モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

[こぼれ話3]「やすらぎの贈りもの'10」のお知らせ

2009年11月29日 | 追加カテゴリー


今回は、11人の工芸家による展覧会「やすらぎの贈りもの’10――長く使って愉しむシリーズNo.6」展のお知らせです。
私も参加していますので。
企画されたのは、『かたち』という現代工芸の評論雑誌を編集・発行してきた笹山央さんという工芸評論家です。
工芸の世界を自分の足で歩いて、ずうっと見てきた人です

実は私も企画立案に参加しているのですが、7日の午後には「さろん」という催しがあり、
笹山さんのコーディネートで、ティータイムトークというのをやる予定です。
お茶とお菓子付きで、スプーン、フォークは出品者のうえやまともこさんという木工作家が作ったもので、
参加者にはお持ち帰りいただけることになっています。
うえやまさんは私のお気に入りの木工家です。とてもお得な「さろん」でしょう?
それから、笹山さんの話は一般の方にも興味深い内容ですので、是非聞いていただきたいです。

笹山さんは「かたちの会」というグループを主宰していて、11人の出品作家も、
「かたちの会」のメンバーが中心ですが、若手から40年近いキャリアの人まで、さまざまです。
「かたちの会」は「長く使って愉しむ」とか「ここちよく暮らす」ことをコンセプトにして、
作り手だけでなく、一般の使い手の方とともに作り上げていこうとする会です。
詳しくは笹山さんのブログや、 「かたちの会」のサイトをご覧ください。
日々の暮らしと「もの」を大切に考えている方の参加をお待ちしてます。

私は紬の着物や帯を300反近く織ってきましたが、
自分で着物を着るようになった15年ぐらい前から、
着物に欠かせないショールの気に入ったものがないことに気づき、
ときどき自分で織るようになりました。
男性にも好評の小幅のマフラータイプを含めると、100枚以上織ってきました。

まったく同じものは1枚もないんですよ。少しずつ違えて作ります。
ショールやマフラーが着尺より簡単ということはなく、
合わせ糸にしたり、房結びをしたり、これはこれで手間がかかって大変です。
でも使って下さっているところを見ると、
われながら「いいな~」と思ったりして、(←ジガジサン(>_<))
「またやるか!」と気合いが入ってしまうんです。
私自身、着物にも洋服にも季節を問わず使っています。


 マフラーとショール



真綿の手紡ぎ糸は寒いときは暖かく、またウールと違って蒸れることがないので、
梅雨寒のころ、秋口の夜になると冷えてくるころに
バッグにしのばせておくと、とても重宝します。
旅先にも必ず持っていきます。

洗面器などで簡単に手洗いでき、使い込むとだんだん毛羽がとれ、
絹の光沢としなやかさが出てきます。是非手にとってご覧ください。
[価格は、ショール8万円~  マフラー4万円~  草木染で手紡ぎ糸(絹)100%です]


「やすらぎの贈りもの'10」展の詳細はこちら
「やすらぎの贈りもの'10」のエントリーアイテムはこちら




[笹山央さんについて]
笹山さんの文章と出会った当時、季刊で発行していた雑誌『かたち』は休刊状態で、
一人でFAXを使った通信文を定期的に送信していました。
最初に読んだとき、これほど工芸、ものづくりに深い思いを抱いている人がいるだろうかと思いました。
この文章(言葉)に私はお金を払って読みたいと思い、通信をとり始めました。
本質を鋭く、温かく突く文に出会うと、涙が出てくることがありました。
決しておしゃべり上手な人ではありませんが、そこが、
深く聴こうとする人にとっては自分も考えながら聴いてゆけるので、いいのかもしれません。
あまり自己PRしないのでただのおじさんにしか見えませんが、
隠れファンだという人が老若男女問わず意外と多いのですよ。



次回更新は、12月20日ごろの予定です。

中野みどりのHP



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[こぼれ話3]「やすらぎの贈りもの'10」展のお知らせ

2009年11月29日 | 追加カテゴリー


今回は、11人の工芸家による展覧会「やすらぎの贈りもの’10――長く使って愉しむシリーズNo.6」展の
お知らせです。
私も参加していますので。
企画されたのは、『かたち』という現代工芸の評論雑誌を編集・発行してきた笹山央さんという工芸評論家です。
工芸の世界を自分の足で歩いて、ずうっと見続けている人です。

