尖閣と山口氏 棚上げ論は国益に反する
産経新聞【主張】2013.1.23 03:13
22日訪中した公明党の山口那津男代表が、沖縄県・尖閣諸島について香港のテレビや記者団の取材に対し、いわゆる「棚上げ論」に言及した。「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」との内容だ。
棚上げ論は、1978年に来日した当時の最高実力者、小平氏が持ち出したもので、「次の世代が良い方法を見つけるだろう」と発言したことで知られる。だが、経済、軍事両面で拡大を続ける中国は、14年後の1992年に、尖閣を自国領とする領海法を制定し、一方的に領有権主張を強め始めた。
この時点で棚上げ論は、すでに破綻しており、日本側が持ち出すことは領有権を放棄することにつながる。山口氏の発言は国益を損なう極めて不適切な発言であると指摘せざるを得ない。
尖閣は歴史的にも国際法上も明らかに日本固有の領土である。当然ながら、中国との間に領有権問題は存在しない。
北京への出発に先立ち、山口氏は「領土問題は存在しない。政府・与党の共通認識だ」と語ったが氏の言動はすでに中国メディアによる宣伝戦に利用されている。
先に訪中した鳩山由紀夫元首相も、尖閣を日中間の「係争地」などと述べて、中国メディアに大きく取り上げられた。教訓として生かされなかったのは遺憾だ。
山口氏は今回、安倍晋三首相の親書を携えており、習近平・中国共産党総書記との会談についても調整を進めている。
フィリピンが領有権を主張する南沙諸島のミスチーフ礁を、米軍のフィリピン撤退後に中国が占領した経緯は、尖閣を守る日本には人ごとですまされない。中国が尖閣の領海・領空侵犯を繰り返す状況下、日本側から棚上げ論を持ち出すことは中国の圧力に屈することを意味する。
山口氏はまた、中国機の再三にわたる尖閣周辺の領空侵犯に対する航空自衛隊機の緊急発進についても、「不測の事態を招きかねない」との強い懸念を表明した。
日本として今なすべきは、中国による国論分断をはね返して、結束して尖閣を守ることである。
安倍首相は11日、「尖閣諸島、領土を守る姿勢に変わりはない」と述べたが、山口氏はこれを否定したとも受け止められる。国家主権をどう考えているのか。 *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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〈来栖の独白 2013/01/23 Wed. 〉
山口氏といい、鳩山由紀夫氏といい、何を世迷いごとを言っているか。どれほど国益を損なうか、分かっておられない。歴史観、国家観を疑わざるを得ない。
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「尖閣は私たちの空」 “山口発言”で安倍首相が反論
産経新聞2013.1.22 23:54
安倍晋三首相は22日夜のテレビ朝日番組で、公明党の山口那津男代表が沖縄県・尖閣諸島周辺での日中両国による軍用機飛行の自重を求めたことについて、「尖閣の上空、領空は私たちの空だ。ここに自衛隊機が入る、入らないはわれわれが決める」と反論した。
中国側の侵入に対しては、「明らかな領空侵犯だから、国際法にのっとって対応していく」と強調。山口氏が中国が主張する尖閣の領有権の「棚上げ」に言及したことに関しては、「山口代表は『棚上げ論』ではないとはっきり述べている」と述べ、問題ないとの認識を示した。
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公明・山口代表の「棚上げ」発言に石破氏が反論、またも与党間に溝
産経新聞2013.1.22 23:52
自民党の石破茂幹事長は22日の記者会見で、沖縄・尖閣諸島の領有権を中国が主張している問題に関し、公明党の山口那津男代表が「棚上げ」に言及したことについて、「日本政府として一度も棚上げを是認したことはない。尖閣は日本固有の領土であり、棚上げの理由はどこにもない」と反論した。両党は海外の邦人救出に関する自衛隊法改正でも温度差があり、参院選を前に与党間の“溝”が広がりつつある。
石破氏は山口氏が尖閣周辺での日中両国による軍用機飛行の自重を求めたことにも「わが国固有の領土にわが国の飛行機、軍用機が近づかないことは極めて難しい」と述べ、山口氏の主張を否定した。
一方、政府側の反応は抑制的だ。菅義偉官房長官は記者会見で、「領土問題は存在しないことが政府・与党の共通認識だと山口氏は明快に表明している」と述べ、問題視しない考えを示した。自民党内に「与党党首の発言としては軽率だ」(中堅)との声がある中、政府としては参院選を前に与党内の混乱を避けたいとの思惑ものぞく。
しかし、山口氏は棚上げに触れた21日放送の香港フェニックステレビで「日本固有の領土」との表現を使わなかった。中国への配慮とみられるが、同行筋によると中国共産党の習近平総書記との会談は23日も行われないという。
公明党は海外の紛争に巻き込まれた邦人保護のための自衛隊法改正にも一定の理解は示す。ただ、山口氏は22日、滞在先の中国・北京市内で記者団に対し、海外の邦人救出のための自衛隊法改正について「従来の憲法解釈のもとで政府が責任をもって検討していくことが重要だ」と述べ、海外における武力行使を禁じる憲法の現行解釈を変更しないよう求めた。(酒井充、北京 力武崇樹)
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◆ 「尖閣問題は、国際法と国連に期待せず、棚上げせず、強い姿勢で臨むことが中国に有効」ペマ・ギャルポ氏 2013-01-23 | 国際/中国/アジア
Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
尖閣問題とチベット問題の共通点
2013年1月23日 (水)
近年中国は度重ねて尖閣諸島問題で日本に対して挑発的行為を続けている。
これに対してごく一部の良識ある人々以外のマスコミなどは冷静に対応しろ、とか、国際法と国連に頼るような発言も目立っている。中には叡智を結集して両国間で当分この問題を棚上げにすべきだと、いう極論を言う人もいる。
この人たちの言い分だと、大人であった小平と田中角栄は、この領土問題を棚上げすることで日中の友好関係を築いてきた、とのことである。
私がチベットの体験からはっきり申し上げたいのは、棚上げなどとは中国にとって、時間稼ぎ以外の何ものでもなく、中国が一九五〇年軍事力でチベットを侵略し五一年に十七条協定なるものを押し付けたことに対し、東チベットを中心にして猛烈な反発が出始めた頃、一九五四年毛沢東はダライ・ラマ法王に、
「我が祖国の他の領土と違ってチベットには特有性があるので、革命的改革を当分押し付けない」
という約束をして法王を安心させた裏で、着々とチベットへの道路をつくり、多量の工作員を「チベットに奉仕する」という名目で送り込み、彼らがチベットを軍事的支配しやすいような環境を整え、最後にダライ・ラマ法王を捕まえようとした。
その時チベット国民は決起し、ダライ・ラマ法王はインドに亡命した。一九五九年のことであった。
もしチベットが一九五〇年代初期に一致団結して戦っていれば、中国の侵略を阻止できたかもしれない。当時の中国はチベットに簡単に入れるような道路もなかったし、兵士を養っていくだけの食料も不足していた。国民党との内戦で兵力も弱まっていた。
その上毛沢東と人民解放軍の軍部、そして劉少奇との対立が始まっており、内部の団結力をはかる必要があったので、時間稼ぎにチベットへの改革を押し付けない、という姿勢を取っただけで、それは小平の棚上げ論と同質のものだった。
やむを得ずインドに亡命したダライ・ラマ法王のチベット政府は国連に訴え、国際法と正義に期待した。アイルランドとマラヤ(現在のマレーシア、シンガポール)が提唱者となって国連で三度にわたって中国を批判し、非人道的行為をやめ、即時チベットから軍を撤退することを促す決議が採択された。
また、ICJ 国際司法委員会(国際法律家委員会ともいう)はチベットにおいて中国軍による計画的組織的大虐殺があったこと、そして中国がチベットに侵略したとき、チベットが事実上の独立国家であったことを認める結論を出した。
しかし中国は国連の決議を無視し、国際法に基づく正義も無視した。こうしたことからわかるように、中国にとって歴史的正当性、国際法の正当性、そして国連の存在は、自国の利益に合致しない限り、無視するのが当たり前のことである。
