付け焼き刃の覚え書き

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「トラブル急行」 弓月光

2007-08-26 | 宇宙海賊・宇宙商人
 弓月光といえば「ヤングジャンプ」や「ビジネスジャンプ」でエッチなコメディを描いている作家ですけれど出身は「りぼん」。でも描いていることは今とほとんど同じ。極端な話、直接的な描写があるかないかくらい。
 その弓月光が「週刊少女マーガレット」に最後に連載したのが『トラブル急行』。打ち切り同然に単行本2巻で終わったけれど、今思っても無理もない話。銀河系を旅する零細運輸業者の話ですよ(小説版クレギオンを思ってもらえばよろしい)。そこで彼らが遭遇したのが古代文明の遺産、折り鶴型のバイオシップ。宇宙船そのものに人工知能が搭載されていて、端末は女性アンドロイド型というヤツです。今でこそライトノベルなどでは散見される設定ですけど、マキャフリィの『歌う船』の翻訳が刊行されたのが1984年。これは1982年の作品ですからね(これ以前にバイオシップ、というか人格を持った「頭脳船」の出てくる作品はあったかな……?)。
 小道具だってハインラインやニーブン系のSFアイテムがごろごろ出てきて、パワードスーツはスリムなボディスーツ型から無骨な大型まで。折り鶴宇宙船のシールドに手を焼いた宇宙海賊は、怪しげなパペッティア人の商人からガトリング式ビーム砲を購入する……という、まあ、それをあの時代に少女マンガでやろうというのが無謀ってもんです。今、少年サンデーあたりでやるなら可なんだろうけどもさ。
 弓月光の『甘い生活』の27巻の最後のページ。軌道エレベータ上部のステーション・ブロックのドッキングゲイトに係留されているのは、たぶんチャイカですね……。

 この頃、各人気作家が毎号読み切りマンガを執筆し、読者投票でグランプリを選ぼうという企画があったのですが、このときに弓月光が描いたのが『3DKのサバイバル』。若夫婦の旅行中の団地の一室。留守番をしていたお婆ちゃんが突然死んでしまい、取り残された赤ん坊が4LDKをはい回って生き延びようとする話。当時は読んでも面白くなかったし、逆に今読むと痛すぎる。少女マンガ誌の企画ですよ? もう、賞を取るより描きたいものを描く!って感じでした。

【トラブル急行】【弓月光】【マーガレットコミックス】【頭脳船】【人型端末】【宇宙海賊】【パワードスーツ】【3DKのサバイバル】

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