安倍晋三首相 ブッシュ米大統領(当時)に「慰安婦謝罪」の意外な真相 (産経新聞2013.5.23)

2013-06-01 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【阿比留瑠比の極言御免】「慰安婦謝罪」の意外な真相
産経新聞2013.5.23 13:30
 筆者にも責任の一端があるため、この際きちんと整理しておきたい。安倍晋三首相が第一次政権時代の平成19年4月のブッシュ米大統領(当時)との会談で、慰安婦問題に関して大統領に「謝罪した」とメディアが一斉に報じ、いまなお国会などでこの問題が取り上げられる件についてだ。実はこの報道は誤解に基づいており、真相は異なった。
 きっかけは、会談後の共同記者会見で慰安婦問題について両首脳が、それぞれこう答えたことだった。
 首相「極めて苦しい状況におかれたことについて申し訳ない気持ちでいっぱいだ。20世紀は人権侵害の多かった世紀であり、21世紀が人権侵害のない素晴らしい世紀になるよう、日本としても貢献したいと考えている、と(米議会で)述べた。このような話を本日、大統領にも話した」
 大統領「私は安倍首相の謝罪を受け入れる」
 この場面を見たメディアは「慰安婦問題 大統領『謝罪受け入れ』」(産経新聞4月28日付)などと筆者も含めて書いた。だが、よく考えれば、そもそも論理的にヘンな話だっだ。
 元慰安婦に「申し訳ない気持ち」を抱くのはともかく、当事者でもない米大統領に謝るのは筋が通らない。疑問に思った筆者が5月1日の同行記者団との内政懇で「意味が分からない」と質問すると、首相は明確に謝罪を否定した。
 「米国に謝罪したということでは全くない。当たり前の話だ」
 メディアはこちらの発言はほとんど取り上げなかったが、首相は今月20日の参院決算委員会でも、改めて「私が大統領に申し訳ないという立場では全くない」と明言している。
 それならばなぜ、6年前の共同記者会見で大統領は「謝罪を受け入れる」と述べたのか。その後、首相本人を含む複数の関係者に取材して判明した事実は意外なものだった。首脳会談の冒頭で、大統領からこんな申し出があったのだ。
 「ミスターアベ、きょうは慰安婦問題と米国産牛肉の対日輸出の件は、話をしたことにしておこう」
 つまり、双方にとって難しい話題は実際は避けながら、対外的には協議した形をとりたいというわけだ。結局、慰安婦問題は話題にしなかったのに、質問を受けた大統領が適当に話を合わせようとして「なぜか『謝罪』と言っちゃった」(政府筋)のが真相だ。
 大統領は18年11月、ベトナムで日米韓3カ国首脳会談が行われた際にも事前に首相にこう持ちかけた。
 「面倒だから、盧武鉉韓国大統領とは朝鮮半島の話はしないでおこう」
 盧大統領と朝鮮半島情勢を議論すると、すぐに歴史問題を持ち出して対日批判を展開するので大統領はへきえきして避けたのだろう。首脳会談の機微を示すエピソードだ。
 こうした事情と外交的配慮もあってか、政府が今月17日に閣議決定した19年4月の日米首脳会談に関する答弁書は「ややこしい書きぶり」(首相周辺)だ。
 首相が慰安婦問題で大統領に謝罪や釈明をしたとは一切認めない一方、公式には「話をした」ことになっているため、「説明」は行ったことにした。その内容については、共同記者会見での首相発言(つまり議会での言葉)を引用した。
 以上、経緯を反省を込め記した。ともあれ、首相がいくら否定しても米大統領に「謝った」「屈服した」と信じたがる人が少なくないのは、日本人の対米認識・感情を考える上で興味深い。(政治部編集委員)
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◆ 「河野洋平と朝日新聞を国会に喚問しろ」山際澄夫 【総力大特集 がんばれ、安倍総理!】 WiLL 2013年7月号  

    

 (抜粋)
p202~
 安倍氏ほど「慰安婦」問題に熱心に取り組んだ首相はいない。「慰安婦」問題は、首相にとっては原点ともいうべき問題だからだ。総ての教科書に「従軍慰安婦」が掲載されるのに危機感を覚えて、中川昭一氏らと「日本の前途と歴史教育を考える会」をつくって河野談話否定に取り組んできたのである。
 第1次安倍政権では、「いわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする答弁書も閣議決定した。
 そんな首相にとって最大の誤算が、当時のブッシュ米大統領との日米首脳会談で「慰安婦」問題で謝罪をする羽目に追い込まれたことだった。
 安倍氏は、日米首脳会議では実際には「慰安婦」問題は論議されず、その後の共同記者会見でブッシュ大統領に「安倍首相の謝罪を受け入れる」と一方的に語られたものだと証言しているが、共同会見を見ると首相は「慰安婦の方々が非常に困難な状況で辛酸をなめられたことに対し、人間として首相として心から同情し、申し訳ない思いだ。20世紀は人権侵害の時代だった。21世紀を人権侵害のない素晴らしい世紀にするため、日本が貢献したいと大統領に話した」と述べている。
 首相としては一般的な人権問題を語ったつもりかもしれないが、否定しなかった以上、第3者からみれば謝罪したも同然だろう。これが結果的に、その後の「慰安婦」を「20世紀最大の人身売買」とする米議会でのマイク・ホンダ決議を許すことに繋がったといえなくもない。
 この決議によって米国では、「20万人もの女性が強制連行されて性奴隷にされた」というのが「慰安婦」に対する米メディアでの一般的な認識になってしまったのだから、悔やんでも悔やみきれない。
 いま、韓国系米国人によって米国内に「慰安婦」碑が相次いで建設されていることも、この決議と無縁ではない。決議には、日本が「慰安婦」問題で公式謝罪することが盛り込まれているが、「慰安婦」碑の建立は日本が謝罪していないことを理由にしているのである。(略)
 今回、中国、韓国は戦線をどんどん拡大させた。特に韓国は朴槿恵統領が米国でのオバマ大統領との首脳会談で「日本は正しい歴史認識を持たなければならない」と日本非難に踏み切った。
p203~
 中国は首脳会談を拒否している。それだけならまだよかったのだが、米国で再び日本叩きの動きが広がりつつある。日米関係がおかしくなって喜ぶのは中国、北朝鮮、韓国であろう。それだけは避けたいというのが首相の本音だろう。
朝日新聞の「戦後精神」
 米メディアは第2次安倍政権誕生前から、日本の政治動向を「右傾化」、安倍氏を「偏狭なナショナリスト」などと報じてきた。それに加えて歴史問題で中国、韓国の側に立つかのように安倍氏を罵ったのである。
 一体全体、なぜ米メディアはこぞってステレオタイプな安倍政権批判をするのか。理由は簡単である。内政干渉を手招きして恥じぬ日本のメディア、とりわけ朝日新聞を読んでいるからである。
 朝日新聞は、独立国としての日本の誇りを奪った「戦後精神」を代表している。東京裁判史観にどっぷりつかり、憲法9条に象徴される無責任な平和主義を唱え続けている。
 今回も主役は朝日新聞だった。
 閣僚の國参拝で韓国外相が来日を中止すると、それみたことかとばかりに〈安倍政権はいったい何をしているのか。両国の反発は当然予想された。これによって関係改善が遠のけば国益を損なうだけだ〉〈首相は閣僚の参拝について、それぞれの判断に任せたという。自身が参拝しなければ乗り切れると思っていたとすれば、甘過ぎると言わざるをえない〉(4月23日)と居丈高に批判した。
 さらに国会議員168人が集団参拝すると、〈日本はいったい、何を考えているのか。この国の為政者全体の国際感覚が疑われても仕方がない〉(4月24日)という。
 4月28日の「主権回復の日」に際しても、〈忘れてならない視点がある。日本が侵略戦争や植民地支配の過ちを犯したという歴史である〉(4月29日)。
 何があっても日本は侵略国家、國はその象徴というのが、朝日新聞の変わらぬ姿勢だ。
 日本を断罪する一方で朴 槿惠大統領が米韓首脳会談で日本批判をすると、〈本来、隣国同士で話し合うべき問題がこうした形でとりあげられるのは残念だが、それほど日本への不信感が強いということだろう〉と理解を示し、〈安倍政権の歴史認識を疑問視する声が米国内で急速に広がっている。このままでは、日本の国際的な孤立さえ招きかねない〉(5月10日)と嬉しそうに書いていた。
