T八百屋さんからあの話(みかんと共に流れた恋1 みかんと共に流れた恋2)はどうなったのかと言われて
再び書いてみる気になりました。
(食事中の方はご遠慮ください)
下痢はまるでひいては寄せる波のようです。
「もうだめだ!」
あきらめかけた時、スッーと苦しみが引いていきました。
「よし!この時だ」
私は信号を急いで渡りダイエーの中を駆け抜け
地下への階段をくだりました。
トイレが見えました。しかし、信じられない文字も飛び込んできました。
「清掃中」
トイレの前は青いシャツを着たおばちゃん達が忙しそうに掃除をしていました。
「うわ~」
心の中で悲鳴を上げましたが、過去の経験というのは大事です。
東京での数々の下痢歴が私を強くしていました。
「すみませ~ん!!!」
おばちゃん達を強行突破しトイレのドアをバタンと締めました。
「ふっ~う 助かった!」
それからの事は詳しく書くのは止めましょう。
(聞きたい方がおりましたらメールください)
みかんの恐ろしさをいやという程
味わいました。遠慮の無い外のおばちゃん達からは
「臭いよ!早く流せ!!!」
それほどひどい匂いでした。
体中がその匂いに包まれるのを感じました。
すっかり落ち込んだ私は、
隠れるようにトイレを後にし、下原行きのバスに乗りました。
バスに乗るひとは少なく、誰もいない一番後ろの席に座りました。
匂い対策に窓を開け、これなら何とかみんなに気づかれずに帰れそうでした。
バスの発車の時間が近づき何気なく外を見ると
白いコートをひるがえし駆けて来る可愛い女の子がいました。
「Rちゃんだ~」
私の初恋のRちゃんでした。
久しぶりに見るRちゃんは聖子ちゃんカットで決めて
ますます可愛くなっていました。
「まずい、こ、こっちへ来るな~!!!」
飯塚町に住むRちゃんは同じバスなのです。
バスに間に合ったRちゃんは肩で大きく息をし、バスの階段をのぼり
こちらの方を見ました。そして、私を見つけにこっと笑いました。
「来るな~!!!!!!!!!!!!!」
「なんでこんな時に会うんだろう。」
自分の不幸を呪いました。
ニコニコしながら近づいてくるRちゃん。
私との距離が1メートルを程になった時、Rちゃんの表情が曇り
あたりを見廻し、再び私のほうを見たときには
Rちゃんはすべてを悟っておりました。
一番後ろの席に私から1メートルほど離れて座ったRちゃん。
無言の時が流れていきました。
長い長い時間でした。
精米所前で降りた私は、吉田ふとん屋の坂を歩いて行きました。
ふとん屋さんの家に夕日があたりあかく染まっていました。
涙が,次々と頬を伝い流れ落ちて
拭いても拭いてもあふれ出てきました。
KYU二十歳の冬の事でした。
※みかんの食い過ぎには注意しましょう。