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円安政策に対する批判コラムを読んでみよう。

2015年02月17日 16時04分12秒 | 日記
 最近のガソリン価格は原油価格下落の好影響で、120円/ℓ前後とかなり安くなり、筆者などは大変助かっている。

 しかし10年前頃であろうか、円高で原油安の頃は100円/ℓを軽く切っていた時代があった。

 そういう見方をすると円安でなければ、もっとガソリン代も下がり、我々消費者には円安は決して良いとはいえない。

 もう一つは原油価格だ。昨年秋口までの100円超/バーレルという原油価格にも慣れてしまっていて、当然その価格から下がったと喜んでいるが、一体原油価格の適正価格はどのくらいなのであろうか?

 一説ではサウジなどの原油掘削コストは、20~30円と聞いていた。それからすると100円を超える原油価格は、OPECの釣り上げ価格で買わされていたと言える。

 もちろん、そういう価格でも高度成長が続いていた中国などの買い手がいる間は、価格維持が継続したのだが、ロシアなどの石油供給国も増えてきて、高価格帯で採算が取れると見込んだ米国のシェールオイル開発などが進み、急激に原油供給量が世界的に増加の一途をたどりだした。

 価格の基本は需給によって決まるのが経済原則であり、長期的に見ても、もはや100ドル台になる事はないであろう。

 さて、そこで日銀の金融緩和政策であるが、エコノミストの河野龍太郎氏は、日本の経済状況からすると、デフレ脱却のインフレ政策は間違いであったと主張する。

確かに読んでみると一理あり、皆さんはどう判断されるであろうか?

一読の価値があると筆者は思い、下に貼り付けておきます。

(東洋経済オンラインより貼り付け

「日銀の金融緩和は間違い、手仕舞いすべき」
エコノミスト・河野龍太郎氏に聞く

大崎 明子 :ニュース編集部長
2015年02月14日

 BNPパリバ証券のチーフエコノミスト・河野龍太郎氏は、昨年末からの原油価格の急落は、FRB(米国連邦準備制度理事会)のQE3(大規模な証券購入による量的緩和策・第3弾)の終了が引き金になっており、そもそも、米国を中心とする先進国の金融緩和が資源バブルを引き起こしてきた、と説く。日本銀行による量的・質的緩和も間違った政策だとする。

●原油価格急落の引き金はQE3の終了

 2014年10月以降の原油価格の急落は、FRB(米国連邦準備制度理事会)のQE3(大規模な証券購入による量的緩和策・第3弾)の終了が引き金になっている。このことを中央銀行関係者が言わないのは、この間の金融緩和策に弊害があったことを認めることになるからだ。

 11年後半に中国の高度成長が終了し、需要の急拡大が終わったので、本来は、そこから原油価格が下がるはずだった。ところが、米国を中心に、先進国のアグレッシブな金融緩和が行われた。具体的には、米国で11年にQE2に続くツイストオペ、12年9月にはQE3が開始された。

 この金融緩和によって、過剰流動性が原油など商品市場に流れ込み、価格を押し上げていた。本来は原油価格の低下で期待できたはずの内需刺激効果を、金融緩和政策によって、相殺してしまったのが実態ではないか。

 しかも、投機により、原油高が続いたために、資源開発ブームが止まらなくなってしまった。資源国のみならず、米国ではハイイールド債によって大規模な資金調達が行われ、シェールオイル・ガス開発に投じられた。かつての不動産バブルに代わって資源開発バブルが起きていた。過大なシェール開発が行われたがゆえに、供給過剰の問題が大きくなってしまった。

 ところが、昨年10月にQE3の終了が決定されて、15年中にゼロ金利の解除や利上げが始まると強く意識されるようになり、投機マネーが急速に退出して、原油価格の急落が起きたのである。原油は構造的な供給過剰の状態にあるので、価格が大きく戻るということはないと見ている。

●原油安で2015年の景気は押し上げられる

 原油価格の下落が日本経済に及ぼす影響をみてみる。消費税の影響を除けば、消費者物価上昇率は今年2月にも、ゼロないしはマイナスになる可能性があり、その後も夏場まではゼロ前後の推移が続くと予想している。

 2014年10~12月の実質GDPは3四半期ぶりにプラス成長に転じ、高めの成長となって、7~9月にマイナス0.9%まで悪化していた需給ギャップは再びゼロ近傍に改善するとみている。消費や輸出が持ち直してきたためだ。

 原油価格が現状の50ドル台で推移すると、名目所得には7.4兆円、名目GDP比で1.5%ポイントの減税に相当する効果が発生する。ただし、重要なことは、今の日本は完全雇用の状態に入っているので、需要が増えても国内生産ですべて賄われるわけではない。したがって、輸入の増加が起きて、実質GDPの押し上げ効果は0.6~0.7%ポイントと見ている。

 2015年度の実質GDPは1.3~1.4%と予想しており、私は日本の潜在成長率は0.3%と考えているので、4~5倍に匹敵する。原油安のおかげで2015年は景気がかなり良くなる。結果的には、2015年10月の消費税率10%への引き上げを予定通りにやっても十分こなせたといえる。

