やんちゃでいこう

5歳の冷めた男の子の独り言

↓投票ボタン押してね

blogram投票ボタン

呪いアプリー34話

2012-06-01 07:12:02 | 小説
夕方待ち合わせ場所に向かうと、滝澤は既に来ていた。

本橋の死や下北の心配と言うよりも、事件を興味に感じているようだ。

人は自分が直面しないと、わからないのだろう。

もしかして、次は自分かも・・・と考えれば、容易に近付きたくないものだが。

下北の家までは、大船駅から徒歩20分ぐらいの距離にあった。

まず滝澤が呼び鈴を押す。

なかなか応答がない。

もう一度押してみる。

しばらくしてドアのロックが開く音がした。

「下北。俺だ。滝澤」

「何しにきた?」

「一人じゃ不安だろうって思ってな。気分を紛らわすには話して飲むのが一番だ」

滝澤は途中で購入したビールの袋を見せる。

雰囲気的に、ドアは開かないだろうと頭前は考えていたが、思いのほか簡単に部屋に入れた。

「そちらは?」

怪訝そうな顔で、頭前を見る。

「この人は俺の友達で、頭前さんって言うんだ新聞社にお勤めで、この手に詳しいから来て貰った。心強い相談相手だ」

黙って下北はお辞儀をした。

滝澤は頭前に目配せをする。

上手くごまかしただろう・・・という合図だ。

そこは滝澤も乗っかることにした。

「とりあえずビールでも飲みましょう」

少しでもお酒が入れば饒舌になるだろう。

3人は乾杯もせずに、思い思いにビールを口にする。

「今日はさ。本橋への俺らなりの通夜みたなもんだ。頭前さんも本橋とは知り合いでな。本橋が死んだことにショックらしいぜ」

「えぇ。本橋さんが大連から戻ってきて、直ぐに電話くれたんですけどね。それから連絡がないな~と思ってたら、こんなことになるなんて」

「・・・」

「おまえ。本橋のこと何か知らないか?大連から戻ってから」

「それはお前と同じで、俺も社内だけの付き合いだからな。詳しいわけじゃない」

「原因は見当たらないんですか?」

「私にはぜんぜん。。。ただ、あいつ急に態度が変わりましたからね。だから何かあったんだろうとは思ってました」

「そうだよな。前日まではバリバリ仕事してたのに、急に携帯電話を投げ出して。。。ソワソワしたかと思うと、回りばかり気にしてさ」

「それはいつごろですか?」

「確か・・・3月中旬だと。大連から帰った後ですからね。丁度私も上海から戻った時だったので」

「会社で携帯を投げるまでは普通だったと?」

「だったと思うよな?俺はそう記憶してるけど」

「そうだと思う。いきなり大きな声で席から立ち上がって、ゴミ箱に携帯を投げつけた。課長が慌てて飛んできて。。。本橋を連れて応接室に行ったよな。本橋の状態がおかしいからって言うんで、人事課に電話して人事の人間が数人きて本橋を病院に連れて行った」

「そうそう。あれからだ」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする