浅田次郎著 会社を定年退職した日に地下鉄で倒れて病院の集中治療室で横たわる主人公の生い立ちをめぐる物語。親に捨てられ施設で育った主人公が幸せな結婚をし子供を二人授かり長男は幼い時に亡くなる。集中治療室で夢より現実的な幻想を見るが登場する女性がそれぞれ年齢も違う女性であり主人公に強い思いがわいてくる。その女性は、15歳で主人公を生み育てられないとして地下鉄に置き去りにした母親の面影であったという内容です。母親を知らない主人公が死に際に母親の捨てられた状況を幻想で見る。著者が得意な展開です。
浅田次郎著 主人公の「私」が友人の都築の夢の話を長々と聞く内容の小説です。フィクションの小説に現実味のない夢を中心に語る内容は、面白くないです。結末は、都築が商社員時代に医療機器選定に重要な役割を果たす大学教授が妻を殺害した事を隠蔽するとか友人を殺害する疑いがあるとかで長々と夢の話がしっくりこないです。
浅田小説としては、珍しい駄作の部類でしょうか。