実は私も企画立案に参加しているのですが、7日の午後には「さろん」という催しがあり、
笹山さんのコーディネートで、ティータイムトークというのをやる予定です。
お茶とお菓子付きで、スプーン、フォークは出品者のうえやまともこさんという木工作家が作ったもので、
参加者にはお持ち帰りいただけることになっています。
うえやまさんは私のお気に入りの木工家です。とてもお得な「さろん」でしょう?
それから、笹山さんの話は、一般の方にも興味深い内容ですので是非聞いていただきたいです。

笹山さんは「かたちの会」というグループを主宰していて、11人の出品作家も、
「かたちの会」のメンバーが中心ですが、若手から40年近いキャリアの人まで、さまざまです。
「かたちの会」は「長く使って愉しむ」とか「ここちよく暮らす」ことをコンセプトにして、
作り手だけでなく、一般の使い手の方とともに作り上げていこうとする会です。
詳しくは笹山さんのブログや、 「かたちの会」のサイトをご覧ください。
日々の暮らしと「もの」を大切に考えている方の参加をお待ちしてます。

私は紬の着物や帯を300反近く織ってきましたが、
自分で着物を着るようになった15年ぐらい前から、
着物に欠かせないショールの気に入ったものがないことに気づき、
ときどき自分で織るようになりました。
男性にも好評の小幅のマフラータイプを含めると、100枚以上織ってきました。

まったく同じものは1枚もないんですよ。少しずつ違えて作ります。
ショールやマフラーが着尺より簡単ということはなく、
合わせ糸にしたり、房結びをしたり、これはこれで手間がかかって大変です。
でも使って下さっているところを見ると、
われながら「いいな~」と思ったりして、(←ジガジサン(>_<))
「またやるか!」と気合いが入ってしまうんです。
私自身、着物にも洋服にも季節を問わず使っています。

マフラーとショール


真綿の手紡ぎ糸は寒いときは暖かく、またウールと違って蒸れることがないので、
梅雨寒のころ、秋口の夜になると冷えてくるころに
バッグにしのばせておくと、とても重宝します。
旅先にも必ず持っていきます。

洗面器などで簡単に手洗いでき、使い込むとだんだん毛羽がとれ、
絹の光沢としなやかさが出てきます。是非手にとってご覧ください。
[価格は、ショール8万円~  マフラー4万円~  草木染で手紡ぎ糸(絹)100%です]


「やすらぎの贈りもの'10」展の詳細はこちら
「やすらぎの贈りもの'10」のエントリーアイテムはこちら



[笹山央さんについて]
笹山さんの文章と出会った当時、季刊で発行していた雑誌『かたち』は休刊状態で、
一人でFAXを使った通信文を定期的に送信していました。
最初に読んだとき、これほど工芸、ものづくりに深い思いを抱いている人がいるだろうかと思いました。
この文章(言葉)に私はお金を払って読みたいと思い、通信をとり始めました。
本質を鋭く、温かく突く文に出会うと、涙が出てくることがありました。
決しておしゃべり上手な人ではありませんが、そこが、
深く聴こうとする人にとっては自分も考えながら聴いてゆけるので、いいのかもしれません。
あまり自己PRしないのでただのおじさんにしか見えませんが、
隠れファンだという人が老若男女問わず意外と多いのですよ。



次回更新は、12月20日ごろの予定です。

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「やすらぎの贈りもの'10」から――使い手からの視線で

2009年11月28日 | モノ・こと・ことば


「かたち21」のHP



『クロワッサン』の11月10日号の巻頭特集では料理家の辰巳芳子さんが、
「いま食べ方を見直すときです」とアピールしてました。
日常生活の衣食住遊についても、「いま使い方を見直すとき」と言うことにしましょう。
ここでは「やすらぎの贈りもの’10」から、
工芸家の手作り品を「使う立場」から見ていくことを試みてみます。
(通常は、作家のオリジナリティみたいなことが持ち上げられますが。)