p204~
 中国、韓国と反日で唱和するのがお家芸の朝日新聞だが、第1次安倍政権以来、新しい地平を拓いたのが米メディアとの連携である。第2次世界大戦は日本とドイツの侵略戦争に対抗したものと無反省に信じ込んでいる米国のメディアなどは、歴史問題では安易に朝日新聞に騙されてしまう。安倍首相は天敵ともいえるこんな新聞に、再び足をすくわれたのである。
残された “反撃の道”
 ひとまず、歴史問題で軌道修正を余儀なくされた安倍首相だが、反撃する道は残されている。ひとつは政治決戦といわれる参院選で、河野談話と「慰安婦」問題に関する調査委員会を国会に立ち上げることを自民党の公約として戦うことだ。
 調査委員会には、「(従軍慰安婦は)朝鮮人女性を女子挺身隊名で強制連行した」と報じた朝日新聞の記者、編集責任者、証拠もないのに河野談話を発出した河野洋平氏、さらには慰安婦裁判に携わった福島瑞穂氏らを参考人として招致して、徹底的に真偽を究明するのである。米国や韓国などに調査チームを派遣し、世界の軍隊と性の歴史を調べ上げればよい。
 憲法改正も大事だが、「日本を取り戻す」というなら歴史問題は1丁目1番地ではないか。憲法改正は、独立国としての誇りを取り戻すために行うものであって、いまのような自虐史観のままでは改正しても、仏作って魂入れず、といった事態になりかねない。
 昨年、米国で韓国系や中国系米国人に取材したとき、「慰安婦の強制連行は日本政府も河野談話などで認めているではないか」と言われたことが忘れられない。国論が分裂している状態では、他国に乗じられてしまう。歴史問題は日本が国内で決着をつけない限り、解決しないことなのである。
p205~
橋下「慰安婦」発言の波紋
 政治家やメディアが、どこまで日本の汚名を晴らすことを真剣に考えているのか疑問を感じさせたのが、日本維新の会の橋下徹代表の「慰安婦」発言に対するメディアや政党の態度である。
 橋下代表の主張はざっくりいうと、「世界各国の軍にも慰安婦制度があった。それなのに日本だけが非難されているのはおかしい。そうなっているのは女性が強制連行されたと誤解されているからである」--というものだろう。
 橋下氏はかつて、河村たかし名古屋市長の「南京大虐殺」はなかったとの発言を批判するなど、お世辞にもしっかりした歴史観をお持ちだとは思えないが、今回の「慰安婦」発言に関する限り、非難されるべきことはない。
 むしろすべてのメディア、すべての政党が「女性の人権への侵害」という観点から批判する姿こそ、異常である。福島瑞穂、辻元清美、蓮舫らの各女性議員が記者会見を開いて、「戦争のために女性を利用することを肯定」「なぜ女性が性の道具にならなくてはいけないのか」と金切声をあげたのも笑止である。
 彼女らは、この「女性の人権」という一般論こそ、アメリカや韓国が、戦後の日本やベトナムで自分たちのやったことを無視して日本を非難する論拠にしていることをよく知っているのだ。特に、慰安婦問題を焚きつけてきた福島、辻元両氏は、日本人総がかりで吊し上げたいほどだ。
 恥を知らなくてはならないのは商行為だった「慰安婦」を強制連行、性奴隷とウソをついて日本を叩く勢力である。
 「従軍慰安婦」は強制連行されたと報じ、強制連行がないことがはっきりすると、〈強制があったかないかは問題ではない。女性の人権の問題だ〉などと開き直るいい加減な新聞が喜ぶような日本にするわけにはいかない。
 安倍首相は、「日本を取り戻す」との国民との約束を果たすべきである。
<筆者プロフィール>
 やまぎわ すみお
 1950年山口県下関市生まれ。産経新聞で首相官邸キャップ、外務省キャップ、ニューヨーク支局長などを経て退社。著書に『これでも朝日新聞を読みますか?』『それでも中国と付きあいますか?』(ワック出版)などがある。
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