死刑判決 昨年最多46人 遺族に配慮 厳罰化傾向 (中日新聞 2008/1/14)

2008-01-14 | 死刑/重刑/生命犯

死刑判決 昨年最多46人 遺族に配慮 厳罰化傾向
 中日新聞 2008年1月14日 朝刊
 全国の地裁、高裁と最高裁で昨年死刑判決を言い渡された被告は計46人に上り、1980年以降最も多かったことが13日、共同通信の集計で分かった。2006年の計44人がこれまで最多で2年連続の更新。昨年末現在の確定死刑囚は少なくとも106人、死刑執行は9人で、いずれも80年以降最多だった。
 昨年は国連で死刑執行停止が決議されるなど、死刑廃止に向けた国際的な動きはより進んだが、日本では、遺族感情への配慮などによる厳罰化傾向が続いている。
 集計は裁判所別のデータが確認できる80年以降の統計資料や取材に基づく。昨年地裁で死刑を言い渡されたのは計14人。千葉地裁がマブチモーター社長宅殺人放火などで計4人殺害の小田島鉄男死刑囚(64)ら4人、大阪地裁が自殺サイトで知り合った3人殺害の前上(まえうえ)博死刑囚(39)ら2人、福岡地裁久留米支部も大牟田市4人殺害の2人、東京、盛岡、宇都宮、さいたま、静岡、岐阜各地裁がそれぞれ1人だった。岐阜地裁は同じ職場だったすし店パートの女性ら2人を殺害、ばらばらにした兼岩幸男死刑囚(50)。
 高裁も計14人で、福岡高裁が北九州市連続殺人の松永太被告(46)ら7人、東京高裁がオウム真理教元幹部の中川智正被告(45)、遠藤誠一被告(47)ら4人、大阪、広島両高裁と福岡高裁宮崎支部各1人。1月に宇都宮地裁で死刑判決を受け、8月の東京高裁判決で控訴を棄却された被告が1人いる。
 最高裁判決は、武富士放火殺人事件の小林光弘死刑囚(49)、東京・池袋通り魔事件の造田(ぞうた)博死刑囚(32)、オウム真理教元幹部の端本悟死刑囚(40)ら18人。
 46人のうち、5人は死亡被害者が1人で、横浜・中華街料理店主射殺事件などの熊谷徳久被告(67)は、ほかの4人と異なり殺人の再犯ではなく、一審は無期懲役だったが、東京高裁が死刑を言い渡した。
 確定死刑囚は06年末現在94人で、昨年は最高裁判決の18人に加えて、控訴取り下げが小田島、前上両死刑囚ら少なくとも3人。4月、8月、12月にそれぞれ3人の死刑が執行された。
 法務省は12月の執行の際、初めて対象者の氏名と執行場所を公表。鳩山邦夫法相は「適正に執行していることを示し、国民の理解を得るため決断した」と述べた。
 鳩山法相は国連決議に対しても「死刑の存廃は各国の国民感情、犯罪情勢などを踏まえて独自に決定すべきもの。わが国では、国民世論の多数が凶悪犯罪には死刑もやむを得ないと考えている」と反論している。
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