付け焼き刃の覚え書き

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「アシャワンの乙女たち」 牧野修

2007-10-29 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 ソノラマ文庫の『アシャワンの乙女たち』を読む。ひとことでいうと、異色の戦闘美少女学園トンデモ小説。

 大宇宙の誕生以来、戦い続ける2つの力があった。
 1つは、平和と正義の力であるアシャ、もう一つは、悪と呪いの力であるドゥルジである。激しく永い戦いの果てにドゥルジは地球に到達し、人類滅亡に向けての活動を開始する。絶対善でも絶対悪でもない存在、人間こそがこの戦いに終止符を打つのだ。
 地下深くに潜んだドゥルジは人間を腐敗させ、邪悪な超能力を引き出し、悪のエージェントとして人類滅亡を実行させる。しかしアシャもまた、慈愛と信頼によって人類を繁栄に導こうとしていた。アシャの存在を知った人々は秘密結社ウォフ・マナフを結成し、正義の戦士を育成してドゥルジのエージェントと戦い続けることを使命とした。
 私立第4ボロヴィア学園中等部2年の美弥が白鳥と出会ったとき、この善と悪との全面戦争の、最後の歯車が動き出した。ボロヴィア学園こそアシャワンの戦士を養成する学舎であり、美弥と白鳥が互いの腕を交差して「バアル・オーム」の真言を唱えたとき、2人はドゥルジの魔人に対抗する正義のエージェント、バアル・オームの戦士に合体変身するのだ!


 面白いつまらない以前にトンデモでした(いや、面白いとは思うけど)。
 あのね、実はその女学園は世界創世から続く善と悪の戦いに決着をつけるため、優れた資質のある少女たちを育成するための組織だったのです……という設定そのものはライトノベルでも良く聞く話の王道パターン。でもそのアシャワンの乙女の中でも最良の者はバアル・オームの戦士となる。
 オームはヒンドゥー教の聖なる呪文、バアルはセム語で「王」を意味する言葉。つまりバアル・オームの戦士とは強力な真言の使い手……って、なんでそこでもっともらしくヒンドゥー教とセム語の言葉が1つになりますか? まあ、メインキャラが木戸猛(みゃう)と白鳥健(すこやか)という時点で確信犯なのはバレバレなのですが、つまりは「知らなきゃただの学園伝奇アクションだけれど、その正体は美少女版『超人バロム1』」というわけで……。
 クライマックスなんか魔人大襲来!といった感じで、超能力SFとも善悪の対立するファンタジーとも言い切れません。

【アシャワンの乙女たち】【牧野修】【光と闇】【超少女】【怪人】【超人バロム1】

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