真夜中のお話し仲間(3)

2017-12-21 21:28:38 | 童話
そして、家に着いて、お母さんに
『ただいま。』
と言ってから、お水で自転車を洗っていると、お母さんが
『あらっ、えらいわね。』
と言ったので、
『自転車からきれいにしてほしいと頼まれたんだよ。』
『えっ、自転車から頼まれたの? そうね、ずいぶん汚れているわね。』

僕はきれいに洗ったあと、車輪の回転する所には油をさしました。
『これでいいや、きれいに洗った。』
すると、自転車は喜んで、ハンドルをブルブルブル、ペダルをクルクルクル、タイヤをポンポンポン、ベルをリンリンリンと楽しそうにしました。
そして、いつものように自転車を物置にしまってから、僕も物置で、みんなと一緒にワイワイガヤガヤと、お話しをしました。
『もうすぐご飯だから家に帰って手を洗いなさい。』
とお母さんが言ったので、僕は
『バイバイ、また明日ね。』
と言って家に帰りました。

次の日、僕が自転車に乗ると、自転車は喜んで、僕とみんなで歌を歌いながら公園へ行きました。
すると、僕の友達が
『自転車がきれいでピカピカだね。』
と言ったので、
『うん、自転車に頼まれたんだよ。みんなの自転車もきれいに洗ってやると、自転車が喜ぶよ。』
と言ってあげました。

僕達が野球をしている間、みんなの自転車が
『今日、家に帰ると僕も洗ってきれいにしてくれるかなぁ?』
『きっと洗ってきれいにしてくれるよ。』
とお話しをしていました。
『バイバイ。』
『バイバ~イ、また明日。』

次の日、宿題を終らせてから公園へ行くと、友達みんなの自転車もピカピカになっていました。
僕達がみんなで野球をしている間、自転車達は、
『僕が一番きれいだよ。』
『ちがうよ、僕の方がピカピカだよ。』
と自慢しました。

      おしまい