新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ

全国紙の元記者・中村仁がジャーナリストの経験を生かしたブログ
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終幕が近いのではないか安倍政権

2018年04月10日 | 政治

 

底が抜けたような情報リーク

2018年4月10日

 森友学園と思えば、次は加計学園で連日、「まさか、まさか」ですね。これでは来春の地方統一選、夏の参院選に影響が出ないはずはなく、与党議員も戦々恐々でしょう。与党全体の責任というより、官邸発の問題ですから、「安倍政権はいつまでもつのか」に関心が移っています。


 長引けば野党は喜ぶでしょう。喜んでも野党には政権を握る力はありません。自民党の体制を早期に立て直せるかが焦点となります。


 9日の参院決算委員会で、質問者の自民党議員が財務省理財局長に向かって、「バカか、本当に」と大声を上げました。森友学園の学校用地として払い下げる国有地の地下に、大量の廃棄物が見つかり、そのため8億円も値引きして売却した案件の真相を解明する場面です。


 ゴミを撤去するのにダンプカーを何千台も動員したことにして、財務省職員が学園の弁護士に口裏を合わせてほしいと依頼したという話です。理財局長は口裏合わせの事実を認め、委員会室にどよめきが走りました。事実に反する工作をするのに、相手側の弁護士に依頼したという神経が分かりません。弁護士ならそんな工作に応じるわけはなく、ばれたら弁護士は罪を負います。


情報漏れを想定し口裏工作


 職員同士で口裏を合わせるのはよくあるにしても、なぜまた相手を弁護士にしたのでしょうか。「ダンプ4千台」といっても、業者を調べれば、直ぐにウソであることがばれますね。自民党議員が思わず「ばかか」と叫んだというような単純な筋書きではなく、実は弁護士を通じて口裏工作が外部に明るみになることを想定したのだと、私は思います。


 財務省理財局の職員には、森友案件の不透明さに反発する者も多く、自殺した近畿財務局の職員も遺書でそうしたことを漏らしていたとの話もあります。政権が動揺すればするほど、上司のキャリア(上級公務員資格者)に対し、部下のノンキャリが公文書の改ざんを含め、自分たちに罪が押し付けられかねないことに不満を強めていたはずです。


 次々に新事実が表面化している中で、10日には「加計学園巡り、首相秘書官(当時)が愛媛県、今治市、学園幹部と15年4月に総理官邸で面会した。その際、本件は首相案件だと、秘書官が述べた。そのことを記録した文書が存在する」(朝日新聞)との報道です。


 安倍首相の親友が経営する加計学園は、獣医学部の新設(愛媛県今治市)を認可されました。相当、強引な誘致、認可であったようで、野党は首相の影響力の行使を疑っています。首相は「この案件を加計氏から依頼されたもともない」と、反論してきました。


 「親友なので案件の話は当然、聞いていた。聞いていただけで、担当部署に口添えなどしていない。正式の審議会で公正に認可の結論をだした」と、説明しておけば、騒ぎにならなかったかもしれません。問題はなぜそうしなかったのかですね。


 首相秘書官は国会答弁で「記憶する限り、お会いしていない」と複数回、答弁しているそうです。朝日の報道が事実だとすれば、虚偽の答弁に当たります。


 朝日新聞は文書を入手しただけで、報道することは常識ではありません。同席した人に事実確認をして報道するものです。今回はどうだったのでしょうか。


 とにかく第一手を間違わず、適正に案件を処理していれば、森友や加計問題で、一年近くも、国会審議でもめ続け、国政を揺がすことにはならなかったはずです。


 

 

 



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4 コメント

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慣用的表現および文の分かりやすさについて (横井正弘)
2018-04-12 20:47:05
【前置き】他者の文章・文・用語についての揚げ足取りを趣味にしているわけではありません。また、わたくし自身、市井の一老頭儿にすぎず、用語についてのとんでもない思い違いをしていることが無いとは言えません。ただ、昨今、ネット上に溢れる様々な文章を読んでおりますと、どうしても一言いわずにいられないことが増えてまいりました。ヤフーコメントなどの片言は論外として、識者の方々の文章にも、昭和20年生まれの自分が生きてきた時代の言語感覚に照らして、違和感を覚えるような言い回しが目につくようになりました。いま、読ませていただいたこの記事について、主旨に異論はありませんが、一読した場合、ほんのすこし気に掛かる箇所がありましたので、まことに僭越ながらご指摘申し上げたいと存じます。
【私見】1.第五形式段落に見える「口裏工作が外部に明るみになる」の「明るみになる」という言い方は、他のウェブ文書でもよく目にするようになりました。しかし、やはりここは、国語辞典の用例にもあるとおり「明るみに出る」とする従来の用法のほうが適確であると考えます。「明るみ」とは、明かりが何かを照らし出している「場所」であり、当該箇所では、主語「口裏工作」が、「外部に」引き「出さ」れ、或いは現れ「出る」わけですから、「明るみ」の「なかに」はっきりと「照らし出される」といった表現にするのが適切かと存じます。もちろん、「何々が明るみになる」という表現が決定的な誤りとは言えませんし、「湯を沸かす」「飯を炊く」と少し似たような「目的・結果」直結表現の仲間だといえなくはないとも思いますが、わたくし世代の者には、やはり落ち着かない言い方です。なお、当該箇所のばあい、その直前に「外部に」とあるため、「明るみに出る」とすると部分的同語反復(助詞「に」の近接出現も気に掛かります)になってしまいますから、このような表現になったのだろうと考えられます。ここは、短く「口裏工作が明るみに出る」としてしまえばすっきりします。

2.「朝日新聞は文書を入手しただけで、報道することは常識ではありません。同席した人に事実確認をして報道するものです。今回はどうだったのでしょうか。」
 この三文は、筆者の文体に馴染んでいる読者でなければ、一読しただけでは意味をとるのに手間取ります。第一文を「新聞(あるいは新聞社)が、ある文書を入手しただけで、そのまま報道することは常識としてありえません」程度には親切な書き方にしてくださったほうがよかったのではないかと思います。また、こう書き換えた場合、一般論としての表現になりますから、個別の新聞社名にする必要もなくなります。ただ、そうすると今度は「今回はどうだったでしょうか」の「今回は」が浮いてしまいますが、ここで「朝日新聞、今回は」とすれば解決します。

【送信意図】前置きでも申しましたように、他者の文章の瑕瑾をあげつらって得意になるほど自分がつまらない人間だとは思っておりません。どのような方が対象であろうとも、言語による表現・用法・用語に違和感があれば、その理由を可能なところまで考え、どうしても納得出来ない場合などは、我が身を省みず、そのことを指摘するようにしております。滅多にお返事はいただけませんが(笑)。

日本語学の専門家の方々は、異口同音に「言語は流動・変化する」「言語運用の変化には合理的な力が働いている」「人は自分が馴染んでいる言い回しが最良だと思い込んでいるにすぎない」と仰います。しかし、活字媒体はともかく、ネット上に溢れる文章には、校正者・校閲者の手を経ていないという決定的な欠陥が有り、どんなに著名な論者のそれにも、脱字・誤入力を含めて誤った日本語が見つかります。

誤用は合理的改変ではありません。小さな錯誤であれば、普通の読解力を持った者ならそれと分かり、大きな障害にはなりません。しかし、著名な論者の文章のなかに紛れ込んだ誤用・熟さない言い回し・語義の曖昧な単語は、後進の躓きとなるおそれがあります。現に朝日新聞連載「折々のことば」の筆者さえ、補語を取らない無限定な「返す」を頻用しておられ、私などは困ったことだと思っております。文章の専門家の方が、細やかな配慮をもって文を草してくだされば、止めることは出来なくとも、言語変革に自然な流れは保持できるであろうと存じます。
今更? (レンヴ)
2018-04-13 04:25:33
今更感が。
今の状況にならなきゃ書けないってのがメディアの病み具合を感じる。なのです!
単に 馬鹿げているだけでしょう!? (こかげ)
2018-04-15 15:18:21
マスコミと野党が、ほかにネタがないので 騒ぎ続けているだけですよ!
重箱の隅をつついて騒ぎ続けているだけ。 馬鹿げているだけ!
するべき事は・・・ (こかげ)
2018-04-15 15:27:24
問題の中核は、単にキチンとした書類管理のシステムを作ればいいだけの事でしかありません。
決済が済んだ書類を、勝手に書き換えるなんて言うことが出来ること自体が異常です。

また、あれこれの書類を提出しろ・・・ などと、その都度、役人に言わなくても、誰でも検索してダウンロードできるようにしておけばいいだけです。
そうすれば、改ざんしてもすぐにバレルので、問題の大半は自然消滅するでしょう。

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