やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

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呪いアプリー63話

2012-06-30 22:20:21 | 小説
警察と言うのは、なんと頭の固いものだと頭前は思った。

「夢かもしれません。しかし考えれば可能性は幾らでもあるものです。そう調べる前からすべてを否定していると、真相にはとても到達しませんよ」

「記者さんからそんなことを言われるとは、ハハハハ。。。。日本の警察はそうバカではありませんよ」

少し目つきが変わる。

「そんなもの信用しなくても、事件は解決できる」

これ以上会話は無理だと思った。

頭前が立ちあがろうとした時に、赤岩刑事が言う。

「そう慌てなさんな。まだこちらの取り調べは済んでいないんでね」

「取り調べ?先程、私は犯人じゃないって言ったじゃありませんか。何を取り調べるんです?」

「さっきまではね。頭前さん。あなたは怪しいんでね。任意の取り調べをさせて貰いますよ」

「理由は?」

「あなたは今しがた自分の口で言ったじゃないですか。長原の父親を催眠術を使って動かしたとね」

仕舞った。

上手く誘導された。

頭前は浮かした腰を下ろした。

「わかりました。その取り調べとやら受けましょう」

そうは言ったが、住田が前に言った言葉を思い出した。

『死んだものを調べる余裕が無いだろう』

時間が無い。

こんなところで取り調べを受ける時間が勿体無い。

だが清浄師の死を詳しく知るには、警察から聞き出すのが一番の近道だ。








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呪いアプリー62話

2012-06-29 07:26:59 | 小説
「こんな部屋しかなくてすみません」

殺風景な取調室に通された。

「警察の窓口しか知らないんで、初めてですよ。こんな作りになってるんですね」

頭前は珍しそうに見渡した。

TVでよく見る部屋だ。

一巡すると見るものは他に無い。

「早速本題に入りましょうか」

どっかりとイスに腰をかけて、赤岩が言う。

「えぇそうしましょう」

頭前も席につき、机の上に両肘を置いて前かがみの体制で、赤岩の顔を覗き見た。

「写真を幾つか持ってきましたよ。これが五芒星です」

「へ~始めてみました。こんな感じなんだ。。。」

どういう向きで、どの文字が何を表しているのか、頭前にはまったくわからなかった。

その五芒星には大きなシミ跡がついている。

たぶん清浄師の血の跡だろう。

「このシミのところだけ、五芒星は消えていますよね。これは血で消えたのでしょうか?それとも元々出来上がってなかったのでしょうか」

「なんでそんなことを?」

「いえ。ここに来る前にネットで調べてみたんです。完成したものでは効力はあるが、未完成だと全く力はないと言います。もし見えない力なら、完成する前に狙うかなと」

「記者さんだからありとあらゆる想像ができるでしょうが、我々は警察だ。そんな目に見えないものなんて興味ない。父親が殺人を犯した動機を見つけてもらえないですかね」

「父親が殺人を犯した動機というのは、刑事さんが言われた口論というのが一番近いのかもしれない。でも記憶が無いと言ってるのなら、そう言う力・・・たとえば催眠術とかもあるかもしれないでしょう」

「それと五芒星の関係がわかりませんね」

「五芒星には見えない何かしらのパワーがある。完成していれば、催眠術でも効かないとか・・・」

「夢の世界です」


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呪いアプリー61話

2012-06-28 07:26:08 | 小説
「駆け引きですか。まぁいいでしょう」

そう言うと赤岩は、覆面パトカーに乗るように指示した。

「現場はまだ報道関係や警察やらで、人も多いため、頭前さんを中に入れるわけにはいきません。。まぁ近くまで言って話しましょう」

車でわずか10分程度のところに清浄師の自宅がある。

車で通り過ぎ、見渡せる場所に車を停止した。

「あの入り口から西に折れた場所に、もうひとつ玄関があります。その中に長原さんの仕事部屋がある。つまり祈祷をする部屋ですね。約20畳ぐらいの広い部屋です。板張りの道場のような部屋ですよ。玄関を入るといきなりその部屋がです。玄関から正面の一番奥が、20cmほど高くなっており、そこになにやら祭ってあります」

