ぽろろ、ぽろろ。(3)

2018-08-31 05:52:48 | 童話
僕が家に帰るとキッチンの方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。 
『だぁれ?』
『あっ、コップ君だ。えっ、コップでお水を飲むとおいしいよ、だって。僕はジュースの方がいいなぁ。コップ君貸してね。ゴクッゴクッ、ジュースはおいしいなぁ。』

僕の机のある方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
やぁ、エンピツケース君だ。なぁに、今日の学校の勉強と宿題を頑張ったね、だって。うん、頑張ったよ。お父さんとお母さんに話をしたらほめてくれたよ。』

物置の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』、
『あっ、僕の自転車だ。なぁに、自転車に乗って公園に行こうよだって? 自転車の好きな友達を呼んで来るから待っててね。』
『友達が2人来たから3人で公園へ行くよ。この公園はね自転車に乗って走ってもいいんだよ。楽しいね。』

ぽろろ、ぽろろ。(2)

2018-08-30 05:52:20 | 童話
小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。
『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』

僕の足の下の土の中から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
モグラ君かな?
『なぁに、僕は土の中には入れないよ。』
『えっ、モグラ君は昼間は眩しくて外に出られないから、夜になったらジャンケンをして遊うよ、だって。ダメだよ、僕は夜は家に帰らなければいけないんだ。だから今ジャンケンをしようよ。モグラ君は土の中から手だけ出せばいいんだよ。ジャンケンポン、僕はチョキだけどモグラ君はパーだから僕の勝ちだよ。そうか、モグラ君はパーしか出せないんだ。』

空から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
そうか、空の上の雲君だ。
『なぁに、雲君の背中に乗せてくれるの? ダメだよ、僕は重たいから乗れないよ。雲君が空に何か絵を書いてよ。わっ、おいしそうな綿菓子とドーナッツだね。それに、飛行機雲もきれいだね。』

ぽろろ、ぽろろ。(1)

2018-08-29 05:51:41 | 童話
僕のいる窓の外から、
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
風が遠くで僕を呼んでいるのだ。

『なぁに、宿題が終ったら外で遊ぼうよと言っているの? 30分位で宿題が終るので待っててね。』
『宿題が終ったよ、何して遊ぼうか。よしっ、駆けっこをしようよ。だけど、1人だと寂しいから、いつも一緒に遊んでいる友達を呼んで来るね。』
3人の友達と僕の4人で風と競争をした。ヨーイドン 。
『風君は速いなぁ、僕達4人は全然かなわないや。』

公園の木の上から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
小鳥が呼んでいるのだ。

『なぁに、僕は羽根がないから一緒に飛べないよ。えっ、きれいな歌声の競争をするの? 僕は歌がうまくないから、小鳥君が唄ってよ。』
『ピピピピ、チチチチ、ピーピピ、ピーピピ。』
『やっぱり小鳥君は歌が上手いね。だけど、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』とは鳴かないの? 『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と鳴くのは友達を呼ぶ時だけなのか、だから僕を呼ぶ時はみんな『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と言っているんだね』

蜜蜂キックロの海外出張(4)

2018-08-28 05:52:58 | 童話
『ふぅ~ん、カナダではカリブーという動物のステーキに人気があるみたいだけれど、お肉を焼く時に蜂蜜を使うんだね。そうするとお肉が柔らかくなり、冷えても硬くならないのか。』

イタリアへ行った僕達の仲間の蜜蜂は、イタリアの蜜蜂の巣箱から飛んで、おいしい料理を探しに行きました。
『やっぱりイタリアではパスタがおいしいんだよね。パスタのソースを作る時に蜂蜜を入れて、もっとおいしくしているんだね。』
と連絡が有りました。

また、フランスへ行った蜜蜂の仲間からは、
『フランスではチーズに蜂蜜をかけて食べるのが多いよ。』
と連絡が有りました。

そして、アメリカへ行った僕達の仲間の蜜蜂から、
『牛肉のステーキをもっとおいしくするために蜂蜜を付けて料理をしていたよ。』と連絡が有りました。

また、オーストラリアへ行った蜜蜂の仲間からは、
『蜂蜜と味噌とニンニクを細かくして混ぜたものを、野菜や、ゆでたお肉につけたり、つけて焼いたりして食べるとおいしんだよ。』
と連絡が有りました。

