野中氏の御注進に中国は大喜び 尖閣を棚上げにすれば、将来の日米中の力関係次第では奪えるという計算

2013-06-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【産経抄】野中氏の「ご注進」に中国側は大喜び
産経新聞2013.6.5 03:23
 日本とロシアが満州(現中国東北部)や朝鮮半島をめぐり丁々発止の交渉をしていた明治36年の話だ。ロシア側は突然、朝鮮半島の北緯39度以北を「中立地帯」とする案を示してきた。一見穏やかで建設的提案に見えるが、日本側は拒否する。▼この時点でロシアは満州への支配を強めていた。鴨緑江などの川を隔てた朝鮮半島北部を「中立地帯」にしておけば、いずれ手中にできる。そんな打算が透けて見えてくる。ロシアが半島を伝って攻め込んでくる恐怖を持つ日本には、とても受け入れられなかったのだ。▼中国が再度言い始めた尖閣諸島の「棚上げ」もこれによく似ている。れっきとした日本領である尖閣を強引に棚上げにすれば、将来の日中、米中の力関係次第では奪えるという計算だろう。尖閣に領土問題は存在しないとする日本が拒否するのは当然である。▼それなのに、その棚上げ論に与(くみ)する日本の政治家が現れた。正確には元政治家だろうが、野中広務元官房長官である。訪問先の北京で中国要人と会談したさい、昭和47年の国交正常化交渉で日中首脳が「尖閣棚上げ」で共通の認識を持ったと、中国側に伝えたという。▼野中氏は当時の田中角栄首相から直接聞いたというが眉唾である。日本側の外交記録には一切ないという。公式でない首脳発言だったとしても、首相ともあろう人が軽々にしゃべるとは考えにくい。ミステリードラマではないが「誰かそのことを証明できますか」と聞きたい。▼百歩譲って田中氏がそう語ったとしても、中国要人に「ご注進」することではない。案の定、中国側は大喜びで国営通信やテレビを通じ、発言を伝えた。官房長官や自民党幹事長として、国益を守るのに腐心した方ではなかったのか。 *リンクは来栖
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「尖閣問題は、国際法と国連に期待せず、棚上げせず、強い姿勢で臨むことが中国に有効」ペマ・ギャルポ氏 2013-01-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉
 Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
尖閣問題とチベット問題の共通点
 2013年1月23日 (水)
 近年中国は度重ねて尖閣諸島問題で日本に対して挑発的行為を続けている。
 これに対してごく一部の良識ある人々以外のマスコミなどは冷静に対応しろ、とか、国際法と国連に頼るような発言も目立っている。中には叡智を結集して両国間で当分この問題を棚上げにすべきだと、いう極論を言う人もいる。
 この人たちの言い分だと、大人であった小平と田中角栄は、この領土問題を棚上げすることで日中の友好関係を築いてきた、とのことである。
 私がチベットの体験からはっきり申し上げたいのは、棚上げなどとは中国にとって、時間稼ぎ以外の何ものでもなく、中国が一九五〇年軍事力でチベットを侵略し五一年に十七条協定なるものを押し付けたことに対し、東チベットを中心にして猛烈な反発が出始めた頃、一九五四年毛沢東はダライ・ラマ法王に、
「我が祖国の他の領土と違ってチベットには特有性があるので、革命的改革を当分押し付けない」
 という約束をして法王を安心させた裏で、着々とチベットへの道路をつくり、多量の工作員を「チベットに奉仕する」という名目で送り込み、彼らがチベットを軍事的支配しやすいような環境を整え、最後にダライ・ラマ法王を捕まえようとした。
 その時チベット国民は決起し、ダライ・ラマ法王はインドに亡命した。一九五九年のことであった。
 もしチベットが一九五〇年代初期に一致団結して戦っていれば、中国の侵略を阻止できたかもしれない。当時の中国はチベットに簡単に入れるような道路もなかったし、兵士を養っていくだけの食料も不足していた。国民党との内戦で兵力も弱まっていた。
 その上毛沢東と人民解放軍の軍部、そして劉少奇との対立が始まっており、内部の団結力をはかる必要があったので、時間稼ぎにチベットへの改革を押し付けない、という姿勢を取っただけで、それは小平の棚上げ論と同質のものだった。
 やむを得ずインドに亡命したダライ・ラマ法王のチベット政府は国連に訴え、国際法と正義に期待した。アイルランドとマラヤ(現在のマレーシア、シンガポール)が提唱者となって国連で三度にわたって中国を批判し、非人道的行為をやめ、即時チベットから軍を撤退することを促す決議が採択された。
