■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■4月月例ネット句会/入賞発表

2023-04-10 16:11:55 | 日記
■4月月例ネット句会/入賞発表
■2023年4月例ネット句会■
■入賞発表/2023年4月11日

【金賞】
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめが来るということは、有花さんのコメントにあるように、季節の一ページがめくられる新鮮さがある。風が新しく吹く里は、田植の準備がされ、いよいよ活気づいて来る。心弾む季節をつばめは連れて来たのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
冬の間田に植えてあった大根も花咲いて、田返しの際は、畦に抜き捨てて、田を打ち返す。今、田植の準備が始まったところ。情景がリアルで、田土の匂いがしそうである。(髙橋正子)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りに燕がなんども行き来している。巣へ戻る時も、巣から出て行くときも、いつも軽やか。巣作りにいそしみながらも、楽しそうである。巣が出来ると、卵を産み 雛を育て、飛び発つまでの営みが人間にも楽しさをもたらしてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
3.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
わが子の門出にふさわしく、空は大きく青く、桜が咲いて祝福してくれている。大らかな詠みぶりに、子を旅立たせる父親の懐深い心情が読み取れる。(髙橋正子)

16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
児を抱いて、桜の下にいると。ヒラっと花びらが舞い落ちた。小さな指で摘まめそうな花びらに、興味しんしんなみどり児のやわらかさがいい。(髙橋正
子)

29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ
処置室へ向かう廊下だろう。空が見える高い窓からは弾けるように囀りが聞こえる。高窓にあふれる囀りに、フレッシュな気持ちが湧いて来る。春はわくわくと新しい。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】

のちほど。

【髙橋正子特選/7句】
20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花
ここ数日、大変暖かったものが急に冷え込みです。「新樹冷ゆ」でもなく、「若葉寒」でもなく、まさに「花失せて花冷え残りけり」でした。この様な事もある、気候の端境期のようです。 (桑本栄太郎)
まだ見られると思っていた桜が、思いがけない嵐で散ってしまいました。けれど、そのうすら寒さはまだ残っているよう。静かな花冷えを抱きしめるように感じます。(川名ますみ)

23.巣作りの燕の行き来軽やかに/多田有花
巣作りをしている燕は、本当に軽やかに飛んでいる。これを燕の行き来と上手く詠んだ。景が見える。(廣田洋一)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
つばめは渡り鳥の中でもとりわけはっきりと季節の移り変わりを教えてくれます。つばめがやってきた、それだけで季節の一ページが確実にめくられたことがわかります。「風新しき」に共感します。新鮮な感動を連れてきてくれる鳥です。 (多田有花)
つばめが飛び交うようになると、いかにも春の季節の到来を感じさせて、里は活気に満ちてよみがえるようになる。素敵な季節の到来である。 (小口泰與)
新しい季節を迎えたことを、「つばめが来て里の空気をがらりと変えた」、「風新しき里」と詠まれたことに感服いたします。颯爽と風と共につばめが横切るさまが目に浮かびます。 (友田 修)
つばめが里に戻ることで、平凡な日常生活に自然界から刺激が与えられ、里全体が活気づく予感がして春めいた情景が目に浮かぶようです。 (弓削和人)
 
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
16.抱く児に花びらヒラと舞い落ちる/祝 恵子
29.高窓に囀あふれ処置室へ/川名ますみ

【髙橋句美子特選/5句】
03.稜線のあおぞらうねり花の雲/桑本栄太郎
青空のうねりが雄大に感じられる句です。(髙橋句美子)

18.雨やめば藤の房にも粒を持ち/祝 恵子
雨がっ止んだ後の藤の房に水玉が映える綺麗な光景が目に浮かびました。 (西村友宏)

20.田がえしの畦に抜かれし花大根/吉田 晃
抜かれた花だいこんが、田がえしに次々と鋤かれていくのが見えてきます。 (祝 恵子)