 ①


写真①はMさん(女性)が送ってくれました。
うえやまともこさん作の木の皿です。
「久しぶりにスノーボールと言うクッキーを焼いたので写真を撮ってみました。
柿も入れて。今日の三時のおやつにしました。」
という言葉が添えられていました。
Mさんは今お母さんの介護をされているそうです。
お母さん用の食器としてこの器を買い求められたのでしたが、
ご自分(あるいはご家族みんな)用としても使われていることがわかります。
何かあたたかい雰囲気みたいなものを感じますね。

うえやまさんは和歌山市に在住しています。
木の仕事を始めたのは10年ほど前からで、ものづくりとしてのキャリアはまだ浅いですが、
人間としての年輪の重ね方は「キャリア豊か」と感じさせる人です。
自分で畑を耕したり、味噌を作ったりという側面もあり、
地球に生まれた有機体としてのまっとうな生き方を求めていこうとするような人です。
そういうところがこの木の仕事にも現われているんですね。


 ②

写真②のNさんは中野みどりさんのショールを肩にかけています。
Nさんは本来、着物の好きな方のようですが、
最近は着物を着る機会がないのでしょうか、洋服の上からショールをかけています。
「しっかりとよく織れていますが、手触りはふっくらとしてやさしく、
持っていると安心感があります。」
という感想をいただきました。

着物を着る人の間では紬の着物のイメージはあまりよくないようです。
率直にいって、私もあんまりいい印象を持っていません。
しかし本来は、というか昔の紬の織物は、Nさんが言われるように
「しっかりと織れていて、しかもふっくらとしてやさしい」手触りを持っています。
それが紬の織物の存在感です。
中野さんの仕事は、その色彩も含めて、昔の紬の存在感をアピールしています。
展覧会には男性にも人気のマフラータイプも出品の予定です。



 ③

写真③は箸置です。北海道の陶芸家松原成樹さんの作です。
松原さんのメインの仕事はオブジェ系の彫刻的な作品ですが、
合い間に器の制作もしています。
今回は、箸置をお願いしましたところ、松原さんらしく彫刻的な仕上がりのものになりました。
作風の特徴はやきものの表面を番数の高いメッシュで磨き上げていくところで、
やきものの重量感と磨かれた質感のノーブルな感じがミックスされたような味があります。
しかし今回の箸置はあえて磨きをかけないタイプを試みています。




「やすらぎの贈りもの'10」展の詳細はこちら
「やすらぎの贈りもの'10」のエントリーアイテムはこちら

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「やすらぎの贈りもの」とは?―――デフレ世相の中で

2009年11月21日 | モノ・こと・ことば


かたち21のHP




政府は昨日、日本経済がデフレに陥っていると発表しました。
昨日の朝日新聞の朝刊には「百貨店売上高7兆円割れ」という大見出しで、
デパートがスーパー化や量販店化していく現象に加えて、
宝飾品や高額衣料品の売れ行きが不振を極めている、といったことが報道されています。


こういったご時世に工芸品を売っていこうとするのは、時流に逆行するようなことかもしれませんが、
当方の思惑としては高級品だの贅沢品を売ろうというわけではありません。
デフレの行き着く先は人心の荒廃であり、文化の不毛にほかなりません。
それは生きていくための根本の支えとなるもの(私はそれを「美」と呼びます)を喪うことにつながります。
その「美」を創り出す、あるいは継承していくということが「工芸」のつとめです。
そういう考えの下で創られている工芸品を売ろうというわけです。


今年の「やすらぎの贈りもの’10」で取り上げている工芸家の作品からいくつかの例を挙げていくことにしましょう。
Kさんは米山みどりさんの裂織バッグを今年の6月に購入しました。
一目見て気に入り、買ったのです。
人が集まるところに出かけていくときに携帯しているということです。
そういう場所でバッグのことで声をかけられたりすると、
自慢ということとはちがった何かうれしいような気持ちになるし、
周りの人も愉しんでいるように感じられてくるのだそうです。

 



バッグは赤い色調のものですが、Kさんが着ている服の色も合わせた全体の配色に、
さりげないお洒落のセンスが感じられます。
Kさんは最近とみに、こういう方面でのセンスに磨きがかかってきているように見受けられるのです。