 また、ICJ 国際司法委員会(国際法律家委員会ともいう)はチベットにおいて中国軍による計画的組織的大虐殺があったこと、そして中国がチベットに侵略したとき、チベットが事実上の独立国家であったことを認める結論を出した。
 しかし中国は国連の決議を無視し、国際法に基づく正義も無視した。こうしたことからわかるように、中国にとって歴史的正当性、国際法の正当性、そして国連の存在は、自国の利益に合致しない限り、無視するのが当たり前のことである。
 一九四九年中華人民共和国誕生のとき、中国が有効に支配していたのは現在の中華人民共和国の三七%に過ぎない。それ以外の領土はすべて軍事力を背景に獲得し、ある時期においては友好関係にあったロシア、インド、ベトナムなどとも一戦交えているように、中国の本質は領土拡張主義以外の何ものでもない。
 日本はこうした事実から学び国際法と国連に甘い期待を抱くのをやめ、棚上げの畏にも採らず、自国の領土を守る強い姿勢を持って臨むことのみが中国に有効な対策である。
『われわれ日本人が尖閣を守る』(高木書房)所収。
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 尖閣棚上げ論 中国の宣伝戦に手貸すな 
産経新聞2013.6.5 03:29 [主張]
 野中広務元官房長官が北京で中国共産党の劉雲山政治局常務委員ら要人と会談し、「尖閣諸島の棚上げは日中共通認識だった」と伝えたことを、会談後の記者会見で明らかにした。
 1972(昭和47)年の日中国交正常化交渉の際、当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相との間で合意があったという趣旨の話を、田中氏から後に聞いたという内容だ。しかし、伝聞に基づく発言で、確たる証拠はない。
 岸田文雄外相は「外交記録を見る限り、そうした事実はない」と否定し、「尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土だ。棚上げすべき領土問題は存在しない」と述べた。当然である。
 尖閣棚上げ論は、中国の最高実力者だった小平副首相が持ち出したものだ。日中平和友好条約調印から2カ月後の78(昭和53)年10月に来日した氏は「10年棚上げしても構わない。次の世代の人間は、皆が受け入れる方法を見つけるだろう」と述べた。
 その年の4月、中国の100隻を超える武装漁船群が尖閣諸島周辺で領海侵犯による威嚇を繰り返した事件から半年後のことだ。当時の福田赳夫内閣は氏の発言に同意しなかったものの、反論しなかった。不十分な対応だった。
 しかも、中国は氏の「棚上げ」発言から14年後の92(平成4)年、尖閣を自国領とする領海法を一方的に制定した。そもそも、中国に「尖閣棚上げ」を語る資格はない。
 野中氏の発言に先立ち、シンガポールのアジア安全保障会議で、中国人民解放軍幹部が「(尖閣の領有権)問題を棚上げすべきだ」と蒸し返した。これに対し、菅義偉官房長官が「尖閣に関し、解決すべき領有権問題は存在しない」と反論したのも当たり前だ。
 尖閣棚上げ論には、1月下旬に訪中した公明党の山口那津男代表も「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」と述べた。同じ時期、鳩山由紀夫元首相は中国要人に、尖閣は「係争地」との認を伝えた。
 今回の野中氏の発言も含め、中国メディアは大きく報じた。中国の真の狙いは尖閣奪取だ。訪中する日本の政治家は、自身の国益を損ないかねない発言が、中国の反日宣伝に利用される恐れがあることを自覚すべきである。
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尖閣の地元である八重山の住民としては「棚上げ」など断じて認められない 八重山日報 2013-06-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
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公明党・山口那津男代表の「尖閣 棚上げ論」は国益に反する 2013-01-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 尖閣と山口氏 棚上げ論は国益に反する
産経新聞【主張】2013.1.23 03:13
 22日訪中した公明党の山口那津男代表が、沖縄県・尖閣諸島について香港のテレビや記者団の取材に対し、いわゆる「棚上げ論」に言及した。「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」との内容だ。
 棚上げ論は、1978年に来日した当時の最高実力者、小平氏が持ち出したもので、「次の世代が良い方法を見つけるだろう」と発言したことで知られる。だが、経済、軍事両面で拡大を続ける中国は、14年後の1992年に、尖閣を自国領とする領海法を制定し、一方的に領有権主張を強め始めた。
 この時点で棚上げ論は、すでに破綻しており、日本側が持ち出すことは領有権を放棄することにつながる。山口氏の発言は国益を損なう極めて不適切な発言であると指摘せざるを得ない。
 尖閣は歴史的にも国際法上も明らかに日本固有の領土である。当然ながら、中国との間に領有権問題は存在しない。
 北京への出発に先立ち、山口氏は「領土問題は存在しない。政府・与党の共通認識だ」と語ったが氏の言動はすでに中国メディアによる宣伝戦に利用されている。
 先に訪中した鳩山由紀夫元首相も、尖閣を日中間の「係争地」などと述べて、中国メディアに大きく取り上げられた。教訓として生かされなかったのは遺憾だ。
 山口氏は今回、安倍晋三首相の親書を携えており、習近平・中国共産党総書記との会談についても調整を進めている。
 フィリピンが領有権を主張する南沙諸島のミスチーフ礁を、米軍のフィリピン撤退後に中国が占領した経緯は、尖閣を守る日本には人ごとですまされない。中国が尖閣の領海・領空侵犯を繰り返す状況下、日本側から棚上げ論を持ち出すことは中国の圧力に屈することを意味する。
 山口氏はまた、中国機の再三にわたる尖閣周辺の領空侵犯に対する航空自衛隊機の緊急発進についても、「不測の事態を招きかねない」との強い懸念を表明した。
 日本として今なすべきは、中国による国論分断をはね返して、結束して尖閣を守ることである。
 安倍首相は11日、「尖閣諸島、領土を守る姿勢に変わりはない」と述べたが、山口氏はこれを否定したとも受け止められる。国家主権をどう考えているのか。 *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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『国賊』鳩山由紀夫氏の不適切発言 元首相である以上、看過できない 2013-01-18 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉 
 鳩山氏訪中 あなたは何をしてるのか
 産経新聞2013.1.18 03:22[主張]
 既に議員生活を引退した人の発言をとがめたくはないが、日本の「顔」であった元首相である以上、看過できない。
 鳩山由紀夫元首相が中日友好協会の招きに応じて訪中し、賈慶林全国政治協商会議(政協)主席との会談で、「尖閣諸島は係争地」という認識を伝えたことだ。
 尖閣は歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。
 「領有権問題は存在しない」という政府の立場を踏み外し、中国側の意向に沿う発言を行うことがどれほど国益を損なうか。まだ、わからないようだ。
 菅義偉官房長官が「わが国の首相をされた方の発言として非常に残念で極めて遺憾だ」と不快感を示したのは無理もない。
 鳩山氏がいかに国益を害してきたかは枚挙にいとまがない。
 首相当時、唐突に米軍普天間飛行場の「県外移設」を掲げて問題を迷走させた。オバマ米大統領には「トラスト・ミー(私を信じてほしい)」と伝えながら事態を打開できず、日米同盟を空洞化させて、抑止の実効性を損なった。
 昨年4月、民主党最高顧問として政府の承諾を得ずに核兵器開発の疑いが濃いイランを訪問した。国際原子力機関(IAEA)の対応について「二重基準を適用して不公平だ」と語ったとイラン側に発表され、最大限に利用されてしまった。
 民主党代表時代に「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」と発言したことが外国勢力につけ込まれている。
 鳩山氏を招いた中国もあらゆるものを利用しようという魂胆が見え隠れしている。尖閣の領有権問題を認めようという日本国内の一部勢力に加担して、国内世論を分断する狙いもあるのだろう。
 首相を辞め、議員引退後も外交にかかわろうとすることに、鳩山氏は終止符を打ってほしい。
 一方、2月に安倍晋三首相特使として訪露し、プーチン大統領と会談する予定の森喜朗元首相が北方領土問題で択捉島を除く国後、色丹、歯舞3島の先行返還に言及していることも懸念される。
 森氏はプーチン氏が領土問題について「引き分け」と語ったことを念頭に「現実的なことを考えた方がいい」と述べたが、日本が原則とすべき4島返還からは大きく外れている。安倍政権の特使にふさわしいか疑問が残る。
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