ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

コンセルトヘボウ管の「6・6」

2015-11-13 11:42:00 | 海外オーケストラ
一昨日(11日)ミューザ川崎で開かれたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の公演を聴いてきた。指揮はグスターボ・ヒメノ。演目はベト6とチャイ6の「6・6」プログラム。

【演目】(※はアンコール曲)
ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調「田園」
  〜休 憩〜
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」
※シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」間奏曲
※チャイコフスキー/歌劇「エフゲニー・オネーギン」ポロネーズ
《19時00分開演、21時20分終演》

指揮のグスターボ・ヒメノは2001年にコンセルトヘボウ管に首席打楽器奏者として入団。その後アムステルダム音楽院で指揮を学び、またマリス・ヤンソンスのもとで副指揮を務める。そして、2013年にミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団で指揮デビュー。昨年はコンセルトヘボウ管でも指揮を行い、今年7月には東京都交響楽団を指揮して、日本デビューもしている。

1曲目。これまでに何度も聴いている「田園」だが、今回の演奏はこれまで聴いた「田園」のなかでは文句なしにNo. 1だ。次元が違うとか世界が違うとかそんなものすら超越している演奏。これはミューザ川崎という素晴らしいホールを熟知しているコンセルトヘボウ管だからできたのかもしれない。

弦は12-10-8-6-5、木管金管は各2にティンパニーとピッコロというすっきりした通常編成。そのオケがとてつもない研ぎ澄まされた無垢な音色を全編にわたって奏でる。特に圧巻だったのは第2楽章最終部分の小鳥のさえずり。フルート(エメリー・バイノン)がナイチンゲールを、オーボエ(アレクセエ・オグリンチェク)がウズラ、クラリネット(どなた?)がカッコウ部分を演奏するのだが、その鮮やかさというか繊細な音色は、会場が一瞬森の中と化すぐらい静寂になり、誰もが息を呑んで聴き惚れていた。

1曲目にこんな素晴らしい演奏を聴いてしまったので、休憩時間にはオランダ王室御用達のシャンパンを祝杯気分で飲んでしまった。休憩時間に飲むのは久しぶり。w

2曲目。弦は16型。演奏は決して悪くない。ただ指揮者が何を観客に伝えたいのか、オケをどうした方向性に導こうとしているのかが分からない。この曲が持つ人生の喜怒哀楽や人生の浮き沈みをどう表現しようとしているのかが定まらない。これでは単にチャイコフスキーの譜面上の音楽を演奏をしているだけで、彼の苦悩や葛藤などが伝わってこない。1曲目の「田園」は指揮者がオケと一体化してうまく機能したが、「悲愴」はやはり指揮者の個性が音楽を牽引しなければならない曲なのだなあと思わされる。こうなると、指揮がマリス・ヤンソンスだったら・・・、と正直思わざるえなかった。