27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子
37.咲きあふる寺の桜を通りより/髙橋正子

【入選/18句】
02.大木の木瓜の花咲く旧家かな/桑本栄太郎
白壁に囲まれたお屋敷の中、ひと際みずみずしい朱の色の花を咲かせている木瓜の大樹。その美しさに感動し春が実感され、年輪と共にお屋敷の様々な歴史に思いを馳せられる詠者です。 (柳原美知子)

05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
雨雲に覆われた空からキラリと白い腹をひからせ、袈裟斬りに飛翔し風をおこすつばめ。その勢いと美しさが想像され、雨もよいの景の風情が感じられます。 (柳原美知子)


09.輝ける春のひかりを胸に抱く/友田 修
うららかな春の日の胸に透き通るようなひかりが感じられ、身も心も静かに満ち足りていくようです。繊細で若々しい句ですね。 (柳原美知子)


15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
子供たちもみな巣立たれ、夫婦ふたりだけとなった静かな食卓。一抹の寂しさとともにしみじみと味わう春野菜の一皿です。 (柳原美知子)

19.カツオ船入るなつかしさ刺身引く/吉田 晃
漁港に戻って来たカツオ漁船でしょうか。その場で引くカツオの刺身。きっと美味なことでしょう。 (高橋秀之)

30.糊利きし白衣四月の病院に/川名ますみ
糊がピシッときいた白衣の医師や看護師さんが生き生きと働いている姿に、改めて四月、新年度がきたことが実感されるようです。清潔なたたずまいで接してくれる看護師さん達には、安心感が持て、心強い気がしますね。 (柳原美知子)

31.川下る賑わう船に花吹雪/髙橋句美子
両岸に満開の桜が咲いている川を下る観光船でしょうか。花見で賑わいがより一層の盛り上がっているんだろうと感じます。 (高橋秀之)

32.電車待つ春のコートに風つよし/髙橋句美子
都会の春は若い女性によく似合う。東京勤務時代は50年も前の事。渋谷、新宿、池袋が休日の活動範囲だったが、プラットホームに吹く春の強い風が女性の長い髪を乱す。そんな姿がよく春に似合っていると感心したものだった。 (吉田 晃)

33.風光るいつもの店にパン選ぶ/髙橋句美子
いつものパン屋さんへの出入りにも煌めく光と風が感じられる春たけなわ。仕事から解放され、心も軽く今日のパンを選ぶのも楽しみのひとつですね。 (柳原美知子)

35.生徒らに式辞の長し花曇り/西村友宏
式辞というものは、どうして長いの。早く終わって。という生徒たちの思いが花曇りの天気と重なって微笑ましく懐かしいです。 (高橋秀之)

36.朝寝してコーヒー片手に野球観る/西村友宏
春の朝寝は気持ちがいいですね。WBCの試合でしょうか。準決勝、決勝と湧かせてくれましたね。コーヒー片手に満面の笑顔が想像されます。 (柳原美知子)

04.喧騒の利根の流れや春の鳥/小口泰與
05.雨雲や袈裟斬りに飛ぶつばくらめ/小口泰與
08.青空と新緑に心が躍る/友田 修
12.白き蝶群なし舞へる畑かな/廣田洋一
14.列車行く菜の花畑の向こう側/高橋秀之
15.静かなるふたりの食卓春野菜/高橋秀之
21.桃咲いて子ら新しき道をゆく/吉田 晃
25.谷音聴く樹下に初音のこぼれきて/柳原美知子
34.目黒川英語飛び交い桜舞う/西村友宏

■選者詠/髙橋信之

のちほど。

■選者詠/髙橋正子
39.車椅子軽く動けり花は葉に 
車椅子で移動できることはありがたいですね。押す人も押される人も一体となって春光を浴び、短い花の季節を楽しまれたことでしょう。葉桜がまたおふたりを迎えてくれます。(柳原美知子)

37.咲きあふる寺の桜を通りより
38.花は葉に犬と子どもが走り来る

■互選高点句
●最高点句(7点)
27.つばめ来て風新しき里となる/柳原美知子

次点(6点/同点2句)
13.桜咲く大空青く子の門出/高橋秀之
22.花失せて今朝花冷えの残りけり/多田有花

集計:髙橋正子
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする