荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

踊る大捜査線の巻。

2014年12月25日 | 偽りの人生に優れたエンターテイメントを


久しぶりに【踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望】を観ました。

ワクワクして観た映画第1作・第2作に比べると、死にそうな爺さんの臨終に立ち会うって感じ。

作品の失速感は否めませんな。

他の刑事モノ作品に比べると、比較的レギュラー陣の新陳代謝は活発だったとは思うんですが、それでもダメなものはダメ。

スタート時は『キャリアとノンキャリアの確執』『本庁と所轄署の反目』というリアリティを伴った世界観が、既存の刑事ドラマとは一線を画しており、成功の要因となりました。

ところが、いまやすっかり田舎の年寄りが観る様な、2時間サスペンスでも『キャリアがどーの』だの『所轄がどーの』だの描いています。

もちろん、死ぬほどリアリティはありません。

そんな現在の状況を鑑みますと、青島くんの『所轄の意地、見せてやっから!』ってセリフも空々しく聞こえてしまうのです。

【太陽にほえろ!】も同様でした。

若い刑事が走り回り、拳銃を撃ち、殴り、蹴り、カーチェイスをするのが新しかったのが、長期化すれば『んなわきゃねーだろー』となります。

作品の持つ世界観が、シリーズが長期化するにしたがい、逆にその作品の首を絞めてしまうという事ですね。

ちなみに【相棒】では【本庁】ではなく【本部】と呼んでいますし、キャリア云々も敢えてオミットしています。

いつだかカイトくんに『そういえば、杉下さんもキャリアでしたもんね』なんて呑気なセリフを言わせていました。

どんな商売も差別化って大変です。



さて、世間的にも評判のよろしくない【~新たなる希望】ですが、オープニングは秀逸でしたねぇ。

レギュラードラマ・スペシャルドラマ・映画、全作品の中でもっとも良い出来であったと思います。

まぁ、第3作【~ヤツらを解放せよ!】では例の【El Cascabel】・・・じゃなくて【Rhythm And Police】を使っていませんでしたから、盛り上がりには欠けるってもんです。



また、正直、スリーアミーゴスあたりのやり取りは必要性ゼロ。

とにかく主要メンバーだから出番作んなきゃ、ってトコでしょう。

そこそこ古参メンバー化していた小泉孝太郎を犯罪者役にしちまうってのは、スタッフの作品からの強い決別を感じました。

この点は高く評価したいものです。



シリーズスタート時、織田裕二っていまひとつだった気がするんです。

だって、元は月9俳優ですよ。

それが、この作品は火曜9時。

草なぎくんならともかく、キムタクが顔を出す枠じゃないですよね。

そんな微妙な立ち位置や枠であったのが大化けするから、エンターテイメントは面白い。

そんなエンターテイメント作品を心から所望します。

あ、あと【踊る~】の復活はホントに結構です。

栄えある日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した【El Cascabel】・・・じゃなくて【Rhythm And Police】。

【El Cascabel】は古ーいメキシコ歌曲。著作権は切れてるので法的問題はないそう。

ジェネリックってわけです。

とはいえ、クリエイターとしての倫理は問われますよね。


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