付け焼き刃の覚え書き

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「ドラキュラ紀元」 キム・ニューマン

2007-08-22 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 イギリスに上陸したドラキュラ伯爵は、退治しようと挑んだヴァン・ヘルシング教授を返り討ちにすると英国女王の夫となり、世界に吸血鬼の時代が来た。吸血鬼の眷属になることが大貴族の一門に加わるのに匹敵する時代となったのだ。
 だが、その治世下で切り裂きジャックが出没し、吸血鬼の娼婦ばかりが惨殺される事件が連続する。
 警察の捜査は行き詰まるが、影の内閣ともいうべきディオゲネス・クラブは、何故かこの事件を重視し、その解決に1人のエージェントを選び出した……。

 ビクトリア女王統治下で、難事件が発生して、ディオゲネス・クラブが登場したなら、当然出てくるのはシャーロック・ホームズと思いきや、オリジナルの諜報員ボウルガード。彼がブラム・ストーカーの話の最後の最後で歴史が変わってしまった物語全体を通した語り部となり、彼を陰に日なたに支えるのが伯爵とは血統を異にする吸血鬼の美少女ジュヌヴィエーヴです(「ウォーハンマー・ノベル」とは別人)。

 吸血鬼物語として面白いし、かゆいところに手が届くというか、この時代、この場所ならこいつがいるだろう!?と思うと(実在架空を問わず)ちゃんと登場してくれるのが嬉しい話です。マイクロフト・ホームズからドクター・フーまで、当時のロンドンにいたことになっている者、いてもおかしくない者は、実在だろうと架空だろうと総出演のロンドン絵巻です。
 似たような話では、『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン/リーグ・オブ・レジェンド』(アラン・ムーア&ケヴィン・オニール)があるけれど、あれって登場人物たちに対して愛がないと思いません? 特に火星人編。

【ドラキュラ紀元】【キム・ニューマン】【吸血鬼】【切り裂きジャック】【銀のメス】【ジュヌヴィエーヴ】

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