そんなことはわかっている。
吉永は舌打ちをした。
俺は刑事だ。
犯人を追い詰める嗅覚はもっているつもりだ。
だが組織にいると思うように動けない。
縄張りもある。
そこを犯す場合は、それなりの仁義が必要だ。
その点、頭前はいい。
新聞記者であっても、自由に取材に行ける。
どんな闇にでも侵入できる。
頭前はそのまま京都に向かう。
新聞記者と言っても契約記者だ。
自腹をきればどこまででも取材に行ける。
もちろん良い記事ができれば、直ぐに金に変わる。
京都駅に降りると、まずは知り合いを訪ねることにした。
京都でフリーの記者をしている住田と言う男だ。
もう既に60を超えていて、いつ引退してもおかしくない。
京都バスで左京区に向かう。
岩倉実相院の側に彼は住んでいた。
バスを下りてしばらく歩くと、くたびれた門が見える。
呼び鈴を押すと、中から髭を生やした男の顔が覗く。
見た目は老いぼれた爺さんだが、眼光の鋭さは現役のままだ。
「よう。早いな。入れ」
「久しぶりです。」
土間から部屋に上がると、スクラツプを投げてきた。
慌てて受け取り、畳の上にどかっと腰を下ろす。
ペラペラと捲ると、付箋紙が貼られているページに止まる。
幾つかの名前が並べて書いてあった。
「そこの赤線で消された以外は、インチキでないやつだ。その中でもブルーで消されたのはもうこの世にいないか隠居だ」
「残った名前を当たれば、ホタルに行きあたるわけですね」
「そのホタルとか言う奴が、そこに載っていないインチキに捕まってなければな」
吉永は舌打ちをした。
俺は刑事だ。
犯人を追い詰める嗅覚はもっているつもりだ。
だが組織にいると思うように動けない。
縄張りもある。
そこを犯す場合は、それなりの仁義が必要だ。
その点、頭前はいい。
新聞記者であっても、自由に取材に行ける。
どんな闇にでも侵入できる。
頭前はそのまま京都に向かう。
新聞記者と言っても契約記者だ。
自腹をきればどこまででも取材に行ける。
もちろん良い記事ができれば、直ぐに金に変わる。
京都駅に降りると、まずは知り合いを訪ねることにした。
京都でフリーの記者をしている住田と言う男だ。
もう既に60を超えていて、いつ引退してもおかしくない。
京都バスで左京区に向かう。
岩倉実相院の側に彼は住んでいた。
バスを下りてしばらく歩くと、くたびれた門が見える。
呼び鈴を押すと、中から髭を生やした男の顔が覗く。
見た目は老いぼれた爺さんだが、眼光の鋭さは現役のままだ。
「よう。早いな。入れ」
「久しぶりです。」
土間から部屋に上がると、スクラツプを投げてきた。
慌てて受け取り、畳の上にどかっと腰を下ろす。
ペラペラと捲ると、付箋紙が貼られているページに止まる。
幾つかの名前が並べて書いてあった。
「そこの赤線で消された以外は、インチキでないやつだ。その中でもブルーで消されたのはもうこの世にいないか隠居だ」
「残った名前を当たれば、ホタルに行きあたるわけですね」
「そのホタルとか言う奴が、そこに載っていないインチキに捕まってなければな」