一九四九年中華人民共和国誕生のとき、中国が有効に支配していたのは現在の中華人民共和国の三七%に過ぎない。それ以外の領土はすべて軍事力を背景に獲得し、ある時期においては友好関係にあったロシア、インド、ベトナムなどとも一戦交えているように、中国の本質は領土拡張主義以外の何ものでもない。
日本はこうした事実から学び国際法と国連に甘い期待を抱くのをやめ、棚上げの畏にも採らず、自国の領土を守る強い姿勢を持って臨むことのみが中国に有効な対策である。
※ 『われわれ日本人が尖閣を守る』(高木書房)所収。
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◆ 国際司法裁判所(ICJ)の判断=不法占拠といえども、半世紀から1世紀の間、実効支配すれば自国領土と認定 2013-01-22 | 国際/中国/アジア
南シナ海の領有権問題 フィリピンが中国を提訴
産経新聞2013.1.22 20:04【シンガポール=青木伸行】
フィリピンのロサリオ外相は22日、南シナ海の領有権を争う中国を、国連海洋法条約に基づき国際裁判所に提訴したと発表した。これにより領有権問題は新たな局面を迎える。
外相は「フィリピンは平和的な交渉のための政治、外交的なあらゆる手段を尽くしてきた。手続きが永続的な解決をもたらすことを望む」と述べた。
提訴の内容は「中国の南シナ海の(領有権)主張と、フィリピンの領有権を侵害する違法な活動に異議を申し立てる」というもの。フィリピン側は同日午後、マニラの中国大使館を通じ、中国政府に提訴した事実と内容を通告。外相は中国に「提訴に応じることを希望する」と促した。
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中国の「非合理的行動」に備えよ 尖閣棚上げ論は過去の遺物
産経新聞2013/01/22 03:13【正論】
「2013年、海洋強国に向け断固、歩み出す」(中国共産党機関紙、人民日報)。中国は、東シナ海や南シナ海で海洋監視船、漁業監視船や海軍艦艇の活動を強化して、「多彩なパンチを繰り出している」(同国国家海洋局)。
≪尖閣棚上げ論は過去の遺物≫
その国家海洋局の航空機が12年末には、尖閣諸島の日本領空を侵犯した。沿岸国の利益を侵害しない限り「無害通航権」が認められている領海とは異なり、政府機関の航空機が許可なく領空に侵入すれば重大な主権侵害である。棚上げ論など一顧だにせず、日本との対決をエスカレートさせている中国は、日本との軍事衝突をどのように考えているのであろうか。
中国共産党は中国本土を制圧すると同時に朝鮮戦争に介入し、台湾の島を攻撃し、チベットを占領した。1960年代になると国境をめぐりインドやロシアと軍事衝突し、70年代に入るとベトナムからパラセル(西沙)諸島を奪い、さらにはベトナム国内に侵攻し、「懲罰」作戦を行った。80年代には南シナ海でベトナム海軍の輸送艦を撃沈し、90年代にはフィリピンが支配していた島を奪った。
中国共産党は戦争を躊躇する政権ではない。彼らにとり、国境紛争のような小さな戦争は平和時の外交カードの一つに過ぎない。
中共は、核心的利益である「固有の領土」を守るためには戦争も辞さないと主張している。それでは、中国の固有の領土とは何であろうか。中国の領土について次のように説明されることがある。
「一度、中華文明の名の下に獲得した領土は、永久に中国のものでなければならず、失われた場合には機会を見つけて必ず回復しなければならない。中国の領土が合法的に割譲されたとしても、それは中国の一時的弱さを認めただけである」(Francis Watson、1966)。中国の教科書では、領土が歴史的に最大であった19世紀中葉の中国が本来の中国として描かれ、「日本は中国を侵略し、琉球を奪った」(『世界知識』2005年)との主張が今でも雑誌に掲載されている。
≪ミスチーフ礁を奪った手口≫
フィリピンが支配していたミスチーフ礁を中国が占拠した経過を見れば、中国の戦略が分かる。
中国がミスチーフに対し軍事行動を取れば、米比相互防衛条約に基づき米軍が介入する可能性は高かった。そうなれば、中国はフィリピンを屈服させることはできない。時のベーカー米国務長官は、「米国はフィリピンとの防衛条約を忠実に履行し、フィリピンが外国軍隊の攻撃を受けた場合には米国は黙認しない」と述べていた。
