栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

後継者不足より深刻な後継者選びの問題(2)

2016-07-24 12:19:50 | 視点
後継者選びの難しさ

 とはいえバトンタッチは、組織が小さければ小さいなりに、大きければ大きいなりに問題があり、本当に難しい。
いま中小企業が抱えている真剣な問題は後継者不足だろうが、仮に後継者候補がいても選び方を間違えて失敗というパターンも多い。
今回のソフトバンクの問題はその一例といえる。

 後継者の選び方は大別すると次の3つになる。
1.社内の優秀な人材の中から選ぶ
2.直系を据える
3.ヘッドハンティングで外部から人材を招聘する

 望ましいのは「1.社内の優秀な人材から選ぶ」だろう。
これが公平感もあり、社内の不満も比較的少ない。
ここで敢えて「比較的」としたのは全くの公平感というのは難しい(ありえないと言ってもいいか)からだ。
「なぜ、あいつの方が俺より優秀なのだ」という不公平感を持つ人間は必ずいる。
それでも大多数の社員が認める人事に近いものを行うことはできるだろう。

 中小企業に最も多いのが息子などの直系を後継者にするパターンだ。
娘しかいない場合、娘婿を社長に据えるケースもあるが、それは孫に譲るまでのショートリリーフで、なぜか直系にこだわる。
 中小企業といっても経営実態は個人商店の延長といったところが多く、社員の方も「どうせ息子が跡を継ぐんだから」と端から諦めている。
それ故、後継者が多少能力不足、実力不足でも社内がそれで揉めることはない。
 ただ、そんな後継者人事が決まった時、能力も実力もある社員は会社の将来を見限り去るだけだ。
それを「新体制」と喜んでいるようでは先が知れている。
ある程度の規模の企業なら、いずれどこかに吸収合併されるか、会社を乗っ取られるか、それとも待っているのは破産か。
「3代目が潰す」というのはいまでも真実だ。

 3の社外から後継者人材をヘッドハンティング

(中 略)

 アローラ氏の退社は、こうした社内のギクシャクした関係を解消する意図もあったのかもしれない。
まあ、その辺のところは分からないが、結局、宮内氏が再び代表取締役副社長に復帰。
ソフトバンクグループの後継者選びは再び振り出しに戻ったのだけは間違いない。
 これでは「後5年、10年、社長を続けて行く」と言わざるを得ないのかも。
というのも宮内氏の年齢は1949年11月生まれの66歳。
後継者になるには年齢が行き過ぎている。

老害だろう、代表取締役相談役

 直系を後継者に据えても、外部から引っ張ってきてもそれぞれに問題があり、どれもこれも最善とは言い難い。
とはいえ3つの中では1の社内の優秀な人材の中から選ぶというのがベターだろう。
資本と経営が分離されている方が社内に優秀な人材が集まりやすいのは事実だから。
 しかし、中には代表権を握った途端になんでもできると勘違いをして、いつまでもトップの座に居座り続ける者も出てくるからよけいに難しい。
いや、どこぞのコンビニエンスストアの会長だった人のことを言っているのではない。
それは大企業だけの話ではなく、中小企業でも、地方自治体の首長でも起こる話だ。

 「権不10年」(同じ者が権力の座に10年以上あるべきではない)を唱え、2期8年で熊本県知事を退任した細川護熙氏は、途中で県政を投げ出した等の批判もあったが、トップの座に居座り続ける首長ばかりが多い昨今、この潔さを見習って欲しい

 それはさておき、以下に2つの例を紹介する。
 1つは「うどん県」に倣って、温泉をテーマに「○○県」と称し、ユニークな自治体CMを流している九州の某県。そこのデパート

(以下 略)



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