ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

「N響90周年&サントリーホール30周年」特別公演

2016-10-08 23:41:13 | N響
一昨日(6日)サントリーホールで開かれた「N響90周年&サントリーホール30周年」NHK交響楽団特別公演を聴いてきた。指揮はパーヴォ・ヤルウィ。メゾソプラノはミシェル・デ・ヤング。合唱は東京音楽大学合唱団、NHK東京児童合唱団。

【演目】
マーラー/交響曲第3番ニ短調
《19時00分開演、20時50分終演》

開演前にパーヴォ・ヤルヴィがN響首席指揮者の任期を2021年8月まで3年延長するというニュースをネットで知る。いずれ契約を延長するとは思われたが、なんとも素早い決断である。N響事務局、グッドジョブである。

さて、マーラー第3番は昨年12月にNHKホールでシャルル・デュトワ指揮による演奏を聴いている。その時の印象はマーラー音痴の私ですら、いい演奏だったなあと覚えている。あれから約10ヶ月、舞台はサントリーホールに変わり、指揮もP.ヤルヴィである。

第1楽章は驚きであった。というのも、トロンボーン(新田幹男)の独奏をはじめ、長谷川智之率いるトランペット、福川伸陽率いる8本のホルンらの金管陣は、これが日本のオケかと思うぐらいのハイレベルの演奏だったからである。私は以前からN響の弦は世界最高峰と言ってきたが、この第1楽章に限ってはオケ全体がもはや世界最高峰といっても過言でない完璧な演奏だった。

続く第2楽章にしても、弦の切れ味鋭さと木管陣のまろやかさが加わり、本当にこれは世界の5本の指にも匹敵するオケではないかと錯覚すら陥った。そして、第3楽章は客席袖からのポストホルン(菊本和昭)の哀愁漂う音色が聴こえてくる。こうなると、何もかも素晴らしく思えてくる。

ところが、次の歌が入る第4および第5楽章でちょっとしたアクシデントが・・・。詳細を書くことは控えるが、それでも素晴らしい演奏はその後も続く。舞台上手側に位置したミシェル・デ・ヤングの歌声は格調高く、合唱団のハーモニーも心地よかった。最終楽章もゆったりとしながらも色彩感に溢れる音色を聴かせ、終曲部分の2台のティンパニーも高らかに品のある音を轟かせてくれた。

加えて、この日は観客も素晴らしかった。アクシデントに対してもザワつくこともなく、また終演直後に直ぐに拍手をすることなく余韻を保ち、早々と席を立つ客も少なかった。また、何よりもマラオタやブルオタにみられる「一般参賀」を強要する拍手もなく、スッキリと演奏会が終演した。それはある意味清々しく、爽快なマーラーを聴いた気分であった。