鶴亀万年

元素周期研究会総帥の亀けんじがおおくりする、あまり役に立たないお知らせや気まぐれな情報が連日満載!

元素周期『マンガで覚える元素周期』硫黄

2012-02-12 12:49:20 | Weblog

 硫黄というとなんだか悪いもののイメージもなくはないですが実際はそうでもありません。本人はいたっていいやつなんですが、水素と混ざった硫化水素になるとかなりやっかい。温泉地なんかの硫黄っぽいにおい、ありますよね。それからゆで卵系のにおい。あれはみんな硫化水素のにおいでありまして、硫黄そのものは無臭なんですよ。それから、いま例に出しましたが温泉のにおいとゆで卵のにおいが似ているのは似ているんじゃなくて同じものだからなんですね。
 今回のネタはほかの元素とはかなり違っていて、発明家のグッドイヤーに登場してもらいました。タイヤメーカーの名前になっているあのグッドイヤーですが創業者というわけではありません(ちなみにライバルメーカーのダンロップは創業者の名前)。この人が、ある植物の樹液に硫黄を混ぜて、現在私たちが使っているようなゴムを発明したのです。ゴムの原料にするのはゴムの木の樹液だけではないそうで、ゴムの木という植物はたしかにありますが、天然のやつはそれほどゴムっぽいわけではないそうです。それから、硫黄のキャラも思いつかなかったんでゴムにしてしまいました。でも、ゴムが黒いのは炭素の粉を混ぜているからで、もともとはほとんど色がありません。しいていえば輪ゴムの色、あれが基本的なゴムの色です。それから温泉卵。みんな黒いのかと思ったらそうではなくて、黒いのは箱根の大湧谷のが有名なんですってね。これは鉄分の色なんだそうで、知りませんでした。
 と、このようにゴムに硫黄を混ぜるとよく弾むようになるわけですが、もっとたくさん混ぜると硬くなります。じつはこれまた知らなかったのですが、これがエボナイト。ボーリングのボールですね。もっと硬くしたやつを万年筆の軸なんかにするわけで、いわれてみればあの独特の硬軟らかい質感っていいですね。
 燐寸業界でも火薬から硫黄を取り除く「脱硫」という加工をするのが常識になっております。これは空気中に硫黄を含む亜硫酸ガスが増えるのを防ぐというわけで、このガスはひところの大気汚染の元凶でもありましたし、酸性雨のもとになる物質でもあります。結局、石油や石炭に含まれるやつを取り除く技術ができたおかげで、排出量はそうとう減らすことができたようです。その副産物として、現在では硫黄の生産は石油精製時に取り出されるものがメインとなっているそうです。