岐阜市役所の東側にある狭い路地の住宅街。この辺りは空襲でも焼け残ったようで寺社も多く、道路幅がかなり狭い。自動車はかろうじて通れるものの、すれ違うのが難しいくらい。そんな奥まった場所にある「魚半食堂」。空襲で営業出来なくなったレストランで働いていた初代が職を失い、かろうじて焼け残った自宅を改造して営業を始めたのだとか。正式な記録は残っていないそうだが、創業は戦後すぐとのこと。店の前は少し広くなっているのだが、どうも他所の土地のよう。暖簾をくぐって老齢の女将さんに駐車場の有無を尋ねると、道を挟んだ駐車場の1番とされた1台分のみとのこと。幸い空いていたので車を停め、改めて店内へ。
店の中は、カウンターにテーブル2つ程の小さな店。カウンター内の厨房では女将さんと娘さん(かな?)が仕出しだろうか、たくさんの弁当調理の真っ最中。ジュージューと油を使う音と匂いが堪らない。壁にはたくさんの品書きの短冊が掛かっているが、こちらの看板メニューでもあるカツ丼を注文した。こちらのカツ丼はいわゆる一般的なカツ丼と違い、こちらの初代が開発した他とは違ったタイプのもの。玉子でとじてもいないし、いわゆるソースカツと呼ばれるものでもない。女将さんが、フライパンでカツを揚げ、鍋の中から秘伝のソースをすくって、丼の中のカツにかけてから提供された。
カツはしっかりめに揚がっていて、厚さこそないものの数は多い。ご飯の上に直接のせられていて、その上からオレンジ色をしたとろみのあるソースがかかっている。このソース、どう説明したらいいか分からないが、和風のデミグラスソースとトマトソースが合わさったような味で、とろみが付けられているのだが、どちらかというとトマトソースが強い。自分の感覚でいうと3:7くらいの感じ。よってかなり酸味があり、他では経験した事のない味。たっぷりとかけられているので、ご飯もこの味に。「カツ丼の亜種が岐阜の絶滅食堂で発見される!」といった感じで面白い(笑)。ソースの量が多過ぎて、ご飯もこの味に支配されてしまっていたので、適量だったらもっと良かったかな。メニューにはオムライスもあったので、是非いってみないと。(勘定は¥650)
↓ 写真は近くの司町にある岐阜総合庁舎(大正13年建立)跡 ※昨年閉庁
魚半食堂
岐阜県岐阜市初音町13
(うおはん食堂 魚はん食堂)
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