カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢一郎裁判をどう見ているのか

2011-10-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ2011年10月24日
小沢氏のカネの出所?「それがどうした」と言いたい<司法と大メディアによる「人物破壊」>
「誰が小沢一郎を殺すのか?」(角川書店)――オランダ人のジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は今春、この本を出して話題を呼んだ。小沢一郎という異能の政治家を検察、メディアがよってたかって潰そうとしている実情を描き、日本の特殊性、異常を浮き彫りにしたのである。さて、その後、陸山会事件では元秘書3人に有罪判決が下り、小沢氏本人の裁判も佳境を迎える。司法判断、それを報じるメディアの姿勢、小沢氏本人の対応について、改めて、冷徹なジャーナリストに聞いてみた。
 私が最初に小沢氏に会ったのは90年代半ばで、サンデー毎日誌上でやった対談でした。実は、その後も、彼をずっと追い続けていたわけではありません。むしろ個人的には菅氏との方が親しいくらいです。
  2010年の暮れ、小沢氏と再会しました。そのとき、素直にこう言ったものです。
 「はっきり言って、あなたのことはよく知らない。どういう人なの?」
  そして今夏、再び長い時間、話をする機会があって、彼が本当に強いリーダーであることを再認識しました。
 何が言いたいのかというと、私は小沢氏本人に人間的な興味があるわけではないのです。小沢氏の所業に対する司法当局とマスコミの扱い方。これは大変異常なものです。これに多大の関心を寄せているのです。
  今、小沢氏を標的にして進行していることは「人物破壊」です。長年かかって築き上げてきた既得権益を破壊しようとする人物に銃口を向け、そして引き金を引く。体制にとって、新種の人間というのはいつの時代も脅威なのです。
 日本の政治史を眺めると、建設業者から領収書のないカネが政治家の元へ流れるというのは、半ば常識化していて、システムとして組み込まれていました。特に小選挙区制に移行する前は顕著でした。これで小沢氏を有罪にするなら、自民党議員の多くも同罪です。
 小沢氏はたぶん、そうした資金を受領していたのでしょう。私がここで指摘したいのは「それがどうしました?」ということです。真の問題点は小沢氏や秘書が金を受領していたかどうかではないのです。
<先進国ではありえない>
 小沢一郎氏の初公判で考えなくてはいけないのは、捜査、逮捕、起訴、裁判が先進国として、きちんとバランスのとれたものであったかということです。
 昨年暮れ頃から、検察に対する不信感が市民の間で増幅してデモが行われたりしていましたが、大手メディアは黙殺したままでした。そこに大震災がきたので、しばらく小沢問題はないがしろにされてしまいました。
 その間にも大手メディアは小沢氏の「人物破壊」を続けました。司法が一人の政治家を撲殺しようとし、それに大手メディアが加担した。それによって、多くの国民が小沢氏=悪者のイメージを持つに至ったのです。
  検察と裁判所の不健全な関係も問題です。日本では起訴された被告は99%以上の確率で有罪になってしまう。こんなことは世界中どこにもありませんが、その検察に小沢氏は完全に狙い撃ちにされたという事実です。 一度は不起訴になったが、検察審査会という新しい手続きが持ち出され、結局は強制起訴された。
 小沢公判の前に秘書3人が有罪判決を受けた陸山会裁判がありましたが、あの判決にも驚きました。これも世界では例がないものでした。(インタビュアー・堀田佳男)
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緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ(2011/10/25
秘書3人の「推認」による有罪は司法による“大量虐殺”だ
 小沢裁判の前に秘書3人が有罪判決を受けた陸山会裁判がありましたが、判決は「推認」による有罪でした。私に言わせれば、あれは司法による“大量虐殺”に等しい。秘書3人は、別に政治献金を着服したわけではありません。単なる記載ミスです。控訴中ですし、真偽はわかりませんが「推認」によって有罪判決を受けるといったことが先進国であっていいのでしょうか。
 少なくとも他の民主主義国家でこの程度のことが重罪とされることはないでしょう。裁判官の見識を疑わざるを得ません。犯罪と呼べる行為ではありません。ですから有罪判決が下されたことは大変残念です。
 日本の司法と新聞には「推定無罪」という当たり前の考え方が存在していません。疑わしきは罰せずという基本的姿勢が感じられません。新聞も最初から「小沢有罪」という流れで書いています。
■日本のスキャンダルは作為的
 私はずいぶん日本のスキャンダルについて勉強しました。月刊誌「中央公論」にも以前書きましたが、日本のスキャンダルというのは故意に仕立て上げられる。違法行為を犯していなくとも、意図的に銃口を向けて撃ち落とせるカラクリがあるのです。
