夢の交換(3)

2017-12-01 21:38:21 | 童話
ある日、また僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、起きた時に夢を入れるペットボトルの蓋を開けて「夢っ!」と言って蓋を閉めました。
次の朝、夢を入れたペットボトルを学校へ持って行って友達にあげました。すると、友達もキャンプに行った夢をペットボトルに入れて僕にくれました。
そして、二人とも家で寝る時に蓋を開けて「夢っ!」と言って寝ました。だけれど、二人ともペットボトルの中の夢は見ませんでした。

『夢を見なかったね。』
『そうだね。』
『何に入れればいいのか考えてみようよ。』
『それじゃ、ゴム風船だとどうかなあ?』
『ビンより良いんじゃないかなあ?』
『よしっ、やってみようよ。だけれど、どうやって夢を入れるの?』
『夢を見た朝に「夢っ!」と言った後でゴム風船を膨らませるといいと思うよ。』
『うん、分かった。今度はうまくいくよね。だけれど、ゴム風船の中の夢を見る時はどうするの?』
『ゴム風船は結んでいる所をほどいたら夢がすぐ外へ出てしまうよ。』
『そうだね、すぐ出てしまうね。』
『よしっ、夢の入ったゴム風船はパジャマのポケットに入れて寝ようよ。』
『そうだね、きっとうまくいくよね。』
そして、僕も友達も夢を見るのを楽しみにしていました。

ある日、僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませました。
そして、友達はクワガタを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませて学校へ持って来て交換することにしました。
夢の入ったゴム風船は、白くてフアフアしているので、夢を持って行く時は、ゴム風船が割れないように大事に持って行きました。

僕のカブトムシも友達のクワガタも大きくてかっこよかったので、夜に夢を見るのが楽しみです。
僕も友達も、夢の入ったゴム風船を大事に家に持って帰りました。
胸のポケットにゴム風船を大事にしまって布団の中に入りました。
『楽しみだなあ。』
そして、僕は友達が見たクワガタを捕まえた夢を見ました。
大きくてカッコいいクワガタ でした。