栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

「巣籠もり」作戦は本当に正しいのか、事態を打開できるのか。

2020-06-18 18:18:51 | 視点

栗野的視点(No.685)                   2020年5月13日
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「巣籠もり」作戦は本当に正しいのか、事態を打開できるのか。
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 強大な相手に対して、まず籠城することは一定の効果がある。

しかし、籠城戦で勝った戦いはない。その多くは兵糧が尽きたり病人続出で自滅している。

籠城戦が効果あるのは短期間だ。長引けば長引くほど戦死者数より餓死者数の方が多くなる。

今、その時期に差し掛かろうとしているように思える。

 本当に「巣籠もり」作戦は正しいのか。ボタンの掛け違いはなかったのか。

データを収集・分析する方向性は正しいのか。そういうことを再度出発点に戻り冷静に見直す必要があるのではないか。

未知との遭遇で人が取る5つの行動

 人は未知のモノや予期せぬ出来事に遭遇した時、様々な行動を取るが、

概ね段階ごとに次のような行動パターンに分かれる。

1.身構えと様子見

2.右往左往

3.怯えと軽視

4.敵対と協調

5.反転攻勢

 

     (中 略)

 

怯えは増幅し、同調圧力は強まる

 

 時間(日数)の経過とともに人々は冷静さを取り戻し始め、対象や事態を冷静に見つめようとする動きが増してくる。

もちろん、この段階でも根拠の薄い怯えと楽観視は残る。

 いや、むしろ両方の動きはさらに力を増していく。怯えはどんどん強くなり、さらなる防御姿勢を強めていく。

方向性を与えられたベクトルは決してジグザグに進んだり、ましてや後戻りすることはない。

ひたすら進む。それも速度を増しながら。これは拡大であれ、膨張、収縮であれ同じだ。

 今、怯えのベクトルに力を与えているのがTVを中心としたメディアである。

 特に酷いと感じるのがTVの情報番組。

一度ある方向(今回の場合は「自粛」)に向かい出したベクトルは決して途中で速度を緩めたり、

立ち止まることをしない。もっと、もっと、というように、さらに先へ進んで行く。

 TVは特に極端な映像を求めたがるだけに、視聴者側の冷静な判断が求められるが、

そうした情報に引っ張られる形で「積極的に」動き出す者もいる。

 「みんなが自粛しているのに、お前はなんだ。営業自粛しろ」というわけらしいが、

背景にあるのは不安と怯え。その裏返しで「自分は要請に従い、我慢しているのに、

それに従わない奴は許せない」という他者への怒りの行動となっている。

 これは戦時中の隣組組織などで見られた行動と同じだが、権力に従順な人、

強い者に従う傾向が強い人にほどよく見られ、自身の内に権力志向、権威主義的傾向を秘めている

     (中 略)

見るべきは感染者数より死者数

「専門家会議」の副座長、尾身茂氏は「報告されているより数が多いのは間違いない。

それが10倍か20倍か30倍かは誰も分からない」と答えている。

 「専門家」が、報告されている感染者数を信用していないばかりか、

どれほどの人が感染しているか「誰も分からない」と言うのだ。

 ここで本メルマガNo.683で書いたことを思い出して欲しい。

私はそこで感染者数に触れ「検査総数中の感染者数と、実際に感染した人の数の2つがある」と指摘していたことを。

 データのどこを見ればいいのか、どのデータを比較すればいいのか。それは死者数である。

     (中 略)

 

都市封鎖、巣籠もりは有効か

 同研究チームによると「人々が集まるレストランやバー、レジャー施設、イベント会場の閉鎖も

感染拡大の抑制に寄与した」が、「これら以外の業種における営業停止は、感染拡大の抑制に

ほとんど影響がなかったとみられる」。

 また「外出禁止は、COVID-19の発生率の減少との相関がなく、むしろ外出禁止の日数が

増えるほど、感染者数は増加した」とのこと。

 興味深いのは「巣籠もり」する日数が増えるほど、逆に感染者数は増加したという点である。

     (中 略)

 

高齢者、基礎疾患持ちこそ巣籠もりを

現段階で可能な最も現実的な方法は何かを考えてみよう。

そのためには感染者数より死者数の方が重要になる。

 というのは感染しても軽症で終わる人(中には無症状でいつの間にか治っていた人もいる)と、

感染すると重症化する人がいるが、重要なのは後者を減らすことである。

     (中 略)

 蛇足でもう一言。第2波、第3波の世界的流行はない(小さな流行程度はあるかもしれないが)だろう。

     (以下 略)

 

 

  全文はHPに収録、「まぐまぐ」からも配信しているので、そちらでどうぞ

栗野的視点(No.685):「巣籠もり」作戦は本当に正しいのか、事態を打開できるのか。

 


「COVID-19」関係の報道に感じるいくつかの疑問 Part2

2020-06-15 11:49:10 | 視点

栗野的視点(No.683)                   2020年5月6日
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「COVID-19」関係の報道に感じるいくつかの疑問 Part2
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 TVをつければ朝から夜まで「コロナ」「コロナ」の大合唱。

外出自粛を余儀なくされた身には勢いTVを見る時間が増えるが、どこのチャンネルでも

似たり寄ったりの内容で、そんな状態を1か月も続ければ自ずと結果は見えてくる。

気が付いた時には疑うことを一切しない、ある種「洗脳」状態に陥っている。


 かつて声高に反戦や反原発を叫んだ者達も相手がウイルスとなると、

「人類の危機」とばかりに、かつて歌っていた抵抗歌の代わりに「欲しがりません、

勝つまでは」の大合唱。

 いまや皆が一つ方向に向かい、突き進む不気味さ。

そして紙メディアも電波メディアも、それを後押しするように「緊急事態宣言」を

出すのが遅い、早く出せと、これまた大合唱。

   (中 略)

1.なぜスペイン風邪と比較するのか

 なぜスペイン風邪を引き合いに出すのか。

死傷者数が多いからではないかと思うが、100年前と今では時代背景がまるで違う。

 まず、スペイン風邪流行時と今では医学の進歩がまるで違うので同列には論じられない。

さらに決定的に異なるのはスペイン風邪流行時は第一次世界大戦中であり、

兵士から感染が拡大していった。塹壕戦で感染が広がり、戦死者よりスペイン風邪による

感染死者の方がはるかに多かったと言われている。

 このようにスペイン風邪は特殊な条件下で感染爆発が起きているわけで、

今起きているCOVID-19の引き合いに出すのは妥当ではないし、間違ったイメージを植え付けることになる。

   (中 略)

2.データの使用法に疑問

   (中 略)

3.データ分析は行われているのか

   (中 略)

 現段階でもある程度分かっていることがある。女性より男性、若者より高齢者、

健康な人より気管支や肺に問題を抱えていたり、糖尿病、高血圧を抱えている人の方が

重篤になるリスクが高いということが分かっている。

 さらに細かく分析すれば、もっといろいろなことが分かるかもしれない。

そうすれば打つ手は随分変わって来るだろう。

 今のように全国、全国民一斉に籠城ならぬ自宅に籠もって人と接触するのを避け、

ひっそりと暮らす必要はないかもしれない。

古来、籠城戦に勝ち目はない。打開できるのは外から援軍が来て包囲網を解いてくれた時だけだ。

 今、「自粛」を緩めれば、爆発的感染が起きる可能性が高いと言われるが、

重篤化するリスクの高い層が分析できていれば、そこを重点的に守ればいいということになる。

全国民を対象にすれば対応医療機関・医療関係者やベッド数の不足だとか休業補償費

(中には休業補償費も出さずに休業要請をしている自治体まであり、後者は何をか況や

というか無茶苦茶以外の何物でもない)だってうんと少なくて済むはずだ。

 ましてや感染者がゼロの県や自治体、また感染者数が1桁の県が全国に倣えで

「自粛」する必要もなくなるだろう。

   (中 略)

4.エビデンスに基づいているのか

   (以下略)

 

  全文はHPに収録、「まぐまぐ」からも配信しているので、そちらでどうぞ

栗野的視点(No.683):「COVID-19」報道に接して感ずるいくつかの疑問 Part2