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谷崎潤一郎 「痴人の愛」 読了

2023年07月06日 19時38分00秒 | 読書
こんばんは、ジニーです。


今日は読書感想です。
珍しく生粋の日本文学に挑みました。

谷崎潤一郎(敬称略)の「痴人の愛」です。

アニメが好きな僕は、谷崎潤一郎のことを
文豪ストレイドッグスで知りました。
文豪を登場人物に据えた、異能バトルモノのアニメです。

このアニメでの谷崎潤一郎にナオミという妹が
いるのですが、このナオミが「痴人の愛」の
ヒロインであることを最近ようやく知ることになり、
無償に内容が気になったのが、読もうと思った背景です。


大正時代の作品ですので、時代背景ギャップなんかも
とても楽しく読めた作品です。


すごくシンプルに言ってしまえば、本作は
いわゆる恋愛小説に位置付けられると思います。
(著者自身は私小説としてるようですが)
主人公譲治とヒロイン ナオミが出会い、恋人になり
夫婦になり、という物語です。
しかし、この、ナオミが曲者で、とにかく奔放。
大正という時代の古い日本文化の時代背景にあって
主張し、男をたぶらかすナオミの存在は
とても異様で異質な存在です。

しかしながら、そんな異様で異質なナオミが、
破壊的なまでに存在感を放ち、固定観念にまみれた
当時の男どもを根こそぎ手球にとっていく様は
読んでいてとても痛快です。


よくこの時代にこんな作品が生まれたな、と感じます。
それくらい当時では先進的なテーマであり、
理解されにくい女性を書き上げているように思えます。

しかしながら一方で、この時代の人たちの
潜在的なところで求めていたものも、
こういった時代の枠をぶち壊すような作品だったの
だろうなとも思えるのです。
やはり、そんなパワーを感じる。


などと小難しい評論家のような言葉を並べましたが、
とにかく面白かった。
当時を知らない僕には理解し難い「当たり前」は
逆に新鮮で意味不明だったし、
本来しっかりして自立しているはずの主人公譲治が、
ドンドン流されて破滅していく様は、滑稽で痛快です。

ひょっとしたら男性よりも女性からの支持も
多かった作品かもしれませんね。


やめときゃいいのに、と何度思ったことか。
途中大きな動きがあり、ミステリー的な要素も
出てきますが、結局最後はナオミの勝ちという
本作の構成は期待を裏切りません。


タイトルからしてもっとお堅い文学かと思いきや、
思いっきりエンターテイメント作品でした。



最後に、本作を読むきっかけが文豪ストレイドッグスだと
書きましたが、このアニメは舞台化もしており、
その舞台でナオミ役を演じている齋藤明里さんが、
本作をYouTubeで紹介していたというのも
動機の大きな部分です。






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1 コメント

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Unknown (さくらもち)
2023-09-05 14:45:50
同じく谷崎潤一郎の「卍」もおススメですよ。

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