「以前は高額なものには手を出しかねていたのですが、あるとき思い切って買ってみて使っていくうちに、
自分の気持ちの持ち方に変化が起こってくるのが感じられた」とKさんは言います。
「ものと出会う」「ものを使う」ということが、
Kさんの場合は「自分を磨く」ということにつながっているのですね。


私が奨めるのは、高級品で身を飾るとか贅沢な気持ちを味わうということではありません。
そうではなくて、自分の生きる支えとなるものとかエネルギーの元になるものを持つということです。
あるいは、自分を磨いていく方法として、ものを見たり使ったりするということです。
「やすらぎの贈りもの」というタイトルにはそういう意味を込めています。



「やすらぎの贈りもの'10」展の詳細はこちら
「やすらぎの贈りもの'10」のエントリーアイテムはこちら



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「やすらぎの贈りもの’10」のお知らせ

2009年11月15日 | モノ・こと・ことば
かたち21のHP



年末から明春にかけては「贈りもの」のシーズンです。
「かたち21」でも昨年から、工芸家の手作り作品を厳選した「贈りもの」企画を立てています。
ふだんなかなか工芸作品に触れる機会のない人も、
「大切な人への贈りもの」や「自分自身へのご褒美」を、ふと立ち止まって考えてみるこの時期に、
工芸家の、わざに心を込めた手作りの作品に目を向けていただきたいと思います。

主な取り扱い品目は、
木の器、スプーン(うえやまともこ作)/塗椀(大蔵達雄作)/萩焼新感覚マグカップ(金子 司作)/金属製燭台(小林有矢作)/木工家具(斉藤 衛作)/革バッグ(高瀬季里子作)/ワイングラス(中川 晃作)/紬織ショール、マフラー(中野みどり作)/塗箸(堀内亜理子作)/陶器オブジェ(松原成樹作)/裂織ベスト、バッグ(米山みどり作)/ほか

「やすらぎ」という言葉を冠しているのは、
ものに触れる時間を持つことが「自分の時間」を持つことにつながり、
それが心身のやすらぎをもたらすとともに、明日の活力を養う元になるという意味です。
これは「ここちよく、暮らす」というコンセプトが基本になっています。
「かたち21」HPの“SHOP”サイトにもアイテムを紹介していますので、覗いてみてください。



12月5日~8日の間には、東京都町田市の可喜庵という催事施設で展示会を開きます。
可喜庵は、東京郊外で江戸時代から現在までずうっと使われてきている茅葺民家で、
この秋には、老朽化して雨漏りし始めていた茅葺の屋根の葺き替え作業があり、
地元鶴川地区や建築界の一大イベントの様相を呈していました。


屋根の葺き換えを終えた可喜庵

工事前の可喜庵


工事を行なったのは京都の職人さんたちです。
当世、茅葺の職人さんを見つけるのが大変ではと思ってましたが、縁があれば見つかるのですね。
今は工事も終了して、すがすがしくさっぱりとした古民家が蘇りました。
その様子は可喜庵のブログでご覧になれます。
(可喜庵亭主・鈴木工務店社長が「可喜庵の茅葺屋根を葺き替えるにあたって」という文章を書いています。)
棟のところに何か草のようなものが生えているのが見えますが、
棟に土を載せる「芝棟」という珍しいしつらえだそうで、
菖蒲の株が植えられているとのことです(写真参照)。


ディテールです。

「芝棟」屋根のてっぺんに菖蒲が植えられています。


可喜庵の中は1日過ごしても飽きることがありません。
なぜかというと、晴れているときには特に光の変化を楽しむことができるからです。
三方に庭があって、石や水や植物の上を時々刻々と移り変わっていく光と影、
それから障子に映る植物の影とか、室内に差し込んでくる光とか、陰陽のドラマを見るようです。

 
(上下とも)可喜庵の中                      


その光のドラマの中で繰り広げられる手作りのものたちの姿を撮ったしたビデオを、
ソプラノ歌手名倉亜矢子さんのコンサートの機会に制作したりもしました。

ここからビデオにアクセスできます]


そんなことも含めて、是非ご来場ください。
7日には「さろん」も開きます。
詳細はこちらで。



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