神戸連続児童殺傷事件から20年 少年法厳罰化の実情 2017/3/16

2017-03-16 | 神戸 連続児童殺傷事件 酒鬼薔薇聖斗

2017/3/16 06:00神戸新聞NEXT
神戸連続児童殺傷から20年 少年法厳罰化の実情
 2001年施行の改正少年法で、検察官送致(逆送)の可能な年齢が「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げられて以降、15年間に逆送された14、15歳は全国で17人だったことが分かった。この間、殺人容疑で家庭裁判所に送致された14、15歳は29人いたが、逆送されたのは2人。傷害致死容疑では95人中5人で、逆送率はともに1割を下回った。
 1997年に神戸市須磨区で5人の小学生が襲われ、当時14歳の少年が逮捕された連続児童殺傷事件から今年で20年。事件以降、少年法は厳罰化の流れをたどってきたが、14、15歳については更生、保護を重視する司法の姿勢がうかがえる。
 少年事件では通常、検察側から送致された少年について家庭裁判所が調査し、審判で対応を決定。事件の内容や少年の状況によっては検察側に再び送致(逆送)される。その後は原則として起訴され、成人同様に公開の刑事裁判を受ける。
 司法統計によると、01~15年に逆送された少年は全国で計4270人(道交法違反など交通事犯は除く)。兵庫県内をカバーする神戸家裁管内では254人だった。各家裁の年齢別逆送数は公表されていない。
 全国では18、19歳が3690人と約86%を占め、16、17歳は13%の563人。14、15歳を含めた全体の非行内容では窃盗(914人)や傷害(547人)、強盗致傷(299人)が多かった。年ごとの人数は減少傾向にあり、01年の488人に対し、15年は135人だった。
 同じ改正により、16歳以上が故意に人を死なせた場合は「原則逆送」とすることも規定され、殺人事件では16~19歳の180人中99人(55%)▽傷害致死事件では378人中204人(54%)▽強盗致死事件では105人中75人(71%)-が逆送された。
 それ以前の5年間(96~00年)の逆送率は、殺人=28%▽傷害致死=10%▽強盗致死=54%-で、いずれも改正後に上昇。14、15歳とは異なり、16歳以上では厳罰化の傾向が示された。(田中陽一、鈴木雅之)

【年少事件、家裁が丁寧に対応】少年司法に詳しい神戸学院大の佐々木光明教授の話
 14歳と19歳では事件に対する理解や認識に差があり、15歳以下の年少少年に対し、家庭裁判所が事件の背景や更生に向けたステップの観点からより丁寧に対応していると言える。一方、少年が逆送され刑事裁判になると、犯罪事実が重視されて重罰化しがちだ。16歳以上の逆送率からは厳罰化がうかがえるが、少年の更生にはその成育歴や性格などにも目を向ける必要があるだろう。

