やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

↓投票ボタン押してね

blogram投票ボタン

呪いアプリー42話

2012-06-09 11:11:32 | 小説
そんなことはわかっている。

吉永は舌打ちをした。

俺は刑事だ。

犯人を追い詰める嗅覚はもっているつもりだ。

だが組織にいると思うように動けない。

縄張りもある。

そこを犯す場合は、それなりの仁義が必要だ。

その点、頭前はいい。

新聞記者であっても、自由に取材に行ける。

どんな闇にでも侵入できる。



頭前はそのまま京都に向かう。

新聞記者と言っても契約記者だ。

自腹をきればどこまででも取材に行ける。

もちろん良い記事ができれば、直ぐに金に変わる。

京都駅に降りると、まずは知り合いを訪ねることにした。

京都でフリーの記者をしている住田と言う男だ。

もう既に60を超えていて、いつ引退してもおかしくない。

京都バスで左京区に向かう。

岩倉実相院の側に彼は住んでいた。

バスを下りてしばらく歩くと、くたびれた門が見える。

呼び鈴を押すと、中から髭を生やした男の顔が覗く。

見た目は老いぼれた爺さんだが、眼光の鋭さは現役のままだ。

「よう。早いな。入れ」

「久しぶりです。」

土間から部屋に上がると、スクラツプを投げてきた。

慌てて受け取り、畳の上にどかっと腰を下ろす。

ペラペラと捲ると、付箋紙が貼られているページに止まる。

幾つかの名前が並べて書いてあった。

「そこの赤線で消された以外は、インチキでないやつだ。その中でもブルーで消されたのはもうこの世にいないか隠居だ」

「残った名前を当たれば、ホタルに行きあたるわけですね」

「そのホタルとか言う奴が、そこに載っていないインチキに捕まってなければな」






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする