栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

医師の話に乗せられてはいけない。

2014-06-06 18:19:39 | 視点
 最先端医療、最新医療に危険はつきものである。にもかかわらず医師はそうした治療法を行いたがる。
なぜなのか。端的にいうと儲かるからだ。
最先端医療、最新医療は保険適用外が多い。
そのため治療費は自由に決められる。
だから保険適用外治療をやたら勧める所は少し注意した方がいい。

 ところで腹腔鏡手術。開腹手術なら入院が必要だが、腹腔鏡下手術の場合は日帰り手術も可能なため、簡単な手術と受け止められがちだが、実はリスクは開腹手術よりはるかに高い。

 つい最近、千葉県がんセンターの消化器外科の同一医師による腹腔鏡下手術で7人が死亡していた問題を想起すれば、腹腔鏡下手術が安全でも簡単でもないことがよく分かるはずだ。
 この手術はモニターを見ながらの遠隔手術だから技術力と慣れが必要である。
私はそのことを鼠径ヘルニア手術をする時に担当医から説明されて初めてリスクのことを知った。
 その医師は事前に手術方法が2つあること、それぞれにメリットとリスクがあること、腹腔鏡下手術を選択した場合、担当医が自分はできないので部長医師にしてもらうことになる、と説明してくれた。
 その説明を受け、私はこの医師は信用できると思い、彼に開腹手術でしてもらうことにした。

 同じような話は白内障手術にもある。いまではかなりポピュラーになってきた手術で、多くの眼科で手術できるようになっているが、できれば個人医院のようなところではなく大きな眼科で、それも白内障手術例が多い医師からしてもらうようにアドバイスしている。
目を瞑ってもできるような簡単な手術ではないからだ。

 話をもう一度インプラントに戻そう。
日本の歯学部でインプラントの実習教育を取り入れているところは1、2しかないし、その歴史も極々最近からである、といえば少しおかしいと思われるに違いない。
だって、開業医がインプラントをし出した歴史の方が古いからである。

 では、どこでその手術法を習得したのか。
従来の歯の治療と同じ技術なのか。
答えはノーだ。
インプラントは顎の骨に穴を開け、そこにネジを埋め込むわけで、ドリルに力が入りすぎれば骨を突き抜け顎を傷つける。
力加減が非常に難しいから、きちんと技術を習得してから取り掛かる必要がある。

 ところが、大学ではその実習が行われていない。
とすれば、開業医はどこでその技術を習得したのか。
ちょっと考えてみれば恐ろしいことだと気付くに違いない。
機械メーカーの担当者がきて機械の操作方法を説明し、後は操作しながら覚えるIT関連機器とは全く違う話である。

 だが、残念ながら今後この種の話は増えていくだろう。
そして算術に走る医師も。
医療機関と医師をいかに見極めるかは難しい問題だが、少なくとも事前説明をしっかりしない所、選択肢を提示しない所、やたら新しいことを勧めるところは少なくとも要注意だろう。



新たな歌姫が続々と登場!VOCALOID4特集