本日の元素は、最近は液体が冷却剤として注目される窒素。本書にはちゃんとデータも載っておりまして、それによると窒素は融点が-209.86℃、沸点が-195.8です。つまり、融点より低いと凍ってしまい、沸点より高いと気体になってしまうわけで、その間のところが液体でいられる温度帯というわけです。だから液体窒素というのはだいたい-200℃くらい。
究極の低温でありますところの絶対零度はおよそ-273℃。そのくらいの温度になると突然金属の抵抗が0になってしまうのが超伝導現象というやつです。そういう現象が起きるということは100年ほど前に発見されていたのですが、だからどうするということになるとこれがちょっと難しい。なにしろそんな極低温を長時間維持するのはそうたやすいことではありません。もうちょっと温度的にどうにかならないのか。というわけで、もう少し高い温度で超伝導が起きるものがだんだん発見されたり作られたりするようになって、最近は-200℃以上の温度で超伝導を起こす物質がいくつかあります。そうなると液体窒素で冷やせるわけで、これが通信用のケーブルやリニアモーターカーなんかに応用されるようになりました。こういうのを「高温超伝導」と申しますが、絶対零度から見れば高温とは名ばかりの-200℃の世界なので、一般的な感覚としてはやっぱり極低温の世界であることに変わりありません。