡があった。
そう聞いても、私にはまだ他人事だった。
姉がそれでいいならいいと返事をしたが、まだまだこれから考える話だと思っていた。

ところが違った!!
メーカーさんは、測量を済ませ、地質調査もして、設計図までできていた。
費用の見積もりも作ってくれていた。

「壊すときのことも考えなきゃいけないよ」と姉に言ったら、半ギレ状態だった。
草ぼうぼうになる畑は、姉にとってはストレスの対象だったのだろう。
でも実際、30年の借り上げの契約をして、
30年後に、直すか建て替えるか、それを管理するのはうちの子供たちだ。
私は、子供たちにお荷物を残すことになる。
申し訳ないと思う。

不動産を持っているということは、確かに良いのかもしれない。
昔は、土地神話のようなものがあったと思う。
でも、今はどうだろう!?
友人も、かなり離れた場所に、お母様の実家のあった土地があると言う。
車で2時間はかかるだろうと思われるその場所で、畑をしていると言っていた。
でももう管理しきれない。
売れるような場所でないので、市に寄付しようと思ったけれど、いらないと言われたそうだ。
空家問題もある。
不要な土地はお荷物でしかない。