最後に、ブラジルへ行った蜜蜂の仲間からは、
『鶏の肉を小さくして、蜂蜜にお塩やスパイスを混ぜたものに漬け込み、野菜にバナナを加えたものを細かくして炒めるとすごくおいしいんだよ。』
と連絡が有りました。

そして、カナダから帰って来た僕達が空港で待っていると、アメリカやブラジルやイタリアやフランス、それとオーストラリアへ行っていた蜜蜂が全員帰って来ました。

『みんな頑張ってくれてありがとう、これでおいしいレストランが作れるよ。』
と僕達の世話をしてくれているオジさんが喜びました。
オジさんは、蜂蜜を使ったおいしい料理の日本料理店を持っていますが、外国の料理のお店を造りたかったのです。

翌日からオジさんは外国料理のレストランを造り始めました。
レストランは大きな六角形をしていて、まるでミツバチの巣のようです。

一番のドアはカナダ料理のお店になっていて、カリブーのステーキをやさしく焼いて柔らかくしています。

二番目のドアを開けると、アメリカ料理のお店になっていて、牛肉のステーキがおいしく食べられます。

三番目のドアを開けると、ブラジル料理のお店になっていて、このお店も柔らかくおいしいお肉を食べることができます。

四番目のドアを開けると、オーストラリア料理のお店になっていて、蜂蜜と味噌とニンニクを細かくして混ぜたものを、野菜や、ゆでたお肉につけたり、つけて焼いたりして食べるがおいしく食べられます。

五番目のドアを開けると、イタリア料理のお店になっていて、おいしいパスタが食べられます。

六番目のドアを開けると、フランス料理のお店になっていて、チーズに蜂蜜をかけた料理がおいしく食べられます。
これで六角形のお店になっています。
『うわっ、どのお店の料理もおいしそうだね。』

ある日、オジさんが僕にお話しをしました。
『キックロ、頼みがあるんだけれど、おいしい料理を探すために、また外国へ出張して欲しいんだけれど、行ってくれるかい?』
『また別のレストランを造るの?』
『そうだよ、もっとたくさんの人に、おいしい蜂蜜料理を食べてもらいたいんだ。』
『うん、いいよ。』
そして、僕とオジさんは次の外国出張の準備をしています。

  おしまい

蜜蜂キックロの海外出張(3)

2018-08-27 05:57:11 | 童話
そして、僕達が目をさますと、飛行機はカナダに着いていました。
『みんな、おはよう。』
『おはよう。ここから、どこへ行くのかなぁ?』
『空港からあまり遠くない公園へ行くみたいだよ。その公園で、カナダの蜜蜂と仲良くなって、みんなの巣箱に連れて行ってもらうんだって。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。では公園でみんなと友達になればいいんだ。』
『そうだね。』
『カナダの公園は大きいね。お花もいっぱい咲いているね。』
『そうだね、日本の公園の何倍もあるね。』

そこへ、カナダにいる蜜蜂がやってきて
『お話しを聞いていたけれど、日本から来た蜜蜂は君達なの?』
『そうだよ。仲良くしようね。』
『うん、いいよ。』
『ありがとう。』
『では、僕達の巣箱へ行こうか。』

そして、日本から来た僕達は、カナダの蜜蜂の巣箱にやって来ました。
『うわっ、巣箱がいっぱい並んでいるね。日本の何倍も何倍もあるね。』
『カナダは、どこへ行っても、これくらい広い所で、これくらいの巣箱があるんだよ。』
『ふぅ~ん、すごいね。』
『僕達はね、カナダで食べられている、おいしい料理を探しに来たんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
『明日からいろいろな家へ行って料理を見せてもらうんだ。』

その日は飛行機に乗って疲れたので、明日から探しに行くことにしました。
『カナダのみんな、おはよう。』
『日本からのみんな、おはよう。』
『では、僕達はおいしい料理を探しに行ってくるからね。』
『うん、行ってらっしゃい。』
そして、僕達は巣箱から飛んで行った。