付け焼き刃の覚え書き

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「ハレーション・ゴースト」 笹本祐一

2011-12-28 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 笹本祐一の『ハレーション・ゴースト』も好きな作品。
 『妖精作戦』シリーズの2作目なのだけれど、これだけはストーリー的に独立していて……内容を簡単に説明するなら「人間の想いって強力で、パンドラの箱だって開いちゃうんだよね。で、学園祭準備期間の学校に出没する怪異が次第に世界規模で広がっていくんだけど……」という話。で、もう少し詳しく説明しようとすると、黒マントの怪人が少女をさらい、鬼娘が空を飛んで、雪女のせいで寮内で遭難しかけ、無数の目を赤く光らせた巨大なイモムシの群れが暴走し、金色の三つ首龍が大暴れ……。
 これはこれで面白くて好きな話で、自分としては『妖精作戦』と2冊で完結しててもいいのになと思った作品。
 このシリーズは「地球を守る正義の組織が、エージェントとして超能力少女をスカウトしようとするのだけれど、やり方が強引すぎるので、地球の平和より個人の幸福だろ!?とクラスメイトの高校生たちが一肌脱いで大暴れ」というところが基本線で、「地球を守る」=「正義」=「主人公」という構図を崩した時点で革新的。それはへたすれば文明批評とかペシミスティックな展開になりかねないんだけれど、暴走する高校生の元気さで感じさせないところが良し。活劇っすよ、活劇☆
 でも、それをストーリーとして完結させようとすると、「じゃあ、地球は守られなくて良いの!?」という疑問を結局は避けずには通れないので、辛いとこです。がんばれ、少年!! がんばれ、探偵!
 んでもって、ネタが生ものすぎて、そろそろ通用しにくくなっているのも難だよねえ。ネタ抜きでもいい話なんだけれどもさ。(2007-09-25)

 創元文庫版の2冊目。この人のイラストは好きだけれど、妖精作戦に関しては今ひとつ。
 巻末に小川一水の解説がついて、それが元ネタリストになっていて、それだけでも買った甲斐はあったというもの。ただ、ジャバウォッキーについては、プラハの映画『アリス』ではなく、プラハの映画『アリス』に萌えた和田慎二のコミックの二重ネタだと思っていたのだけれど、あっちは入っていないのかしらね。

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