無駄記

徒然なるままにモニタに向かひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくれば死ねばいいのに。

九月分

2020年10月02日 05時23分41秒 | 感想
9月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:5124
ナイス数:124

辻番奮闘記 三 鎖国 (集英社文庫)辻番奮闘記 三 鎖国 (集英社文庫)感想
辻番ないから作りました、ってのはw でも時代小説ってのはそういうことだよなぁ。史実の狭間に虚構のドラマを構築するワケだからね。ま、でもこう、主人公がソコソコ動きつつも、結局は政治の上つ方の権と謀の闇な話になるのが上田さんなので、あとはちょこまかとゴミみたいなチンピラの暗躍と説明に尺を取られなければ楽しめるのよね。つか、今巻はクリフハンガーだったのはちょっと意外。このシリーズは続くのか続かないのか、読み切りっぽかったんだけど、数字の方から編集と契約のアレがあったのかなwなんてー。
読了日:09月01日 著者:上田 秀人
かまいたち (新潮文庫)かまいたち (新潮文庫)感想
初期と言われればそうか。確かに今の宮部作品から遡行する形で読んでるんで、源流感は否めないなぁというのは、ココしばらくの宮部渉猟の中でも感じられたけど、まさかその源流のプロトがあるとは思わなかったw 正直これ出しちゃうんだwって感じしなくもなく、ベストセラー作家故ってのはあるのかなぁ。勿論商業作品の水準に達しているってのは編集がそう判断した故だろうから、ソコはクリアしてるんだろうけど、プロトタイプってのは仕切り直しやリメイクとはまた違うので、既にある霊験お初から見るとん~?↓ってなるのは当然っちゃ当然で。
読了日:09月05日 著者:宮部 みゆき
ぼんくら(上) (講談社文庫)ぼんくら(上) (講談社文庫)感想
宮部時代物を順調に読んで行き着いた先が変調百物語にあるかと思ってたら、いや、実は途中で分岐してたってのを今更ながら気が付いた。分岐点はふしぎ草紙で、ただその追分がしばらく並行してたから気付かなかったのかな。これはスーパーナチュラルじゃない人情捕物で、回向院の茂七から霊験お初に行かないものだった。長屋で起きた殺人を端緒とするシリーズ短編かと思いきや、実はその事件の後ろに通底する黒幕の姿ありを、タイトルのぼんくらの名に相応しい臨時廻りの主人公が、のっべんだらりと事件の核心に迫っていくという体。
読了日:09月08日 著者:宮部 みゆき
ぼんくら(下) (講談社文庫)ぼんくら(下) (講談社文庫)感想
基本的には雨降って地固まるって話ではあるんだけど、雨を降らせたのも湊屋で、地を固めたのも湊屋で、事件はあってもそれはなかったことにされるくらいになくなってはいるんだけど、自ら降らせた雨を虚偽で塗り固めた地面にしたって感じで、各キャラそれなりに救いはあったし、話は明るく終わってはいるものの、黒幕というべき湊屋には結局何もないから、微妙に腹持ちが悪いんよな。キャラはよく出来てるなぁと思うし、好きだけど、おでこと弓之助は出来過ぎで小説というか漫画っぽいw
読了日:09月09日 著者:宮部 みゆき
刃鉄の人 (角川文庫)刃鉄の人 (角川文庫)感想
んーちょっと散漫だったのかなぁ。詰め込み過ぎというか、もうちょっとココとここはこう、っって明確な関連付けがされてた方が色々しっくり行ったんじゃないかなぁ。特に刀鍛冶と剣客としての心の在りようなんかは、爺との対比とか一族の因縁(食えない伯父との絡み含めて、娘との関係とか)とかもう少しガッと語ってもよかったんじゃかなろうかって。あと、辻堂作品には珍しく、敵役がクソヤロウでもなかったんだよね。セガレはまぁ死んで当然のゴミだけど愚かではあってもクソヤロウてほどじゃないし、況して親父は親馬鹿ではあっても、
読了日:09月11日 著者:辻堂魁
不義 刃鉄の人 (角川文庫)不義 刃鉄の人 (角川文庫)感想
武士の忠義に絡む遣る瀬無さみたいのは、もう五味康祐の「薄桜記」が白眉だと思うんだけど、これは忠臣蔵の周囲というよりも、ソコに居られなかったひと、武士なのに武士らしくいられなかったゆえの苦悶って感じなのかな。薄桜記の方は、大衆周知されてる武士らしい武士としての武士道とは何か?ってので、片や後世脚光を浴びる四十七士と、片や彼らの光の陰に消えていった無名の剣士との対照さってなってるけど、こっちは、同じ忠臣足るべしとの生き方を規定されてるはずなのにそこに生きていかれない、片や吉良サイドの裏切り者、
読了日:09月13日 著者:辻堂魁
新装版 日暮らし(上) (講談社文庫)新装版 日暮らし(上) (講談社文庫)感想
