「私と月につきあって」 野尻抱介

「『やれ！』って言うんだよ。トラブルが起きたら、みんなが絶望してたら、めげるな、やれ！ってぶちかますのがリーダーじゃないのかさ！」
「あたしらだけでやる！ってタンカ切るんだよ。それがリーダーってもんだろ。細かいことは知恵のある奴に任せりゃいいんだ」
　宇宙飛行士・森田ゆかりの言葉。

　日本人宇宙飛行士のグループが欧州の宇宙計画に参加し、協同して月面着陸を目ざす話。
……って書くと、なんか別物に思えますね。ポイントは宇宙飛行士が精悍な成人男性ではなく、すべて美少女であり、しかも美少女である理由をいかにももっともらしく設定している点にあります。

　とりあえずいつものように、スピーチに使えるセリフを抜き出し。
　面白くて、スゴイ作品を書けるのに、量産できないのが弱み。やっぱり野尻さんの本は面白いんで、ＷＯＷＯＷでもアニメ化されたし、もっと読者が増えると良いなと思うのですが、寡作なので薦めにくいです。まあ、出す作品がいずれも面白く、評価も高いのはスゴイと思いますが。
　でもって、日本のカメラが月の裏側を撮影しちまったもので、この作品の設定が根本から否定されてしまいましたが、これで立派な月ＳＦの殿堂入りです。

【私と月につきあって】【ロケットガール】【野尻抱介】【月着陸】【リーダー論】