 この点で日本は法治国家と本当にいえるのか疑問です。あえて問われれば、答えは「イエス」と「ノー」の両方。日本は近代国家ですが、一方で国家の中心にあるべき核になるものが見えません。日本の政治システムは合議制で、大統領制のような強い行政力を持ったリーダーを意識的につくってこなかったのです。
■小沢は反米ではない
 鳩山政権時代、小沢氏はずっと後ろで鳩山氏を支えていました。しかし、その鳩山政権を米国は明らかに倒したかったはずです。ワシントンは「独立した日本」は望まないのです。鳩山氏は、ASEANに日本と中国と韓国を加えた「ASEANプラス3」としきりに言っていましたし、小沢氏は議員を大勢連れて中国に出向いたりしていました。こうした行為はワシントンの癇(かん)に障る。「勝手なことはやめてくれ。日本は我々がOKということだけをやっていればいいのだ」ということです。
 私は長年、日米関係を研究していますが、それは歴史的に見ても世界に他にはない二国間関係だから興味がそそられるのです。しかし一方で、悲しいことにあまりに片務的です。日米関係はかつては日本の産業発展に役立ちましたが、いまや役に立たないどころか、危険な関係になっています。
 小沢氏の起訴に至る今回のケースで、米国がなんらかの役割を果たしたかどうかはわかりません。ただ、そうだとしても私は驚きません。ワシントンは小沢氏を信用していないからです。小沢氏は決して反米ではないのに、バカげたことです。(インタビュアー・堀田佳男)
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緊急インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は小沢裁判をどう見ているのか
日刊ゲンダイ(2011/10/26
大マスコミは「小沢たたき」をやり過ぎたと分かっている
 09年の政権交代直後に大手新聞の編集者と酒席を共にした時のことです。彼らは私に「明治維新の後、日本が生まれ変わったように、民主党政権でも再び日本は変わっていけると思うか」と聞いてきました。私は「できるかできないかは、あなたたちにかかっています」と言ってやりました。まったく自分たちのやっていることを理解していない。マスコミがどれほどの力があるかよく分かっていないのです。
 昨年、小沢氏が不起訴処分になった時、新聞は1面から大きな記事を書き大騒ぎしました。これは司法とマスコミの騒ぎ過ぎで、日本社会のバランスのなさが如実に表れた好例です。
 ただ最近、日本のマスコミの小沢氏への論調が少しずつ変化しています。朝日新聞でさえも変化の兆しが見えます。つまり、小沢たたきをし過ぎたという反省にも似た態度が見られるのです。朝日の編集者と話をすると、自分たちの自己矛盾(二面性)を認めてもいます。週刊誌の論調にも変化が見られます。
■官僚を使いこなせる政治家
 政治力という点を考えると、田中角栄は天才でしたね。角栄がすごかったのは、官僚をうまく使いこなしたことです。小沢氏はこの点を角栄から学んだはずです。ですから、小沢氏は官僚からコントロールされずに、官僚を使っていける政治家だろうと思うのです。角栄・小沢両氏に共通するのは、政治家としての自信にあふれている点です。一方、菅・野田両首相はすぐに官僚にコントロールされてしまう。そこが違うところです。
 政治家小沢一郎への関心は、自民党政権を終わらせ、民主党政権を樹立し、55年体制を崩した点にあります。
 少なくとも、彼が政治潮流のハンドルを切った。当時多くの日本人と話をすると、とにかく自民党政権を終わらせなくてはいけないという思いで共通していました。
 そして民主党政権が誕生し、民主党は、官僚任せではなく、政治家主導で政策を立案しなくてはいけないとの強い思いにあふれていました。しかし実現できなかった。
 いま民主党議員は2つのタイプに大きく分かれます。ひとつは名声を得るためだけに、ハシゴを一生懸命上っている単なる野心家。このタイプの議員は首相や大臣になることが目標なのです。カネは入るし、周囲からは敬意を払われる。最大の関心事は自身の再選。政策立案には関与しなくていいと最初から思っている。
 もうひとつは、政策立案にかかわって政治のハンドルを握ろうとするタイプの政治家です。小沢氏はまさにこのタイプに属するわけです。小沢氏はいまでも最も指導力のある政治家だと思います。
■日本社会の歪みの修正に期待
 日本の政治システムは、責任の所在がずっと曖昧なままです。問題が起きた時に、誰が責任を取るのかがはっきりしていない。
 民主党政権が誕生した時に、政治的責任という概念が取り沙汰されましたが、結局曖昧なままです。
 私が期待するのは、東日本大震災後、東北の復興だけでなく、日本社会の歪んだ部分が修正され、再生してほしいということです。単に復興という観点ではなく、新しい次元で生まれ変わるくらいのエネルギーと英知がほしい。日本が生まれ変わる好機だと考えるべきでしょう。(インタビュアー・堀田佳男)
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