構成は前作と同じ。短編から始まって各キャラの小さな事件小さな日常を導入にして、メインの章「日暮らし」へ。前作から引き続きのキャラ、まぁなんだかんだと湊屋の話になるのかなw 前作で過去はともかく明るい未来へと所帯を持ったはずの佐吉が、自分を捨てた母を殺した下手人として事件の中心へ。とはいえ、事件が始まると主人公の昼行燈も颯爽でなくもっさりと事件の核心へ近づいていくというのも一緒。ゆるゆると嘘で塗り固めた湊屋の人間関係が徐々に溶きほぐされていく、ようには見える。けど、さてどうなんだろ。
読了日:09月14日 著者:宮部 みゆき
新装版 日暮らし(下) (講談社文庫)新装版 日暮らし(下) (講談社文庫)感想
湊屋ものはこれでオシマイなのかなw まぁなんだかんだとぐちゃぐちゃ嘘で塗り固めるからこんなハメに陥るんだよって感じの平四郎の言う通りよなw 前作で黒幕っぽい湊屋へのモヤりが解消されることは正直なかったかなぁ。倅の口から間接的に贖罪なんだか後悔の様なんだかは何となく語られてたけど、スッキリはもう全然しない。事件の関係者のその後が全員アレだしね。あと、メインの事件の推理も流れやキャラは全然アリなんだけど、ノックスもヴァンダインもアウト判定必至だろうなとは思ったw 横町からキチガイはアカンやんてw
読了日:09月16日 著者:宮部 みゆき
おまえさん(上) (講談社文庫)おまえさん(上) (講談社文庫)感想
今巻は構成がいつもとちょっと違う。先に長編からスタートして短編が各キャラ視点でのフォローって感じなのかな。なので上巻はいわば事件編て感じ。さすがに3作目ともなるとキャラもこなれている。前のこのシリーズ読み始めた時から何となく思ってたけど、盟友京極堂のアレに似てるかなw 物語として装置としての探偵・弓之助を頭脳として、主人公の平四郎が見て語るという分割は、まぁドイルのアレを踏襲したジャンルのテンプレではあるんだけど、雰囲気としてはホームズとワトソンってより、榎木津と中禅寺のコンビに近いのかな。
読了日:09月18日 著者:宮部 みゆき
おまえさん(下) (講談社文庫)おまえさん(下) (講談社文庫)感想
下巻は解決編。まぁ、THE・女w 事件の真相そのものは身勝手な殺人でソコはもうミもフタもなく、平四郎の女房殿が言った「殺人は殺人、罪は罪」ってことで、そのことの仕置きとしては、正直商家と奉行の特有の内済ってヤツなんで闇に葬られた感は拭えないよねw その事件に絡む女の生き方はねぇ、共感するかしないかの話でいうなら、善くも悪くも「あぁ女だね」ってヤツで、池波先生なら(女とはそういった生き物、このことである)とか言いそうな感じよねw 
読了日:09月19日 著者:宮部 みゆき
わるじい慈剣帖(三)-こわいぞお (双葉文庫)わるじい慈剣帖(三)-こわいぞお (双葉文庫)感想
安定の風野節。ただこれの前に宮部さんの長いの連続で読んだせいもあって、いつもより味わいが軽く感じ過ぎちゃったw 一応、シリーズの縦糸みたいなのが、前作からの流れでVSクソ与力って感じになりつつ、そのバックの老中との因縁も出て、エレキテルと大塩平八郎との繋がりなんかもあったりで、クリフハンガーになってるんだけど、それはまぁいいとして、「女だてら」の方とちょっとシェアワールド感出てるのもいいけど、蛮社の獄系のは、神信心パターンと一緒で結構鬼門だと思うんだよねw
読了日:09月20日 著者:風野 真知雄
あらくれ 刃鉄の人 (角川文庫)あらくれ 刃鉄の人 (角川文庫)感想
前巻もそうだったけど、このシリーズはどっちかいうたらゲストのストーリーがメインで主人公は狂言回しの役回りになるのかなってくらいに、熊大夫が主人公。熊大夫の履歴を語るキーになってるのが、国包に持ち込まれた脇差と大刀の鍛刀案件。例によって登場の辻堂作品お馴染みのテンプレクソヤロウが登場して血煙と共に蹴散らすのは熊大夫で、主人公は話のまとめとして彼と対峙するのだけど、武士の在り方というよりも御家の事情に翻弄された熊大夫に救いがあったのか、遣る瀬無い。
読了日:09月22日 著者:辻堂魁
日雇い浪人生活録(八) 金の悪夢 (時代小説文庫)日雇い浪人生活録(八) 金の悪夢 (時代小説文庫)感想
もう、もう佐藤のボンクラ元同心はええやろwもうマジええわw 何を引っ張りよるかサッパリ分からんっていうの、どうなの。この後この線を引っ張てったって面白くはならんて作者だけがわかっとらんの?とかいう。同じ線の目付のバカボンコンビも相変わらずだけどひと段落なのか。分銅屋と田沼サイドは多少は進んで、主人公にも別の線から元主家って辺りからも何やら進行はしてる、っぽい。のかなぁ?どうだろw
読了日:09月24日 著者:上田秀人
あやし (角川文庫)あやし (角川文庫)感想
「幻色江戸ごよみ」「本所深川ふしぎ草紙」「堪忍箱」の初期系のそのままの系譜。敢えて言っちゃうならば、作品としてのクオリティは当然としても、変調百物語の余技的短編集って感じw 本所の政五郎が出て来たので、やっぱりあのくらいのシェアワールドでの話なのね、ってw
読了日:09月25日 著者:宮部 みゆき

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