 ◎上記事は[神戸新聞]からの転載・引用です
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改正少年法成立 2014/4/11  「有期刑」上限15年⇒20年 「不定期刑」短期5年⇒10年 長期10年⇒15年
少年犯罪を防ぐのは「厳罰」か「教育」か 相次ぐ少年法改正の背景は
 THE PAGE 2014.05.09 06:00
 4月11日、参院本会議で可決、成立しました。今月中には施行される見通しとされています。少年法はこれまでにも何度か改正されていますが、改正にはどんな背景があるのでしょうか。また、どのような懸念点が考えられるのでしょうか。
*今回の改正でさらに「厳罰化」進む
 今回の改正で、少年法はさらに「厳罰化が進んだ」と言われています(「適正化」という言葉が正しいという人もいます)。厳罰化と言われるのは次のような点です。
■有期刑の上限引き上げ
刑期の上限に関して、少年法の量刑では、成人の場合は死刑を下すような罪の場合は「無期刑」にしなければならない、無期刑を下すような罪の場合は「10~15年の有期刑」にすることができると定められていました。改正法では、この有期刑の上限が20年にまで引き上げられました。
■不定期刑の引き上げ
不定期刑とは、判決時に懲役年数を確定させず、〇年~〇年以下と幅を持たせた刑期を与え、その後の更生度によって処遇を決めることです。これまで不定期刑の長期の限度は10年、短期は5年でしたが、これがそれぞれ15年と10年に引き上げられました。
■検察官の立ち会い
改正前は、検察官が関与する少年審判は殺人や強盗などの重大事件のみに限られていましたが、改正後、長期3年を超える罪にはすべて検察官が立ち会うこととなりました。これまで検察官が立ち会う事件は5.5%程度でしたが、今後は約80%以上となると予想されています。同様に、国選付添人が選任される事件の範囲も拡大しました。
*2000年、2007年にも大きな改正
 少年法は2000年と2007年にも大きな改正がなされています。それぞれの改正での主な変更点は次の通りです。
《2000年の改正》
 刑事罰対象を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ。16歳以上の重大犯罪を原則として逆送すると定めた。
《2007年の改正》
 少年院の年齢下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げ(少年院送致の年齢下限撤廃)。14歳未満でも警察による強制的な調査が可能に。
 少年法の厳罰化が進んでいる背景にあるのは、神戸連続児童殺傷事件(1997年)、西鉄バスジャック事件(2000年)、長崎男児誘拐殺人事件(2003年)、山口女子高専生殺害事件(2006年)など、少年による重大事件が発生したことによる国民感情です。2007年の改正以降も、石巻3人殺傷事件(2010年)など、少年による重大事件は発生しています。少年事件が起こるたびに、「少年にも、犯した罪に見合った罰を与えるべき」という声が上がります。
*減少傾向にある「少年犯罪」
 それでは、厳罰化によって少年犯罪は本当に減るのでしょうか。
 少年法が大きく改正された2000年の少年による刑法犯総数は13万2336件 、そのうち凶悪犯(殺人・強盗・放火・強姦)は2120件でした。2001年には13万8654件(凶悪犯2127件)、2002年には14万1775件(同1986件)と増加します。
 ただ、2003年の14万4404件(同2212件)を境に減少となり、今年2月に発表された「少年非行情勢」では、刑法犯は2004年から2013年までは10年連続で減少していることが報告されています。2004年の検挙人員は13万4847人(同1584人)でしたが、2013年には5万6469人(同786人)にまで減っています。また、同年齢層人口1000人あたりの検挙人員も16.8%から7.8%へ減少しています。ただし、成人の場合は10年間2%前後で推移しており、成人と比べて少年が高い確率で検挙されていることが分かります。
*「少年法の精神」を重視する考え方
 近年、少年犯罪が減少傾向であることが分かりますが、それでも厳罰化に異を唱える専門家は少なくありません。ひとつは、2000年以降も少年による重大事件は起こっており、厳罰化では防げない事件があること。そしてもうひとつは、少年法は罪を犯した少年に対し保護と更生の機会を与えるものという考え方があるからです。
 そもそも罪を犯してしまう少年については、その成長過程で充分な教育や愛情を受けられなかったり、虐待を受けていたりというケースもあります。罪の重大さを理解できないからこそ残酷な罪を犯してしまうという場合もあり、罪の重さを認識させるためにも、適切な教育が必要です。
 少年法は少年の可塑性に着目しているとされています。可塑性とは、成長によって人格が柔軟に変化していくことであり、すなわち少年は成人よりも更生の余地が大きいことが期待されています。更生して社会復帰することが許せないと考える人もいますが、本当の更生とは自分が犯してしまった罪の重さと生涯向き合わなければならないことであり、罪と向き合いながら社会生活を送ることも、償いの一つという考え方もあるでしょう。
 厳罰化に賛成する人、反対する人の両方で一致しているのは、「罪を犯した少年はきちんと罪と向き合い、内省を深めなければならない」ということです。そのために行うべきことは厳罰化なのか、更生への教育なのか、その両方なのか。議論をこれからも続けていく必要があるでしょう。
 ◎上記事の著作権は[THE PAGE]に帰属します
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