「清浄師はそこで亡くなった」

「そうですね。詳しく言う結界とやらの中央で亡くなってた」

「結界・・・守るものですよね。その中で死ぬと言うことは、彼の力は弱かったということか・・」

「それかまがい物でしょう」

「いえ。彼の力は、まったくのデタラメじゃやありません。少しだけですが私は感じることが出来ました」

「まぁ信じる人はいるでしょうな。私はあいにく疑うのが商売なんでね。彼は五芒星を床に書き、護符を貼っていました。それでもダメだったみたですね」

「刑事さんは父親から自分を守るために、そんなことすると思いますか?彼が恐れていたのは違うと思いますよ」

「いや、私も父親からなんて思ってませんよ。何かの祈祷の最中に殺されたということでしょう」

「殺す理由はあったんですか?」

「まだ調書の最中だからわからないが、ちょっとした口論で血が上りナタを降り卸したという感じですかね」

「そのことは何か言ってませんか?」

「今のところは、なぜあんなことをしたか記憶がないと言ってますよ」

「ひとつ気になるのですが、足元に五芒星と言われてましたよね。それはちゃんとした形になってましたか?」

「?。ちゃんとした形?私にはそんなことはわかりませんよ。あんなものは初めて見ますしね」

「できたらどういう状態だったか詳しく教えてもらえませんか」

「なぜ?」

「少しは捜査のお役に立てるかも」

「・・・・いいでしょう。確認しましょう」





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呪いアプリー60話

2012-06-27 07:36:03 | 小説
駅に降りると、すぐに刑事だと判る人物がイスに腰を降ろしていた。

頭前は近寄り声をかける。

「赤岩刑事ですか?」

「頭前さん?すみませんな」

「いえ」

頭前は名刺を差し出した。

「頭に前と書いてとうぜんですか。変わったお名前ですな」

「えぇ珍しいと言われます。」

「ところで本題ですが、あなたとの通話記録が長原さんの携帯から確認されています」

「えぇ昨日もお会いしましたから」

「どのような用件で?記者さんが動かれていると言う事は、それなりにネタがあるんでしょう」

「そりゃもう・・・ですが警察の方でもお話は出来ませんよ」

「う~ん。残念ですね~」

「犯人は逮捕されているのでしょう?私は何か関係あるんですか?」

「関係はないかもしれません。まぁお決まりの関係者に聞いてまわってるだけですよ」

「それでしたら、私も情報について警察の方にお話する必要はないでしょう。事件とは関係ないのですから」

頭前はウソをついた。

関係はあるはずだ。

「今、私は関係はないかもと言いましたよね。逆にあるかもしれない。だから長原さんと直前までお話したあなたに聞きたいんですよ」

「でも犯人であるお父さんとはお会いしてませんよ」

「警察としては裏づけが欲しいんですよ。そう言わないでご協力下さい」

少し感情的になっていた。

頭前は一呼吸おく。

「ところで、清浄師はどのように殺害されたのでしょう?」

「それはね~関係者以外にお話できないんですよ」

先程、頭前が言ったのと同じように赤岩は返してくる。

このやろうと言う気持ちを抑えて、頭前は言う。

「そうですか・・・それなりのお話はできると思ったんですけどね」
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呪いアプリー59話

2012-06-26 07:25:43 | 小説
「住田さん。自分はこれから竹野に行ってきます」

「いや。止めとけ。もう死んだ人間のことを調べる余裕は無いはずだ。ここで事件を食い止める必要がある。楢先を探そう」

「そうですが・・・楢先という人物がどれほどの人か知りませんが、もし自分と接触することで、清浄師のようなことになるかもしれません。ここは別行動の方が良い気がします」

「そうか・・・そうかもな。わかった。じゃあ俺の車を貸す」

「いえ。竹野まで電車が通っているのがわかったので、電車で行きます。その方が早い」

「よし俺は車で行く。何かあったら電話くれ」

二人は別々に家を出た。

頭前の頭の中は、罪悪感がある。

俺と接触しなかったら、清浄師は死ななかったかもしれない。

悔やまれる。

しかしなぜ父親が殺人を犯したのだろう。。。

住田が電話で父親と接触しただけだ。

詳しい人物像は浮かんでこない。

ただ清浄師は、父親は堅物だと言ってた。

ホームでそんなことを考えている時に、携帯が鳴った。

ドキっとする。

もしかして・・・。

知らない番号だ。

恐る恐る電話に出る。

「もしもし豊岡警察の赤岩といいます。長原さん・・・清浄師のことでお聞きしたいのですが、今どちらに?」

「京都駅です。これから電車で竹野に向かいます」

「そうですか、丁度良かった。あなたにお聞きしたいことがあります。駅への到着時刻は?」

「正午ごろです」

「わかりました。駅でお会いしましょう」

自分と清浄師の関係がわかったのか。

警察の動きも気になる。

頭前はいいチャンスだと思った。



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