●間違った理解に基づく間違った政策

 アベノミクスと日本銀行・黒田東彦総裁による量的・質的金融緩和(QQE)は間違った政策であることがハッキリと見えてきた。

 足元の原油価格下落による景気回復のメカニズムは、アベノミクスが主張するデフレ脱却によるものではなく、むしろインフレ率の低下で起きている。甘利経済再生担当相が過度の円安や、早期の物価目標達成に否定的発言をしているのは、政府サイドも原油安の効果を円安が損なうことに気がついてきたからではないか。

 そもそも、アベノミクスやQQEは、「2000年代に多くの人がデフレで貧しくなったから、デフレ脱却が必要だ」と考えてとられた政策だ。しかし、この認識は間違いだ。当時は、現在とまったく逆のメカニズムが起きていた。2002~08年初頭まで中国向けを中心に輸出ブームが起きていた。それなのに、多くの人が豊かさを実感できなかったのは、中国ブームによる原油価格の高騰によって、輸入物価の上昇が引き起こされ、輸入インフレが我々の実質購買力を押し下げていた。

 2002~08年に純輸出と海外からの純受け取りが増えており、これは実質GDPを押し上げた。ところが、この間、交易利得は低下を続け、所得が産油国に移転していたことがわかる。交易利得の悪化は実質GDPには含まれず、実質GNI(国民総所得)に入る。

 デフレが問題なのではなかったのに、原油価格が上がっているときに、金融政策で円安を促進し、交易利得の悪化をさらに助長していたのだ。

 2014年7~9月期の消費の落ち込みは、「想定外の消費悪化」「想定外の景気悪化」とされた。しかし、消費増税の影響は想定内であり、想定外だったのは円安による実質購買力の低下ではないか。

●2000年代の1人当たり賃金減少の理由

 つまり、2000年代の日本経済の問題についての理解を間違った結果、QQEという間違った金融政策が取られ、その結果、2014年にはインフレと円安によって景気悪化を引き起こした。理解が間違っているので、2014年10月31日の追加緩和による円安でせっかくの足元の原油価格低下のメリットも殺いでしまっている。

 数量分析をしてみると、1人当たりの実質賃金は1980年代の10年間で17%も伸びた。しかし、1990年代にはまったく伸びず、2000年代には7%減少してしまった。

 1990年代には生産性上昇率が大幅に低下したことが大きかった。2000年代は、生産性上昇率は横ばいだったが、交易条件がより悪化しており、これは原油高による所得移転の部分だ。

●需給のスラックなく、引き締めに転じるべき

 安倍政権誕生後、2013年7~9月まで高めの成長が継続したが、10~12月にマイナス成長になってしまったのは、需要不足が解消されていたからだ。安倍政権のスタート段階で需要不足は2%あったが、2012年度補正予算で名目GDPの2%強に相当する10.3兆円の追加財政をやったので、これが解消されていた。そのため、消費増税を行う前から、成長は頭打ちになっていた。需要不足が解消されたら、潜在成長を上回る高い成長の継続は難しい。

 経済にとって、円安がよいのか、円高がよいのかは、需給ギャップから考えるべきだ。大きなスラック(需給の緩み)があれば、円安の方がいい。円安にすることで、海外で日本製品が割安になれば輸出が増えて、生産が増える。生産が増えれば、企業業績が改善し、雇用が増える。雇用所得の増加により、円安による輸入物価の上昇をこなせる。

 しかし、2013年10~12月にはスラックが解消され、だから、円安になっても、輸出が増えてこなかった。昨年の春頃には日銀の黒田総裁自身が、「日本はほぼ完全雇用に達している」としていた。これはスラックがなくなったということだから、金融政策としてはむしろ引き締めに転じるべきだった。

●想定外の景気低迷を招いた真犯人は日銀

 仮に金融緩和の縮小に向けて舵が切る動きがあれば、金融市場では円高が進み、消費増税による物価上昇の影響をオフセットすることもできていたかもしれない。2015年10月の消費税率再引き上げの先送りもしなくてもよかっただろう。ところが、反対に円安を促す追加緩和を行い、消費増税で損なわれていた実質購買力を一段と減少させた。2014年の想定を超える景気低迷を招いた真犯人は円安であり、それを引き越した日銀のQQEだ。

 アベノミクスの財政政策についても同じことが言える。2012年度の補正予算の効果により、2013年後半にはもうスラックはなくなっていたのだから、2013年度の補正予算は不要だった。公共投資は人手が足りなくて執行ができない状態であり、むしろ、民間の小売・流通業界が出店できないといったクラウディングアウト(民間需要の締め出し)を招いただけだった。つまり、アベノミクスの財政政策ももはや効果はなく、悪影響の方が出ている。当然、2014年度の補正予算も不適切と言える。
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こうの・りゅうたろう●1987年横浜国立大学卒。住友銀行、大和投資顧問、第一生命経済研究所を経て2000年から現職。政府の審議会などの委員を歴任。近著に『金融緩和の罠(共著)』(集英社新書)など

(貼り付け終わり)