したがって、1974年の小平・マルコス会談、88年のトウ・アキノ会談で、は問題の棚上げを主張したのである。軍事バランスが中国に不利である場合、中国は双方が手を出さないように主張する。将来、ミスチーフ礁を獲得するために当面は問題を棚上げし、相手の行動を封じたのである。
91年9月、フィリピン上院が米比基地協定の批准を拒否し、92年11月に米軍がフィリピンから撤退した。第二次大戦中に建造された旧式駆逐艦1隻を有するフィリピン海軍は中国海軍の敵ではない。フィリピンのマゼタ国防委員長は「フィリピン海軍としては軍事力による防衛は不可能で、戦わずに撤退せざるを得ない」と発言している。中国はミスチーフ礁問題に米軍が介入する可能性が低いと判断し、問題の棚上げを放棄して95年にミスチーフ礁を占領した。
≪軍事バランス維持し抑止を≫
トウは尖閣についても、日中軍事バランスが中国に不利であった78年に棚上げを唱えている。「棚上げ」は時間を稼ぎ、不利を有利に変える中国の戦略である。中国の危険な行動を抑止するには、軍事バランスが日本に不利にならないようにすることが肝要である。
ただし、軍事バランスは相手の合理的な判断に影響を与えるが、相手は常に合理的に行動するとは限らない。人間は感情に動かされる動物である。人間は何かを得ようとして失敗するときより、持っているものを失うときにより大きな痛みを感じ、失うまいとして、得ようとするときより大きなコストに耐え、あえてリスクを取る傾向がある(プロスペクト理論)。
尖閣に関して中国が本来自分の領土ではない島を日本から奪うと認識していれば、あえて軍事行動といった大きなリスクを取ることはないであろう。しかし、失った「固有の領土」を取り戻すと中国が本気で認識していれば、大きなコストに耐え、軍事行動という危険を冒す可能性が高くなる。
「国家には我慢のできないことがある。国家の名誉、統合性、領土などに対する攻撃は我慢の出来ないことであり、こうしたことに対してはあえて危険を冒すものである」(ネルー・インド首相)
とすれば、中国が日本から見て合理的な判断を常に下すとは限らない。軍事バランスを維持し「合理的な中国」に対する抑止力を高めると同時に、想定外の事態を想定して、「非合理的な中国」に備えることが防衛の基本である。(防衛大学校教授 村井友秀=むらい・ともひで)
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◆ “理不尽”中国とどう向き合うべきか 南シナ海・中沙諸島スカボロー礁/フィリピン特命大使を直撃 2012-08-02 | 国際/中国
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◆南沙諸島:中国の基地化進む/ミスチーフ環礁に建造した「軍事拠点」 2012-08-02 | 国際/中国
南沙諸島:中国の基地化進む…フィリピンが写真公開
毎日新聞 2012年08月02日 09時53分(最終更新 08月02日 10時14分)
【バンコク岩佐淳士】海上に浮かぶコンクリート製の構造物。上には3階建ての建物などが見える。7月中旬にフィリピン海軍が撮影したこの写真は、中国が95年、南シナ海・南沙諸島(英語名スプラトリー諸島)のミスチーフ環礁に建造した「軍事拠点」だ。最近新設されたとみられる風力発電装置やヘリポートらしき施設も確認され、中国が実効支配を進めている様子が分かるという。
ミスチーフ環礁は、中国やフィリピンなどが領有権を争う南沙諸島のほぼ中央に位置。フィリピン側は自国の排他的経済水域(EEZ)内だと主張するが、中国はこの「拠点」を建設以降、周辺に艦船を常駐させている。
フィリピン海軍関係者によると、中国は南沙諸島にこのほか数カ所の「軍事拠点」を建設。ミスチーフ環礁のこの建造物は最大で「中国側は基地をどんどん建て増している」という。
南沙諸島では今年に入り、中国のレーダー施設とみられるドーム型の構造物も確認されている。
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